登山者情報422号

【1999年08月01日/石転ビ沢〜梶川尾根/木内茂雄調査(単独)】

朝4時頃家を出た。週間天気予報通り快晴である。4時半頃飯豊山荘に着く。車止めゲートには、武田会長と弥輔氏二人が登山客に山案内をしていた。
朝食を済ませ、弥輔氏に温身平まで送ってもらい、歩き始めたのが丁度5時であった。昨日のゴルフの疲れもなくマイペースで歩く。途中、トビ茸採りの3人が休んでいたが挨拶して通り過ぎる。後は誰も居なく、唯一人。汗をかかない様にと急がず歩くがジットリと汗ばんでくる。
梶川出合の少し手前で、後から足音が聞こえたので誰かと思えば、HZUではないか。短パンに運動靴、そして両ストックと軽やかないでたちで「本山経由ダイグラ尾根を日帰り」と言って快調に私を抜き去って行った。「私も、もう10年若ければ」と羨ましく思いながら彼を見送り、亀の如く後に続く。
梶川出合の手前、川原に降りる個所が歩けなくなったのか巻道になっていた。梶川の水量は普通で、石伝いに渡り休まず先に進む。
石転出合付近に、カラマツソウ、そして自のシモツケソウかと思ったら、HZUよりオニシモツケソウ(別名ナツユキソウ)と無線で連絡してきた。石転び出合の状況は、昨日門内沢出合(石転ビノ出合)の雪渓が崩落したと聞いてきた通りで、それが遠目で判った。この辺りから雪渓が始まっているのだが、門内沢まで行かず、直ぐ左下の雪渓を対岸に渡った。了度大石の下方になる所だが、ハクサンコザクラが咲いていた。
暫く夏道を登り、雪渓の途中の所にぶつかり初めての休憩をとる。例年だと雪渓の上に来ると寒い感じであったが、今日は差ほどでない。上を見ると遠くにHZUの歩く姿がみえる。
4木爪のアイゼンを付けたが、靴の土踏まずが深く、爪の先端が漸く靴底に出る程度である。まず気休め程度であり普通に歩くには効果なく、雪のでつぱりを土踏まずで歩く時に効果があるのみである。雪渓は安定したスプーンカットの状態なので歩き易い。後から朝日に照らされると暑いので、右岸側の日陰を選んで歩くと丁度良かった。
ホン石転沢出合で一服してニピッチ目で黒滝に着いた。雪渓はここで終わっているので、スノーブリッジの薄い所を踏み抜かない様にして、夏道に飛び降りた。此の辺りに蕾のミヤマカラシが一株有った。
一服後、土の上を歩き始めた。夏道には黄色の旗が三木位立っているので一般の登山者でも道を間違えることはない。ミヤマキンポウゲを眺めながら草付きをバテない様にして高度を稼ぐ。一ピッチで新しい小屋の見える所、即ち草付きの広場に着いた。雪がまだ残っており、15メーター位その斜面を登り、そして夏道を少し登って小屋の前に出た。
小屋は未だ工事中で大工さんが何人か作業をしていた。監督の佐藤氏が出迎えてくれて、冷えた500∝のビールをサービスしてくれた。何が何でも先ずこれに手をつけた。山の良さの一つはこれで有ることは言う迄もない。
一心地つけてから小屋番の関氏を探したが不在であった。聞いてみると水源の整備に行っているとのことであった。
小屋はほぼ完成で、掃除とダメ工事をしている最中であった。後は早く使えるのを待つばかり。
天気は良く、上から太陽に照らされるけれど、ほど好い風が吹いていて日向ボッコに丁度良い。周囲には、紫鮮やかなマツムシソウが咲いているのと、草むらには小さなイイデリンドウが点在して咲いている。そして、今年もイブキトラノオが咲いているし、ハクサンフウロ、ニツコウキスゲも未だ咲いていた。一時間半も大体止したが、関氏戻れないということで、会わずに帰ることにした。
直ぐに北股岳の登りとなったが、矢張歩き初めはきつい。周りを眺めながら行くと例年のごとくナデシコ、イワオウギ、クルマユリ、チシマギキョウ等が咲いている。途中写真を撮りながらユツクリと登る。北股岳頂上で、一服しながら飯豊連峰全山を−望する。のどかなものである。
小休止後、門内を目指して下る。ギルダ原に降りて見ると、ニツコウキスゲはもう終わりで、イブキトラノオ、ハクサンシャジン(タカネツリガナニンジン)、クルマユリ、ハクサンフウロ、ミヤマアサツキとおなじみの花が咲いていた。そして、門内近くでは此処に咲くのかと初めてクガイソウを見つけた。いくらか背が低いがカメラに収めた。そして、何所かでハクサンシャジンの白と紫も撮った。それから、思い出したが北股岳周辺で白のチシマギキョウを撮ったが何だか少なくなった様な気がする。(盗掘する人がいるので、場所を詳しく書けない。)
門内小屋で一服し、最後の麦ジュースを飲む。小屋の中に入って見たが何んとなく汚い、そして若い男子がいたので挨拶したが何の反応もなし。つまらない物を見た様な気がして、早々に小屋を出た。
扁ノ地紙に向かって歩き始めたが、今回もトンボが多く歩く先先で、登山道と傍らの笹に日向ボッコしているのが一斉に飛び立つ。一体何で日向ボッコしているのだろうか?。学術的に判る人が居たら教えてもらいたい。
扁ノ地祇より梶川尾根へと下る。右斜面には雪融けを待つて追い掛けるようにしてチングルマが咲いているし、今年も可愛いいキンコウカが満開であった。ケルンには紫鮮やかなマツムシソウが咲いていた。上手く写ってくれとシャッターを押す。帰って、またODDにピンボケの名人と言われないように・・・。
これから後は花も無いだろうと、カメラはザックの中に、三脚はザックに結びつけた。そして、暑い下界へと下った。この暑い中をまだ登って来る人達がいた。この時間帯にバテないで登って来るのは大したものだ。
五郎清水も通過、滝見場も通過、そして、湯沢峰に登った所で小休止。そして、また下る。唯下るのみ、飯豊山荘の屋根が見える様になって、最後の小休止。この尾根は唯下る、としか書けない。そして、山荘に着いた。 完

タイム  温身平5:00−5:35梶川出合一6:20石転出合6:40〜9:05梅花皮小屋10:30−11:00北股岳一12:00門内小屋12:30−13:00扁ノ地紙〜15:40飯豊山荘