登山者情報270号

【飯豊連峰:西俣尾根/1997年04月13日井上邦彦調査】

国民宿舎飯豊梅花皮荘に車を置き、05:44歩き始める。05:49民宿奥川入通過、ここから雪道となる。杉林の中に小さな小屋を見て、雪崩跡が溢れている下カバタケ沢の左岸の尾根に取り付く。例年だと沢手前の斜面から登り始めるのだが、今年は雪が着いていない。尾根の取り付きには赤布が結ばれていた。尾根上は夏道が露出しており、イワウチワが沢山咲いていた。400mの両手を使う岩場を

西俣峰より枯松峰と頼母木山を望む

過ぎ、羚羊の足跡が残るキタゴヨウの急な尾根に汗を滴らせると、マンサクのトンネルとなる。羚羊の背中に乗った春風が、黄色のスプレーを吹きかけていったようだ。
06:26ピークを左に巻いて主尾根に出る。眼下に西俣沢のブナ林が広がる。熊が出ていると聞いていたので双眼鏡を覗いてみるが、このあたりはまだ若干早い。

西俣峰から上部は杁差岳と一緒

06:33〜51雪が出てきたのでロングスパッツを着ける。07:10、705mの池は雪に埋まっている。ここまで来ると大部分が雪道となる。
07:49〜08:02西俣峰、杁差岳がブナ林に聳えている。雪庇は安定しているが、新雪2〜15cm、亀裂

枯松峰山頂でヤマドリの足跡を見た

を新雪が隠しているので、ストックで確認しながら進む。08:10一部雪庇がずれているので右斜面をトラバースする。広く雪洞を掘りたくなる斜面を登ると、08:30〜08:43枯松峰である。ここから鞍部までは藪漕ぎとなる。廃道の痕跡が見受けられるが、一部はすねまでの坪足である。09:00〜13休憩し、

枯松峰を振り返る(雪庇がずれているのが分かる)

本格的な登りに備える。そろそろ腹が空いてきた。1,250mの大ドミからブナ林にダケカンバが混じり始める。
1,425mがブナ林の限界である。1,450m09:50、右手から大きな尾根が合わさり三匹穴に出る。広い

頼母木山山頂と地神山(丸森尾根分岐の標識が確認できた)

雪原の所々にダケカンバの群塊、岩の上に遭難慰霊碑が見える。ここから頼母木山間では大変ルートを失いやすいところである。三匹穴までは赤布が多数ついていたが、この上は木がなくデフ棒も倒れており全く当てにならない。尾根の右手は藪が出ているので、左の雪の上を斜めに登る。最後

頼母木小屋

の小ピークを頼母木山と間違えて右手に下降し遭難した登山者がいたので、十分に注意する。小ピークを左から巻くように藪に入ると小ピークと頼母木山の鞍部に出る。このまま右手にトラバースして稜線に出るのが一般的であるが、今回は最後直登して10:42〜46頼母木山山頂に出た。山頂の雪

尾根取り付き付近のイワウチワ

は吹き飛ばされており石柱の標識が立っていた。地蔵尊は足元が折れて横になっていた。登りに迷った時はこの標識を確認してから頼母木小屋に向かって欲しい。10:55頼母木小屋着、小屋の周囲には雪がなく入り口も通常に使用できた。昼食を取っているとMXLGPNODDの無線が入る。
12:09同じコースを登ってきた3人パーテイと入れ違いに下山を開始する。12:34三匹穴、13:33西俣

奥川入のミズバショウ

峰通過。ここから下は大勢の足跡がついていた。のんびりと写真を撮りながら15:00梅花皮荘駐車場に到着。
注:全体として雪がかなり少ない。5月の連休には西俣峰〜大ドミの間で藪漕ぎが予想されるので、ザックをシンプルにするのがよい。視界のない時の下降はかなり難しくなるので注意すること。