登山者情報350号

【1998年06月21日/朝日連峰中ツル尾根〜鳥原山/井上邦彦調査調査・切合小屋遭難】

04:00起床し、04:20自宅発。55km荒砥通過、67.4km看板に従い左折し最上川を渡る。74.5km立木(朝日自然観との分岐)通過。ここからはすれ違いもままならない狭い渓谷沿いの車道がどこまでも続く。79.3kmで砂利みちとなる、80.1km木川ダム通過、81.3km大規模林道分岐通過、84.1km白滝口分岐、05:54 89.2km朝日鉱泉着。

朝日鉱泉 ナチュラリストの家

06:00発。ナチュラリストの家の前を通って谷底に下る。正面には尖った大朝日岳が聳えている。発電所取水口脇の狭いがしっかりとした吊橋を渡る。杉林を抜け7分程で鳥原山への道を分ける。手作りの標識があった。間伐材を3本まとめて板を打ちつけた橋が小沢に架けられていた。06:10〜18 575m御影森山への分岐で休憩、建物跡が知れる、以前に朝日鉱泉が設けられていた場所であろう。

朝日鉱泉から見る大朝日岳

標柱に従いそのまま左岸を進む。06:25 朝日川本流に架かる吊橋を渡り終えた所に「朝日鉱泉2km・大朝日岳6km」と書かれた標柱が立っていた、1,504歩。以後は右岸をへつる。06:39 2,782歩、沢を渡る。滝があり休むのに絶好な場所だ、水筒に水を汲む。河岸段丘の素敵なブナ林となる。06:43 3,312歩、吊橋を渡る。06:47 3,825歩、川原に降りる、06:50 4,169歩まで赤ペンキに従って川原を歩く。石の間が細かい流木で埋められているところ見ると、増水時は登山道が冠水し通行できないと考えたほうがよさそうだ。06:53 4,428歩、ブナ林中の小沢は安らぐ。本流に平行して左岸を進むが、たっぷりと水を含んだ山のトラバースは水場に不自由しない。道刈りはしっかりしており朝露も気にならない。06:59 5,250歩、沢を渡ると、金属製の標柱に「出合・←朝日鉱泉4.0km・→大朝日岳4.0km」と書かれていた。07:02 5,529歩、川沿いの開けた場所に出る、幕営の痕跡がある。07:03 5,661歩680m、本流が二つに分かれる、北側の本流に架かっている吊橋を渡る。ようやく登りとなる、ブナ林の中で順調に高度を稼ぐ。07:14 830m6,726歩、松が混じってくる。僅かだが展望が出てくる、右手に雪渓が見えた、小朝日岳だろう。07:20 885m若干傾斜が落ちる。次第に傾斜が緩くなり、07:25 965m7,717歩とうとう道は平坦になる。ハクサンシャクナゲが一塊咲いていた。07:29 7,717歩995m、ブナの倒木で休憩とする。朝食を摂り07:50発。

長命水分岐

07:59 975m、8,610歩、水場の標識はないが登山道が広がり右手に1張りのスペースがある。1分31秒154歩標高差30mほど右手の急な斜面を下ると沢底から水が湧いていた。途中にはブナが倒れて歩きにくい。コップ必要。2分50秒で戻る。分岐のブナの木に「長命水」と書かれた朽ちた標識が立てかけられていた。08:12、1,145m緩い小ピークを過ぎる。1,215m登山道はドウダンの花が敷き詰められていた。雰囲気が変わってきた。タニウツギ・ギンリョウソウ・マイヅルソウが咲いている。1,340m8:31、11,215歩、森林限界を越えて潅木帯に入る。御影森方面のだらだらとした山稜がいやらしい。1,365m大朝日岳が梢の間から出てきた。僅かに紅を差したハクサンシャクナゲ。谷を隔てて御影森が迫力を増してくる。ダケカンバも出てきた。

大朝日岳が眼前に立ち塞がる

08:35〜49、11,615歩、小ピークで休憩。目の前に大朝日岳が立ち塞いでいる。ハクサンチドリ・ウゴツクバアネウツギ・ツマトリソウ・ツクバネソウと花も多彩になってきた。平岩山の鞍部から飯豊連峰が見えた。振り向くと蔵王が雲の上に浮かんでいる。磐梯山も見えてきた。潅木の背丈が低くなり、小朝日岳から吹いてくる風が心地よい。
ダイグラ尾根や梶川尾根を歩きなれているせいか、急登とは感じられない。潅木状のダケカンバと岩が出てくる。素晴らしい展望だ。ハクサンイチゲ・ムカゴトラノオ・シロバナニガナも姿を見せた。1,550m09:13素敵な休み場の誘惑を振り切って登る。高度を上げるに従い飯豊連峰は北部稜線を見せてくる。1,605mでついに杁差岳も姿を現した。蔵王連峰線上にナチュラリストの家が見えた。ヒナウスユキソウに囲まれてODDと交信する。OTJと一緒に缶ビールを荷揚げ中、現在地ホン石転ビ沢手前とのこと。オトギリソウ・コケモモ・ガクウラジロヨウラク・ミヤマダイコンソウ(終わりかけ)。09:39 1,815mの小ピークで大朝日小屋が見えた。小屋から10人ほどが下山を始めた。中岳・以東岳も見えた、いよいよ最後の登りである。

