登山者情報1,555号

【2012年06月09-10日/日本山岳協会指導員総会兼研修会報告/井上邦彦調査】

山形県山岳連盟登山部長 井上邦彦

 6月9-10日、東京都晴海で開催された日本山岳協会指導員総会兼研修会に出席してきた。内容は多く、課題も山積していたが、特に今年は日本体育協会(以下日体協)の指導者登録更新制度が大幅に変更された説明に力点が置かれていた。
 最初に八木原日本山岳協会(以下日山協)副会長が挨拶、「登山学校としての機能を果たせない団体が出てきている今、指導員の役割に期待する所が大きい」という部分が印象に残った。
 次に永井指導委員長より「@日体協ではなく日山協独自の制度としてハイキングリーダーの資格を検討しており、25年度から導入したい。A指導員登録更新に必要な義務研修の承認申請及び実施報告を、各都道府県岳連協(以下岳連)で直接日体協のPCにアクセスし作業を行ってもらう。Bこれまでの指導員復活制度が改正され指導員再登録となり、手続きが変更された。Cスポーツクライミング(以下SC)指導員の講習会を今年度は全国7か所で行う。」と説明があった。その後個々の事案について具体的な説明があった。
 Aについては、自宅でPCをインターネットに接続し活用している者以外は指導員に関わる事務が全くできないこととなる。各岳連の担当者(2名)は日体協からアクセスに必要なパスワードを付与され、岳連で主催する義務研修の承認申請をPCに入力、日山協で内容を確認し承認したら日体協が承認し、申請した担当者のPCに直接メールで結果が送信される。事業が終わったら岳連担当者は再度アクセスして参加者を入力する。これにより参加者は登録更新に必要な研修を修了した者として日山協のPCに保存され、更新の時期が来たら必要な書類が各指導員の自宅に直接送付されることになる。これがなされていないと、書類が送付されないので自動的に指導員の資格を失うことになる。
 ここで危険性を感じたのは、日体協のPCにある住所が昔のものである場合は、本人に書類が届かないことになる。指導員は各自で確認して、早めに必要な手段を取る必要があるということである。
 また事務手続き手順書には「有効期限が切れて1年未満の場合は申請手続きをしなくても「資格保留期間」として登録に関する書類をお送りします」と記載されており、ケースによっては義務研修を受講していなくても金さえ振り込めば更新ができてしまうということになる。
 日体協のパソコンには資格を喪失した指導員のデータも消去されることなく残っているとのことである。喪失者が義務研修に参加した時は、有資格者と同様に入力することになるとのことである。これにより喪失者の再登録が可能になる。
 @については、アルペンクライミング(以AC)指導員水準の抜本的な見直しが背景にある。上級指導員の規約には「11月から3月までの3,000m以上の積雪期登山経験が3年以上あること、無雪期に4級以上の岩場をリードできること」という縛りがあるが、指導員に関しては「標高の縛りはなく、残雪期におけるアイゼンやピッケル技術、無雪期の鎖場を通過させることができるフィクスロープの設置と簡易ハーネスの自作(剣岳カニの横這いを想定)」とのことであった。
 この下の水準をハイキングリーダーとして検討している。「概ね1,500m程度の山域で、雪のない季節・場所で、かつ日帰り、行動時間を5〜6時間程度までとし、主に一般コースと呼ばれ、山と高原地図などに実線で表示されている比較的に危険度の低いコースで特殊な道具を用いずに、通常の道具でのみ歩く形態」とのことであった。
八木原副会長
永井指導委員長
蛭田常任委員
最近の若い登山者について話してくれたカモシカスポーツの上村さん
熱心な討議がなされた
出席者による記念撮影

お わ り