祝瓶山への登山道を右に分けると、まもなく白布橋(潜り橋)である。取り付きに若干雪が残っている。平水時は砂防ダムのような潜り橋を難なく渡れるが、増水のため頭上の一本吊橋を渡る。恐ろしいと感じる人もいるようだ、一人づつ慎重に渡る。橋を渡り終えると白布平である。登山道の周囲には感動的なブナ林が続く。白布沢は飛び石伝いに問題なく渡れる。角楢橋も荒川を越える一本吊橋であり、渡渉はできないのでどうしてもこの橋を渡ることになる。登り始めてすぐ右へ踏み跡を分けてまっすぐ登ると、尾根末端の段丘に昔の屋根型テントを大きくしたような角楢小屋は、かつてのゼンマイ小屋を一般解放しているものである。二棟あり、手前は使えるが一棟は厳しい。便所はなく、水は角楢橋まで戻って本流の水を使う。このコースで一般登山者が使える山小屋はこの角楢小屋と大朝日小屋だけである。角楢小屋から河岸段丘によく発達したブナ林の角楢平を進む。緑の中に溶け込んでしまいそうな山道である。国土地理院の地形図と異なって、山道は山裾沿いについている。喉を潤すのにちょうど良い程度の小さな小沢を幾
つか越える。一部登山道が雪に埋もれており、急な斜面を下ると大玉沢の滝の下に出る。滝の右に洞窟がある、鉱山の試掘の跡ですぐに行き止まりになる。通常は滝のすぐ下を飛び石伝いに渡
ることもできるのだか、現在は増水のため時に備えた一本吊橋を渡る。尾根に取り付くと、遭難慰霊碑がある。松の尾根にひたすら高度を稼ぐ。1,059mに「蛇引の清水」と書かれた黄色い標識がある。清水付近は一面雪に覆われているので、そのまままっすぐ旧道を登る。1,150mで右から登山道を合わせる。さらにひと登りするといきなり視界が開ける。1,190m、森林限界である。痩せてはいるが平坦な気持ちの良い尾根である。所々登山道が雪に埋もれているが、特に問題はない。最後にもうひと頑張りして稜線上にでると分岐の標柱があり、祝瓶山からの登山道を合わせる。北大玉山は野川ヌルマタ沢保護地域の標識があるものの、何処が頂上とも気付かずに過ぎてしまうかも知れない。鞍部からふた登りしてきつくなり始める1,450mに木製の標識があり、北西に踏み跡を分ける。ほぼ水平にトラバースすると水場であるのだが、水場は一面の雪で使用
できない。1,550mの小ピークで登山道は東に折れる。西へ下っている踏み跡は1,350mの緩斜地まで続いている。既にかなり薮化しているが、過去に下山時迷い込んで遭難したパーテイがあるので注意したい。平坦な主稜を辿るが登山道と分岐の標識は雪に埋もれている。まっすぐ南東に登ると平岩山のピークであり標柱が立っており、御影森山から来た登山道と合わさる。ここから引き帰したが、大朝日岳までは全て夏道となっている。
確認した花は、カタクリ・シラネアオイ(1本のみ)・ミツバオウレン(盛)・ムラサキヤシオツツジ・コヨウラクツツジ・ノウゴウイチゴ・ミネザクラ(盛)・オクチョウジザクラ・ムシカリ・イワウチワ・ショウジョウバカマ・ミヤマキンバイ(始)・ヒメシャガ(盛)・イワナシ・ヒメイチゲ・キジムシロ。