登山者情報369号

【1998年09月05〜06日/以東岳/吉田明弘調査】
差出人: Akihiro Yoshida <akyo@cocoa.ocn.ne.jp>
皆さんこんにちは、新潟県豊栄市の吉田です。9月5日から6日1泊2日で朝日連峰の以東岳
に行ってまいりました。以下その報告です。「以東岳は朝日連峰の北端に位置する。ピラミダ
ルな姿の盟主大朝日岳に対峙して、左右に肩幅を広げたように、どっしりとした山容をもって
おり、いかにもみちのの山らしい重厚な感じのする山である。その内懐に神秘の湖大鳥池を抱
き、山頂には一等三角点の本点がある。」深田クラブ、日本二百名山より。
9/5  4:30豊栄発  8:00泡滝ダム着8:10発  8:57冷水沢着 9:05発
 10:22大鳥池(タキタロウ山荘)着11:00発  12:25三角峰北鞍部着
 12:40発  13:15オツボ峰着13:23発  14:05以東岳着(泊)
9/6  以東岳発5:40  東沢徒渉6:53  タキタロウ山荘着7:25発 
 7:50  冷水沢着8:55発9:00  泡滝ダム着9:43発9:50
 豊栄着15:00
9月5日早朝4時30分、豊栄の自宅を出発。新潟東港より海岸沿の国道を北上する。早朝の
ため交通量は少なく快調に進む。やがて夜が明けて、荒川にかかる橋を渡る手前より、進行
左手に朝日連峰の稜線が見え始めた。その左端に左右に裾を広げたような姿の以東岳が見えた。
鶴岡ICより山形自動車道に入り、次の庄内あさひICで降り登山口の大鳥を目指した。 気
温が高くなってきたためか霞がかかっており庄内平野を囲む鳥海山、月山などの山を見ること
は出来なかった。やがて最後の部落の大鳥を過ぎ、しばらくして道は未舗装になった。
8時、林道終点の泡滝ダムに着いた。車は9台ほど駐まっている。但し駐車場はない、路肩に
みんな駐車している。 8時10分、登山道に足を踏み入れる。道は東大鳥川右岸に付けられた
とても歩きやすい道だ。進行方向に以東岳から派生した尾根上にある戸立山が見える。小さい
沢が多く水場には困らない道だ。8時57分、冷水沢の吊り橋に着き、初めての休憩をする。
8人の中高年のパーティーが先に休んでいた。話を掛けるとこの日は以東岳に登り以東小屋に
泊まるという、それなら私と一緒だ。このパーティーはすぐに歩き始めた。9時5分、冷水沢
を出発。すぐに先行のパーティーを追い越す。七つ滝沢の釣り橋を渡ってしばらくすると、道
は沢沿いを離れてつづら折り状に登っていく。途中七つ滝経由の道が分かれるが、こちらの方
は途中足場の悪いところがあるそうだ。私は、正規のルートを登りつづけた。つづら折り状の
所々にショートカットして直登する道があり時折利用した。つづら折り状になってから道端に
2個所湧き水が湧いていた。坂を登りきり、ブナの間から大鳥池の湖水が見えた。青々とした
神秘的な湖だ。池という名前にしてはとても大きい。10時22分、タキタロウ山荘に着いた。
大鳥池を見ながら少し早めの昼食にした。目指す以東岳が姿を見せた。頂上より少し右に小屋
が見える。しかし、タキタロウ山荘の周辺は山奥の湖のようではなくまるで観光地の風景だ。
11時出発。制水門の上を通り、湖岸の道を右に分けて、オツボ峰コースを登り出す。ぶなの
林の中の急登が続く。標高1200メートル付近でブナ林を抜け喬木帯に移ると幾分緩やかに
なる。標高1400メートル付近から草原になり、眼下に大鳥池が対岸に化穴山、甚六山が見
え始めた。目指す以東岳は右手に見える。時期的に花はほとんど咲いていなかったが、おそら
くこの辺は花の時期には素晴らしい御花畑になっているのではないか。12時25分、三角峰
北側の鞍部に付いた。ここからは稜線歩きだ。水場の標識が有ったので、水を汲みに行った。
水場は稜線の反対側を一分ほど下ったところに有った。15分の休憩で出発。夏山シーズン最
後のせいか、とても静かな山旅だ。13時15分、オツボ峰着。8分休憩する。気持ちの良い
稜線歩きだ。14時5分、一等三角点のある以東岳の山頂に着いた。あいにく大朝日岳は雲が
かかって見えなかった。時折、寒江山までは見えた。眼下の大鳥池も時々ガスがかかっていた。
連峰随一のパノラマを期待していたのだが少々がっかりする。14時25分、今夜の宿の以東
小屋に入った。小屋はとてもきれいで今まで見た山小屋の中では一番きれいではないだろうか。
管理人の心遣いに感謝する。水場は下り5分のところに有った。山頂直下とは思えないほどの
豊富な水量で味もとてもおいしかった。この日の泊りは、私以外は先ほど追い越した8人のパ
ーティーだけだった。
9月6日、朝、あたりが明るくなり始めた頃、山頂に登りご来光を待った。山の東側は雲海、
西側は晴れていた。大朝日の姿も見える。残念だったのは、遠の山々がまるで見えなかったこ
とだ。5時15分頃、雲海の彼方から真っ赤な朝日が昇ってきた。この夏、天候に恵まれず、
まったくご来光を拝んでいない、この日が今年最初のご来光だった。しばらく景色を堪能した
後、5時40分、以東小屋を後にした。今度は登ったコースとは別の、直登コースを下り始め
た。途中登り返しのピークが無いためどんどん高度を下げていく。そして、目の前の大鳥池が
どんどん大きくなっていく。6時53分、東沢の徒渉地点に付いた。沢の水はまったく流れて
いなかった。伏流水になっているのだと思うが)そこからは大鳥池東側の湖岸を北上する。タ
キタロウ山荘付近の雰囲気からして湖畔の遊歩道程度を想像していたが、意に反して、湖水す
れすれのところ有り、アップダウン有り、岩場有り、沢の徒渉有りのあたり前の登山道だった。
7時25分、タキタロウ山荘に着いた。振り返ると湖水を抱くようにして以東岳が雄大な姿を
見せていた。7時50分、タキタロウ山荘を後にして、元来た道を引き返した。整備の良い道
なので快調に飛ばしていく。この日は多くの人にすれ違った。多は、大鳥池までの登山者だろ
う。9時43分、泡滝ダムに着き、車に乗った。帰りは、距離的に近い朝日スーパーライン経
由で帰ることにした。この道は途中21kmも未舗装部分が有るが、よく踏まれており、未舗装
の割には走りにくいところはない。しかし、山歩きで疲れた体には林道の運転は少しきつかっ
た。新潟県に入り、朝日村のまほろば温泉で汗を流し、昼食を摂り15時頃豊栄に帰ってきた。