登山者情報411号

【1999年06月12〜13日/大日杉〜五段山〜切合〜地蔵岳〜大日杉/木内茂雄調査】

メンバー 高橋弘之、木内茂雄
タイム(6/12)大日杉小屋6:45〜7:45楢ノ木眺め〜9:00大岩からみ〜一枚池(五段山)10:25牛ケ岩山〜10:55御前山〜11:15血ノ池(地蔵山)〜12:06剣ケ蜂〜12:30三国小屋12:55〜13:55種蒔山〜14:15切合小屋
(6/13)切合小屋9:25〜10:00御沢分岐〜10:05お坪10:30〜11:00日洗い清水〜12:05地蔵岳12:30〜13:15お田〜13:20長之助清水〜13:50大日杉小屋
(6/12)一遇間前に東北地方も“梅雨入り宣言”があったが、週間天気予報をみていると週末の天気が次第に良くなってきた。これなら行けるとT氏に連絡とり、昨年より宿題であった五段山に行くことにした。 愈々、当日快晴であったし、翌日も快晴マークであった。いくら雨男でも天気は大丈夫だろう。朝五時半にT氏に迎えに来てもらった。
大日杉小屋前の駐車場に車を止めて、直ぐに出発する。少し壊れかかった車の通る木の橋を渡り、大日杉小屋の前で右に地蔵岳方面を見ながら、真っ直ぐ進む。標識も出ている。車の通れる道だが登山道は直ぐに左に入り、少し下ると数分で吊橋に着く。昔は川に何かワイヤーが張られていて、それに篭が下がっていてそれに乗り自分で“たぐり寄せて”渡ったとのこと。今は立派な吊檎でしっかり立って歩いて行ける。但し、一人づつだけしか渡れない橘である。
5分も歩くと水場があり“五段山まで水場なし”と書いてあった。暫く山菜取りらしい登山道を歩くと、この道から外れ左にと登山道の標識がある。下を向いて歩いていると、見落としてしまうので注意が肝心。道は40年位前に植林したらしい、少し急な杉林の中を歩いて行くと10分もするとブナ林となった。花はと見ればイワウチワの葉があるだけであった。歩き初めて1時間もしない頃、振り返ると地蔵岳辺りが見える様になり、小さな木の杭に“本山が見える”とマジックで書いてあった。辺りにはブナの木に混じリオオカメノキも生えている。そして、大きな楢の木のところに細い丸木を斜めに長く切り“楢の木眺め”と看板が下がっていた。T氏はこの辺り“舞茸が出そうだ”とつぶやいていた。天気は快晴、温度は23℃である。T氏結構顔から汗をたらしている。ギンリョウソウ、サラサドウダンを少し見掛ける。そして、楢の大木がチラホラと登山道に出現する。さて五段山というから5回ピークが有るのかなあ?と考えながら歩いていると一つ日のピークが終わった。歩き初めて丁度一時間で平になった。それから少しなだらかな登りがあり30分も行くと“一段山が終わった。”そこから4〜5m登り下 りすると“大岩からみ”の看板があり、その岩を右に巻きながら登る。9時頃であった。花はマイヅルソウを見掛けられた。そして、木の花としてウワミズザクラが満開であった。それから6〜7mもありそうな立派なサラサドウダンの大木の街道であった。蕾が付いていたのでわかったがもし、蕾が垂れなかったら見落としていただろう。そして、“二段山”の登りとなった。途中に“天井ブナ”と看板がかかっているブナがなるほど、頭の上にのしかかってくるように斜めに生えていた。右横には本山が良く見えた。花は無くこれからのネバリノギランと咲き終わったコブシの花びらが地面に落ちていた。辺りはブナとオオカメノキ、ムラサキヤシオが咲いていた。“二段山”が終わりかなと思われる頃、道は左右に分かれていた。
