登山者情報第2467号

2026年8月18日 /梅花皮沢のハチ処理 /井上邦彦

8月16日10:20「只今、飯豊山荘の加藤さんから連絡ありました。ハチに刺された登山者が山荘に来ましたとのこと。刺された場所はババマクレの坂を下り、少し登った右側の岩が出ているところです。蜂の巣があり、スズメバチと話しています。8カ所刺されたとのことです。他の登山者も刺されているようです。処理について検討ください。」とのlineが届いた。この時、私は倉手山の登山道刈払い作業中。
作業を終えて刈払い機を解体しザックに収納している13:25に第二弾のlineが届いた「坂町病院を受診している刺された方から回答ありました。ババマクレから下り、まもなくピンクテープがあるところから20m位進み、そこだけ草がない小さい岩と木の根っこがあり、そこが場所です。巣はその地中の穴から出入りしているとのこと。当初の場所とは違っています。また、巣は外に作っていません。ハチは2から3匹が出入りしているだけで目撃が難しいところでした、と話してしています。」
ポイントは登山道の穴にオオスズメバチ・キイロスズメバチ・クロスズメバチのいずれかが巣を作っており、登山者を襲ったということである。14日に当該場所を通過した政信君は気付かなかったとのことであるが、場所の説明はかなり具体的であり、探せるかもしれない。
翌17日は通院日なので、翌々日の18日に現場に向かった。相変わらず暑い、うまい水で喉を潤す。うまい水からstarlink経由でラインにテキストの送受信ができた(衛星の関係かできる時とできない時がある)。
彦右衛門(ヒコエム)の平からヘツリ道に入る。下りきった所にピンクテープがあった。おそらく登山道の刈払い作業時のものだろう。ここからは慎重に進む。Lineでは巣が登山道そのものにあるのか、登山道脇の斜面にあるのかが分からないので、丁寧に探す。
足を置こうと思った瞬間、足場の斜面の小さな巣穴から顔を出したスズメバチを見つけた。慌てて足を引っ込めて数歩下がる。見ていると数匹のスズメバチが穴から出てきた。さらに私の横から飛んできて巣穴に入るものもいる。カメラを構えて巣の様子を撮影する。
いったん6m位戻ってザックを下ろし、ザックから古くて厚めのカッパを着る。足元はスパイク長靴を履いてきた。首筋を刺されるとまずいので、カッパの帽子を伸ばし、被ってきた帽子に付属している網を下ろし、皮の手袋をつける。
巣からの出入りが頻繁で、直近までは近づけない。天狗平ロッジから持参した「アース・スズメバチ・マグナムジェット・プロ」を手にして近づき、巣や周辺のスズメバチに噴射をしてみた。白い煙のようなものが大量に勢いよく飛んでいき、飛んでいたスズメバチは墜落し、巣の入り口にいたスズメバチも苦しんでいる。これは使える!と思ったが、彼女達(働きバチは雌である)はすぐに復活した。ともあれハチスプレーは殺傷能力こそないが、巣の周辺に数分間の空白を作ってくれることが分かった。
細長い移植ベラに粉のスミチオン(殺虫剤の一種)を乗せて巣の直近まで近づき、出入り口の穴を粉で塞いだ。作業の途中で戻り蜂が飛んでくるので手際よく終える必要があるが、戻り蜂は巣に向かうので、素早く引き下がれば問題はない。もし私が巣を直接壊そうとすれば、死に物狂いで襲ってくる。巣が粉で覆われてしまったので、彼女達は周辺をうろうろするばかりでなかなか巣の中に入ってくれない。戻り蜂がスミチオンの粉を体に付着させて巣の中に入ってくれることで、初めて今回のミッションは成功となるのだ。
ハチスプレーでは死亡した蜂がいなかったので、持参した蠅叩きを手に巣に近づく。飛んできて巣の上空でホバーリングをしている蜂を叩き落とす。数匹を叩いた中で、見える所に落ちた蜂を拾って用意した容器に入れてサンプルとした。
まだ蜂は飛んでいるが、巣の向こう側に行き赤い旗を下げ、手前側にも大きな赤い旗を下げて目印にした。
作業を全て終え、うまい水まで戻り、いびれるように冷たい水で顔を洗い、朝食とした。
なお帰宅後に撮影した画像をlineで送ったところ、草刈君から「オオスズメバチ」との返信が届いた。
Gはうまい水、□が今回の現場
巣は登山道の真ん中
ちょうど足を置きたい場所からスズメバチが顔を出した
また1匹
続々と出てくる
変な者が来ているぞと
私をにらみつける
スミチオンをかけた
2度かけたので巣の入り口は真っ白になった
赤旗を設置したのこれから数日は注意して欲しい
```