登山者情報421号

【1999年07月31日/石転ビ沢〜ダイグラ尾根/井上邦彦調査】

石転ビノ出合までは全て夏道。石転ビノ出合の雪渓状況が悪い、ルート設定に充分な留意が必要。門内沢と石転ビ沢の合流点にある雪渓は、合流部に大きな陥没があるので陥没から下流に離れたポイントで雪渓を渡るが、日々状態が悪くなっている。また今回は、門内沢に入って雪渓を渡り門内沢右岸から石転ビ沢左岸を伝い、石を跳ねて石転ビ沢右岸の夏道に取付いた。このコースも、門内沢入口部分が陥没し始めており、万全ではないし、石転ビ沢の飛び石渡渉ポイントを探すのが大変である。ともあれ、状況が刻々と変化しているので、自分の状況判断で通行してください。ルート設定に自信のない方は、入谷をご遠慮下さい。

石転ビノ出合から石転ビ沢 草付きから石転ビノ出合を見下ろす

石転ビ沢に入って暫らくは雪渓がなく、右岸の夏道を辿り、雪渓に上がります。まもなく右岸側からの枝沢部分の融雪が進んできました。雪渓の崩壊に留意下さい。ホン石転ビ沢は入口の雪がなくなり、迷い込みや落石の心配がなくなりました。対岸(左岸)の大きな枝沢も水場として使用できるようになりましたが、近づく時は崩壊に巻き込まれないようルートに留意です。
北股沢でいったん傾斜が緩くなりますが、左岸方向の北股沢に、大変迷い込み易くなっています。北股沢出合の水場(黄色い旗が立っています)を確認してから進むと、間違いにくいでしょう。
水場から黒滝に向かいますが、黒滝は既に雪渓が大きく崩壊しています。黒滝の手前は薄くなっていますので、早目に左岸の踏み跡に取付き、黒滝の上に出てください。黒滝と草付き(中ノ島)の間の雪渓は、嫌らしくなり始めています。左岸の踏み跡を忠実に辿ってください。左岸側からの枝沢に出たら,正面の尾根に踏み跡がありますから、それを真っ直ぐに登って、途中から左手(右岸側)の小沢を横切り、草付きの登山道に出ます。下山時は、草付きを下りきらないように注意してください。今回は、枝沢から斜めに草付きに取付こうとして,途中で鈍く嫌らしい雪渓の音がしたので、慌てて逃げました。雪渓に近づかない方が良いでしょう。
草付きの最上部で左手の小沢を横断する部分は、全く雪がなくなった。草付きの広場から若干の残雪を登り、夏道を登って、梅花皮小屋に着く。

北股沢出合の清水から黒滝と草付き 新装なった梅花皮小屋 手前が管理棟
イイデリンドウが盛りになっていた 水場から梅花皮小屋と北股岳

梅花皮小屋はほぼ出来上がり、仕上げ作業の段階に入っていた。暫らく休み、木内さんと入れ違うように出発。亮平ノ池と天狗ノ庭の間で2箇所ほど雪の上を歩くが、特に問題はない。御西小屋で管理人の松葉善治郎(JK7IWU)さんと小椋(飯豊鉱泉)さんに、缶ビールをご馳走になり、暫し歓談。弘法清水が出ていたので、玄山道分岐から僅かに下り、清水の袂でラーメンを煮て休憩とする。なお、弘法清水は秋にならないと露出しないことが多いので、エアリアマップには掲載していない。ここで大日岳の刈り払いに登ってくるはずの吉田岳を待つが、待ちくたびれて出発。

烏帽子岳山頂から御西小屋までの主稜線 御西小屋にて(松葉さん・筆者・小椋さん)
タカネナデシコ タカネツリガネニンジン(ハクサンシャジン)
弘法清水にて ダイグラ尾根御池ノ平上の水場

飯豊山で稜線から外れ、ダイグラ尾根に取り掛かる。上部は綺麗に刈り払いがなされていたが、中部から下はまだ手がつけられていなかった(8月09日現在、齋藤弥輔・吉田岳が作業中)。とにかく赤トンボがやたらに多い。宝珠山の岩稜付近では、登山道が赤トンボで覆われており、何処に足を置いたら良いか分からない。結局何匹も踏み潰してしまったようだ。口を開けば吸い込みそうである。宝珠山で2人パーテイを追い越すが、既に疲れきっている様子、心配になり「今日中に下山ですか?ライトは持っていますか?」と声を掛けるが、無愛想な返事なので、それ以上関わらないことにした。
下るにつれて暑さがこたえてくる。弘法清水で補給してきた水を飲み、日射病に備える。休場ノ峰で頭に水をかける。ぼうっとして、何もやる気がなくなり、視界が狭まり、夢を見ているような感覚である。風は全くない。暑さのため、少しでも熱を発散させようとして身体中の毛細血管が拡張している。このため脳で血液不足が生じているのだろう。このような時は事故り易い。急ぐことなくマイペースで、足場を確認しながら確実に下る。汗をかいても良いから、水分を十二分に採り、脱水症状に備える。
御池ノ平の水場は、冷たくて豊富であった。生き返る一時である。
桧山沢吊橋からは、予想どおり、メジロとの血みどろの戦いが始まった。メジロ(アオコアブの仲間)とは小さな虻のことで、コシジロとも呼んでいる。例年この頃になると発生し、清流の開けた場所に居る。だから林道を歩くと、次々に飛び立ち、人間の周囲を竜巻のように飛び回り、顔・腕・足と、所かまわず噛み付く。薄い衣類は通して噛み付き、ザックの隙間などに入ると、叩き落すにも落とせない。今回の私のいでたちは半ズボンにランニングシャツ、タオルをブンブン回して、ひたすら我慢し、天狗平に着いた。
<見かけた花:今回は丁寧に観察することができなかった>
北股沢出合〜梅花皮小屋:モミジカラマツ・ミヤマキンポウゲ・ハクサンコザクラ・ハクサンボウフウ・オタカラコウ
梅花皮小屋〜烏帽子岳:タカネナデシコ(盛)・クルマユリ・エゾイブキトラノオ・ニッコウキスゲ・ミヤマクルマバナ・タテヤマウツボグサ・ミヤマアキノキリンソウ(盛)・ハクサフウロ・ミヤマキンポウゲ・イイデリンドウ・コゴメグサ・マツムシソウ・タカネニガナ
御西小屋〜弘法清水:ムカゴトラノオ・ニッコウキスゲ・ハクサンボウフウ・ミヤマアキノキリンソウ・シラネニンジン・イイデリンドウ・タカネマツムシソウ・ミヤマコウゾリナ
<通過時刻>05:15砂防ダム発〜05:40地竹原~05:52梶川出合〜06:09石転ビノ出合06:11〜06:49ホン石転ビ沢対岸の水場07:02〜07:27北股沢出合の水場07:27〜07:50草付きの水場07:52〜08:12梅花皮小屋09:06~09:40烏帽子岳09:43~10:00亮平ノ池~10:36天狗ノ庭11:00〜11:28御西小屋12:23〜12:42弘法清水13:20〜13:45飯豊山13:48〜14:39宝珠山ノ岩稜〜15:32千本峰ノ岩場16:00〜17:13御池ノ平ノ水場17:28〜18:14桧山沢吊橋〜18:45天狗平
<歩数>0歩:砂防ダム〜5,037歩:石転ビノ出合〜8,322歩:ホン石転ビ沢対岸の水場〜12,492歩:梅花皮小屋~56,037歩:天狗平