大朝日岳から飯豊連峰

09:44 1,870m16,043歩、大朝日岳山頂到着。再びODDと交信している途中、北股岳方向で登山者が1名滑落したらしい。幸いに怪我はたいしたことがないらしい、ODDとOTJの2人が石転ビ沢に入っていれば今日はお呼びがないだろうと安心して缶ビールの栓を抜く。GZKから切合小屋でトラブル発生の連絡が入る。状況からして福島県警のヘリで収容可能だろう。10:29山頂発。ミツバオウレン・イワカガミ・ミヤマリンドウ。

大朝日小屋

10:35〜37 16,870歩、大朝日小屋。1,765mに霊山朝日岳神社奥宮の石板が立っていた。金玉水は水が取れそうだ。10:52〜11:22、1,630m18,409歩、銀玉水の標柱で休む。水場までは55歩55秒、登山道脇の理想的な水場だ。清水の脇にはシナノキンバイとミヤマキンポウゲが咲いていた。居合わせた登山者から梅や胡瓜をいただき缶ビールの栓を抜く。無線機からはGZKの声で切合小屋の様子が流れている。

金玉水遠望

登山道沿いはヒメサユリが連なっている、数は多いのだが飯豊と比べて全体に小ぶりに感じる。シロバナニガナ・ハクサンチドリ。11:35、1,555mわい化したダケカンバが出てくる。タニウツギ・アカモノ・マイヅルソウ・イワカガミ・ツマトリソウ・ゴゼンタチバナが咲いている。11:40、1,465m 20,609歩、熊越の最低鞍部。ここで道は二つに分かれる、真っ直ぐの直登する。11:42 1,495m20,719歩、先ほどの道を合わせて分岐の標柱。1,595mから上は高山の雰囲気を漂わせている。月山と鳥海山が依然として見えている、月山山頂に小さく乳首のような突起が見える、山頂の神社であろうか。

小朝日岳山頂より大朝日岳

11:57 21,884歩1,635m小朝日岳山頂(実際は1,647m、大朝日岳山頂を基本とした高度計に表示された高度)通過。1,595mにトラロープが設置されている。ハクサンチドリが満開である、カメラを出す。タニウツギ・ヨツバムグラ・アカモノ・ウズラバハクサンチドリ・イワカガミ・ミツバオウレン・ノウゴウイチゴ・ツマトリソウ。1,475m右手に小さな湿地。オオバキスミレ・シラネアオイ・ガクウラジロヨウラク。1,405mからわい化したブナが出てくる。12:26〜36休憩。1,345m鞍部に湿原。イワイチョウ・ツマトリソウ。登山道に階段状に木柵が設けられ流出を防いでいる。12:50 25,825歩、木道が始まる。すれ違いにも配慮されている。飯豊連峰では考えられないほど予算がかけられている。12:56 1,430m26,366歩、展望台で山開きに来たと言う白鷹町の皆さんと出会う。変形したゴヨウマツを過ぎ、登山道から6mほど入った最高地点に朝日山岳の碑が立っていた。

古寺鉱泉分岐の湿原

13:11 1,345m27,594歩、古寺鉱泉との分岐である。花は咲いていないがミツガシワの良い湿原である。13:20 28,067歩、鳥原小屋着。水場・便所・神社も完備した素敵な小屋で、岳人長井・朝日山岳会の皆さんと歓談、お神酒をいただく。

鳥原小屋

13:47 28,238歩、小屋発。白滝に下る道を分け、木道を終えてまもなく新しい刈り払い巻き道を下る。山開きでいただいたスルメを頬張りながらお神酒でおぼつかなくなった足元に気を付けながら下る。14:06 1,045m小沢を横断、いいブナ林だ。14:14 925m31,815歩、沢を渡る。965mまで尾根上に登る。ヤマツヅジ。14:40 940m34,625歩ナラの尾根。14:47 860m35,470歩、湿地。14:54 765m大朝日岳が見えた。14:57〜15:07食事。けっこう急な坂であるが、ジグザグなので楽である、飯豊ではこれぐらいなら真っ直ぐに登ってもおかしくない。15:15575m36,584歩、中ツル尾根との分岐。ここから杉林。15:19朝日鉱泉が見えた。15:23 570m37,494歩ナチュラリストの家到着。15:26 37,695歩、駐車場到着。

【切合小屋のトラブル】

6月20日11:00頃、仲間2人と七森を通過中の男性(千葉県59才)が転倒し左足大腿部打撲。自力で切合小屋にたどり着き様子を見たが、翌21日になり自力歩行が出来なくなったため助けを求めた。たまたま小屋に居合わせたJL7UYG川原田さんが10:20頃に無線を発信、13:30福島県警ヘリ「あづま」が現場に向かい収容した。