登山者情報447号

【2000年03月25日/山毛欅潰山/井上邦彦調査】

山毛欅潰山とかいて「ブナツブレ山」と読む。その名に引かれながら、立地条件の関係でなかなか機会を得なかった。本日は天候も良くないことがはっきりしていたので、標高の手頃な山を探していたところ、飯豊町側から入れば容易に登れることに気づいた。
念のため、スキーアイゼンを取り寄せ、ピッケル・輪かんを削った。
ゆっくりと自宅で朝食を済まし、手ノ子経由で中津川に向かう。岩倉の神社で地形図を確認し、若干戻って小川入沢沿いの車道に車を入れた。約550m進んだ所で車が動かなくなる。僅か引き返し駐車場?に車を止める。念のため近くの民家に駐車を断ろうとしたが不在であった。
車の中でカッパを着、スキーを履き、10:01出発、標高を410mにセット。程なく最奥の民家に到着、ここで除雪道は終了。その先にも暫らくは、重機が動いたような痕跡があった。10:13砂防ダム橋?でカッパを脱ぐ。天候はアラレ。10:29笠も脱ぐ。橋を過ぎたことに気がついて慌てて戻り左岸に移る。するとその先にもっと立派な橋が架かっていた。どうもこの辺は地形図と多少食い違いがありそうだ。大橋の付近は成長した杉林となっている。ともあれここで10:32から10:38まで休憩。
カッターシャツを脱いで下着1枚になり、北西から入って来る小沢(雪に埋もれている)の右岸に取り付く。昨日までの雨のせいで、雪の状態は良くない。粗目雪層も潜るが、その上の新雪ごとズレ落ちる。弱層テストをしてみると、20cm程度の新雪と粗目層の馴染みは良くない。スキーを履いているのに30cmは潜る。平坦な尾根上に出ると、風が出てきたのでカッパだけ被う。右は一面の造林地。左は雑木林である。進むにつれて左手はブナが多くなり、時折巨大なナラが残っている。11:30急斜面を登り終えると造林地に出る。小川入沢右岸の尾根が広がる。

強大なナラが点在する 標高710m峰

11:44標高410mのピークに立つ。使用しているのは平成2年版国土地理院25,00地形図であるが、標高が「71m」となっている。710mの誤植であろう。ともあれここで、山毛欅潰山の翼に抱かれる感じである。粗目雪が水分を含んでいるのだろう、シールに雪が貼りつき重いことこの上ない。ストックで叩き落しながら進む。正面右手の尾根を登る。雪庇は殆ど出ておらず、むしろ最後の部分のみガリガリで、スキーアイゼンが頭をかすめるが、長い距離とは思えないのでそのままエッジを立てて登りきる。
850mの主尾根に出ると山頂までは平坦で広い尾根が続く。主尾根北側(すなわち小国町)は見事なブナ林である。この光景が見たかったのである。

小川入沢右岸の様子 山頂への主尾根

12:31山頂着、のっぺりとした雪山である。若干下り、12:35スキーを脱いで竪穴を掘る。腰近くまで雪に潜る。ツエルトのフライで屋根を作って簡易休憩所とする。作業開始から乾性まで11分を要した。ラーメンを煮ながらODDと無線交信する。携帯電話も確認すると通話可能のマークが出ていた(携帯電話は山頂部のみ可能なので注意してください)。風が強くなりフライがばたつくので、風上に雪のブロックを載せる。

山頂の休憩所 北側のブナ林

腹もふくれ、下降の準備をする。シールを外して見ると、エッジまで氷が貼りついている。スキーのエッジどうしを擦り合わせてなんとか削り、13:36下降を開始する。帰路は登ってきた尾根の東側に伸びる尾根とし、最終的には取りつきに出ることにした。これが狂うと小川入沢を渡れないことになる。例によって転倒を繰り返し、何とか、14:17予定通り取りつきに到着。
あとはまだ残っていたトレースを辿り、14:34車に到着した。