左の方がハツキリしていると判断して少し行くと又分岐して、左真っ直ぐと右曲がりの道となった。右2〜3mの所に小さな池があり、鉄板製の標識が地面に置いてあり“一枚池”と書いてあった。どうやら“五段山”頂上か?二段で来たらしい。辺り残雪が見当り、湿原の様相を呈している。花はショウジョウバカマ、オオカメノキ、エンレイソウ等があった。道を右にとり、牛ケ岩山へのなだらかな登りで所々残雪を頼みながら歩く。大きな葉っぱに白い花があり何かと思えばミズバショウであった。ここでも咲いているのかと驚いた。登山道はミツバオウレンの街道である。そしてチングルマも咲いていた。それからイワカガミ、カタクリ、タケシマラン、カタバミ、白のイワウチワが咲いていて日を楽しませてくれる。牛ケ山は急な登りも無く通過した。此の辺りだったろうか?三国小屋が見えるようになった。御前山を過ぎた頃より辺りは低木とブナになり、景色も良く見える様になった。花を楽しみながら、急な登りもなく何時しか地蔵山に着いたらしい。標識はなく縦長の地蔵様みたいのが有った。そして1分位下がった所に雪で押しつぶされた道標があり何とか“血ノ池”と読めた。まだ雪が残って おり、そばの地面に鉄板製の標識が置いて有って、三差路の説明がしてあったが逆になっていたのか良く理解できなかった。左に1分行ってみたら、丸太の標識が立っていて左に横峰、右に剣ケ蜂だか三国だか標示されていて、地蔵小屋跡となっていた。そばに小屋をたたんだ板とトタンが重ねて置いてあった。戻って、牛ケ岩山から来て右の道をとった。少し下ると左に登る道があった。何処へ行く道かと不審に思いながら数メーター先に行くと丸太の道標に“地蔵水場道”とあり左横峰、右三国となっていた。一寸行くと下山する人に逢い、聞いて見るとさっき見た左に行く道は地蔵小屋跡に合流するとの事で理解できた。“血ノ池”のところは道は丸くつながっているのだと!ここは紛らわしい、ウロウロしてしまう。此の辺りにも水芭蕉が点在している。また、ハクサンチドリ、エチゴキジムシロ、ゴゼンタチバナ、イワハゼ等花一杯である。やがて岩稜地帯になり、剣ケ蜂の登りとなつた。岩稜といっても、全くの岩だけでなく少しの植物は生きている。丁度岩の隙間に板をおろしたイワハゼが、一株見事に咲いていたので、面倒ではあったがザックをおろしてカメラに収めた。此の辺りにもウラジロヨ ウラクがあった。そんな遊びをしていても、剣ケ峰に直ぐ着いた。そして、三国小屋は後僅かであった。
小屋で30分位休んでいると、T氏が憤慨して話した。何かと言えばトイレのドアが男女共ピッケルか何かで壊され、ガラスは割られ、キンカクシまで割ってあるというひどさだと怒った。一体誰が、どうしてこんな事をするのか呆れてしまう。世の中のマナーはどうなっているのか?!三国小屋から切合小屋まで、後一頑張りと歩き始める。既に稜線歩きで右斜面の雪が消えた所より、順次シラネアオイが咲いていた。そして、その花ビラは下で見るものよりかなり大きく驚いた。それからシロバナヘビイチゴ、ハクサンチドリ、シナノキンバイ、エチゴキジムシロ、等色とりどりの花で楽しませてくれる。それらを見ながら歩いていると“種蒔山”に苦労なく着いた。向こうは残雪をトラパースして“切合小屋”が間近であった。此の辺り、もしも霧で視界がきかないと、雪で道が判らず迷うのではないだろうか?小屋に着く前から登山客は目立ち始めていた。大体の人たちがこの小屋に泊まる様だ。周りはミヤマキンポウゲが目立ち、小屋の直ぐ前にはフリハタザオ?だろうか小さな白い花が咲いていた。
