登山者情報1,774号

【2014年05月03日/西俣峰:捜索/井上邦彦調査】
  05月02日、晩酌も終わり夕食の後片付けをしている時、PWDから電話が来た。「いま山にいるが、午後4時まで行くので泊めて欲しい」と午後1時頃に予約の電話があった登山者がまだ来ていないが遭難ではないかと、泡の湯温泉から連絡があったという。妻に送ってもらい小国警察署に行く。
 本人の携帯電話番号と氏名は分かっている。警察で調べた所、本人の車が梅花皮荘の駐車場に停まっているとのことである。車まで3時間(余裕を見て2時間30分程度)で到達出来る場所で携帯電話が通じる場所で連絡をしてきたという条件で考えてみた。車のある梅花皮荘から天狗平の間は、歩いて1時間30分位だろう。携帯電話が通じるのは夫婦清水や滝見場から上、この辺なら1時間で天狗平まで下ってくるのは可能だろう。ダイグラ尾根は休場ノ峰となるが、ここから1時間は厳しすぎる。ダイグラ尾根は省けるだろう。倉手山の可能性も否定できないが、最有力は西俣尾根と考えた。その後、出動可能な隊員を探していたら、その車が29日からあったことが判明したので、倉手山は消えた。
 5日に開催される小玉川熊祭の準備のため、飯豊班は全滅。中央班もEHJだけが捕まった。3日は私もどうしても外せない用事があるのだが、仕方がない。早朝04:30小国署員と一緒に西俣尾根に向かった。移動中にLFDとIUYから連絡が来たので、山形から小国に向かっている県警救助隊を案内してもらうことにした。私は、西俣峰から戻ったが、EHJ達はさらに上部に向かって、三匹穴付近まで登った。私は2次隊と西俣尾根取付き上でスライドした。
 その後、不明者は自力で車に戻った。彼からいただいた電話によると、「井上さんにコースの照会をしたものです」とのことである。確か、石転ビ沢を登ってダイグラ尾根を下るが、桧山沢は通行できるかという質問だった。私は、橋はないが例年ならスノーブリッジがある。それがないと渡渉になる。天候の良い早朝なら可能だが、夕方になると雪解けで増水する。逆コースなら良いが、計画どおりだと渡れないリスクがあると答えた記憶がある。彼は、石転ビ沢を登り梅花皮小屋に泊まり、翌日御西岳付近に泊まり、朝方に飯豊山付近で泡の湯に電話を掛けたらしい。この電話を掛けた時の情報が、どこかで誤ってしまったようである。
 彼は未組織登山者ということもあり、私達が登山計画書を把握することはできなかった。毎年、10月下旬から5月下旬の間は登山届出所を閉鎖しているが、今後はその対策も考えていかなければならないのかもしれない。
 なお、5日に桧山沢を確認した所、彼の言うとおり今年はスノーブリッジが作られていなかった。
西俣尾根に取り付く
大曲り付近のアヅマシャクナゲ
ブナの新緑が高度を上げている
手前はタムシバ
十文字池の直下、携帯電話で連絡を取るEHJ
枯松山
西俣ノ峰から稜線を仰ぐ
一次隊の皆さん
杁差岳
頼母木山方面
飯豊山方面
途中に咲いていたムラサキヤシオツツジ
新緑に包まれる
倉手山

おわり