登山者情報2,195号

【2021年01月25日/西俣尾根〜北股岳/渡部政信調査】

 冬シーズンで数日しかない快晴の日に、飯豊連峰西俣尾根を登り、正月に敗退した北股岳まで行ってきました。天気図とにらめっこして、厳冬期の晴天を見つけ仕事を調整して飯豊連峰西俣尾根に向かった。下山するまで雲ひとつない天気でした。
 2時30分目覚ましで起床し、身支度を整えてコンビニ経由で登山口へ向かう。梅花皮荘駐車場で準備をして、ヘッドライトを点け4時に歩き出す。いつもなら民宿奥川入に顔を出すのだが、さすがに早いのでそのまま登山口へ向かう。
 前日のトレースがあるので使わせてもらうが、右へ左へと蛇行している。4時20分尾根に取り付く。星は出ているが月が無いので辺りは暗い、ヘッドライトの明かりとトレースを頼りに進む。いつもながら暗闇の登山はオーバーペースになることが多いので、呼吸を乱さないように気を付けながら登る。
 それでも4時50分には大曲に到着する。ラッセルが無い事を差し引いても少し早いが、体は苦しくない。水を一口飲み登る。まだ暗闇の世界でどこをどれくらいのペースで歩いているのか全く分からない。急登を登りきると十文字池に到着。まだ5時20分。休憩も無しで西俣の峰へ向かう。
 5時58分西俣の峰に到着。まだ暗闇の世界。パンをかじり水分補給する。東の空が少し明るくなってきたが、日の出まではもうしばらく時間がかかりそう。6時50分枯松峰を通過、だいぶ明るくなってきた。
 オオドミ手前で左手の杁差岳がピンクに染まり、幻想的な色合いの景色に変化する。見晴らしのいいオオドミまで走り、日の出を拝む。蒼から淡い桃色、そして赤と太陽が出てくるにしがたい景色が変化する。ここでヘッドライトを外し、帽子からタオルに切り替え登る。
 7時45分三匹穴手前に到着、救助隊のラインに現在地を送る。雲一つない快晴、雪面は固く締まってサクサクと登ることができる。年末に敗退した時とは雲泥の差。
視界もいいのでGPSやコンパスを出すこともなくいいペースで登る。
 8時18分頼母木山に到着。本来はここが目的地だったが、思いのほか早く着いたので頼母木小屋でデポ品の確認に行こうかと考えていた。救助隊ラインには「昨日北股岳まで行った人がいる」とのことだった。
 滅多にないチャンス、厳冬期に晴れた飯豊の稜線を歩けるなんてそうそうないので、目的地を北股岳に切り替えた。撤退のタイムリミットを11時と設定して向かう。今度の年末ももしかするとアタックするかもしれない稜線を下見のつもりで歩く。
 地神北峰8時40分通過、正面に梶川尾根、奥に続く主稜線、飯豊本山、大日岳を一望する。先行者のトレースは地神山の斜面をトラバースしているので、同じように進むが、斜度、雪の状態で思いのほか時間がかかった。
 9時30分に門内小屋に到着。外側から損傷は確認できなかったが、冬季出入口が雪で埋まっていた。パンと水分を補給しいよいよ北股岳に向かう。風は無風〜5?前後で汗が垂れる。長袖シャツ1枚で腕まくりをして手袋は軍手という厳冬期には想像もつかないスタイルで歩く。夏道でも門内〜北股間は自分にとって少々辛い。そんなイメージがあるので一歩一歩進む。
 10時26分北股岳山頂に到着。この時期にここに立てるとは全く考えていなかった。同時に天候にこんなに左右されることを改めて知った。遠くに鳥海山、飯豊本山までの稜線、下には梅花皮小屋、遠くに御西小屋も見える。贅沢な景色を独り占め、時間の経つのも忘れる。
 10時45分下山開始。シュカブラの凹凸が意外と行く手を阻む。11時15分門内小屋を通過、地神山は来た時のトラバースを使わず、登って下る。
 12時地神北峰で昼食を取り、ここからの下りはスノーシューにとって大変である。試しに坪足で歩いてみると全く抜からない。重力に任せて歩幅が大きくなりかなりのスピードで下る。
 12時20分頼母木山、12時35分三匹穴、13時枯松峰を通過。時折後ろを振り返り雄大な飯豊連峰を堪能する。ここから西俣の峰までは雪庇が割れている個所が複数あった。その雪庇にトレースが付いていてザワザワしながら下る。
 13時30分西俣の峰に到着。遠くに天狗平ロッジも見える。この辺りから雪もザクザクになり、時々抜かるがスノーシューで下るよりは楽である。十文字池を過ぎたあたりで前を歩く登山者と思われる声がたまに聞こえる。
 14時10分大曲で先行者に追いつく。3分くらい立ち話をして先に行かせてもらう。いつもながらここからの松尾根は難儀。岩場を過ぎたらたまらずスノーシューを履く。
14時25分に登山口に下山。奥川入に声をかけ帰路につく。
大曲リ 
 
 十文字ノ池
 
 これから向かう稜線
 
 ようやく東の空が明るくなってきた
 
クレパスがあるけれど、その谷側にもトレースが・・ 
 
 杁差岳
 
本山方面 
 
 幻想的な光景が広がる
 
 何の足痕だろうか?
 
紅いに染まる杁差岳
 
 
 日の出
 
 大ー尾根上部と飯豊山
 
 雪面もピンク
 
 杁差岳
 
杁差小屋
 
 三匹穴 
 
 振り返ると朝日連峰と雲海
 
 頼母木山への最後の登り
 
 頼母木山々頂
 
 頼母木小屋
 
 杁差岳
 
 朝日連峰
 
 地神山
 
 飯豊山と吾妻連峰
 
扇ノ地紙と飯豊山 
 
 二王子岳
 
 地神山を巻く
 
大日岳 
 
 門内小屋
 
 
 
 
 
北股岳に向かう 
 
 北股岳山頂
 
大日岳 
 
山頂から南の主稜線を望む 
 
 梅花皮小屋
 
 右端が御西小屋
 
 山頂の鳥居と二王子岳
 
 
 門内小屋 こちら側からだと分かりにくい
 
 振り返る
 
朝日連峰 
 
地神山
 
 鳥海山
 
 頼母木山より下る
 三匹穴で振り返る 大勢の足跡
 
 雪庇と朝日連峰
 
 大ー尾根と梶川尾根
 
 天狗平ロッジ
 

終わり