まずは、ザックを下し直ぐ前の雪渓に下りビニール袋に雪を結めてきた。そして、それに缶ビールを入れて冷したのは言うまでもない。間もなく小屋に入った。一階は少し狭い感じがしたので二階に上がった。混むといけないので、マットと寝袋を広げて場所を確保する。まずは500∝の缶ビールにロをつけたが、これが終わるのに時間は必要なかった。小屋は混むこともなく、ユツタリとした場所を使い夕食ということになった。食料担当のT氏に聞くと何と有るのは“野沢菜の漬物、清一升、缶ビール350∝2木、豚肉二枚、そして、途中で逢ったT氏知り合いの人より貰った携帯用ポテトサラダー袋”あとは明日の朝食用ラーメンニ袋と餅五枚であると私は聞いた“飯は何か有るか?”と、T氏日く“飯は酒一升!”ときたもんだ。“こっ!”と言ったがもう遅い、此処は山の上だ。幸い隣に陣取ったパーティがこれまたT氏知り合いの“本望氏”とのこと。早速、T氏聞こえる様な独り言というか、酔っ払った振りして話しかけ、“茄子の辛子漬け一袋と、空豆の煮たもの一袋”を戴いた。そして、それらを肴にして二人で“豪華な晩餐”をした。酔っ払って更に戴いたかも知れないが定かでない。私は酒が終わ らない内に眠くなり一度五時頃、寝袋にもぐり込んだ。そして死んだ様に寝て、八時頃一度起きて何やら話して又寝たとのこと。何を話したか覚こていない。
十二時頃喉が渇き、起きて小さなポカリスエッツトのボトルを全部飲み、外に出て小用をたした。空は満天の星、天の川が良く見えたのを覚えている。翌朝明るくなる頃起きて、早々と寝袋とマットをたたんだ。雪を取って来てお湯を沸かしている頃、T氏起床。一升の酒パックを持ち上げ、まだ残っているということで“空にする”ということになった。そしてそれを飲み、缶ビールを二本飲み、ラーメン餅を食べたら又眠くなってしまった。T氏に“本山をピストンして来ようか”と間うたところ“まず、止めよう”と答えてきた。私も素直に合意して、たたんだ寝袋をまた広げて一眠りした。再び起きて、小屋を出発したのは九時をかなり過ぎていた。小屋の直ぐ近くから雪渓をトラパースして“お坪”への夏道をとる。“御沢を下ったのでは花も見れ無いしつまらない”ということで…。
昨日見た花もあるし、ツマトリソウ、ツバメオモト、それからこれから咲きそうなヒメサユリ、そして、ハクサンチドリが其処かしこ咲いていた。“お坪”辺り、樹木ではダケカンバ、ナナカマド、キャラ?そして、“目洗い清水”に行くまでにも花では紫がかったカタクリ、マイズルソウ、ミツバオウレン、シラネアオイ、ツマトリソウ、ムラサキヤシオ、サラサドウダン、イワハゼ、オオカメノキの白い花、そして、見事なコブシの満開の花、雪が融けた直後の所ではマンサクの花、エチゴキジムシロ、イワカガミ、オオバキスミレ、ショウジョウバカマ、と歩きながら記憶するのは大変であった。そして、地蔵岳の登りではカタクリのお花屋というか、街道というか、誠に見事であった。そしてキクザキイチゲ、スミレサイシン?、ニツコウキスゲの蕾もあった。更にこれからのコパイケイソウも見掛けた。とにかく花の宝庫そのものだ!。そして、長い間楽しませてくれた花に別れを告げ後は唯、唯、下るだけ。30分も下ったろうかブナが目立ち始めた。ずっとイワハゼがあり、白のイワカガミも結構あった。それから、私は今回“堕落”してしまった。何故かといえば長之助清水で“水を飲んでしまっ た”事だ。今まで行動開始したら下に着いてビールを飲むまで水は飲まなかったのに、ついにその決まりを破ってしまった。年をとってしまったか!。
〔特筆事項〕
・今回は“五段山”に初めて登り、“お坪”を周遊してきて得ることが多かった。
・五段山というから、五つピークがあるかと思っていたが二つのピークであった。
・五段山の登りでサラサドウダンとしては大木の群生街道があった。
・五段山から地蔵山にかけてミズバショウが群生しているようだ
・五段山周辺にチンゲルマあり。
・お坪から地蔵岳にかけてハクサンチドリが共処かしこにあり地蔵岳近くでは見事に群生していた。。お坪から地蔵岳にかけて一週間後から。ヒメサユリの街道になるようだ。地蔵岳登りでカタクリの群生が見事、そして色は少し紫がかっている。
・地蔵岳下り30分もすると白のイワカガミあり
・ピンクのカタバミを見つけた。
何れにしても全山高山植物の宝庫だ!
完。