登山者情報453号

【2000年05月07日/大日杉〜五段山〜地蔵山/井上邦彦調査】

下越山岳会の情報によると、三国岳剣ケ峰は状態がかなり悪いらしいので、切合〜地蔵岳への一周は止めて地蔵山までとした。運が良ければ惣兵衛まで車では入れるだろうし、運が悪ければ岩倉までしか入れない。そこで自転車を準備した。これも一周を諦めた理由のひとつである。確かに岳谷集落の手前に「積雪のため当分の間、全面通行止め」のバリケードが設置されているものの、バリケードは開いている。岳谷集落内には雪崩の危ない所はない筈なので、行ける所まで入ってみることとした。結果的には、惣兵衛の先1.0kmで除雪は中断され、福島ナンバーの車が数台とが台、止まっていた。Uターンをして他車の邪魔にならないように駐車する。
スキーを肩に担いで05:15歩き始める。雪崩跡を越え、乾いた舗装道路を歩いて、スキーを履く。05:31〜35、スキーにシールを着ける。何箇所か雪が無くなっている所があるが短いので、その都度スキーを両手で持つ。沢山の人とスノーモービルが通った跡があり、雪は腐り気味である。06:27大日杉小屋に到着、ここまで4,047歩。小屋のピロティに天幕が4〜5張り張ってあった。なお、大日杉小屋は一部改修工事が必要になったため、当分の間、使用禁止である。

大日杉小屋は当分の間、使用できません 自己責任で渡る吊り橋

小屋の前をそのまま進み、赤布から川に下る。V字形の吊り橋には「この橋をご利用の方は、自己責任の上お渡り下さい」との注意書きが下げられていた。スキーを肩に担いで片手でワイヤーを握って渡るが、かなり不安定である。06:17橋を渡り終えると急な斜面が待っていた。そのままキックステップで河岸段丘の上まで上がったが、多少息が切れた。スキーを履き、杉林を抜ける。何人かの踏み跡が確認できるのでルート選択に迷うことはない。06:25清水(標識あり)が露出していた。すぐ先の小沢は薄くなった雪の上をスキーの利点を活かして通過、「←五段山」の標識から登り始める。
傾斜がきついのでスキーを曳くことにしたが、カラビナと5mテープを登攀用具袋から持ってくるのを忘れたことに気づいた。仕方ないので、6mm20mロープを切って引き綱とする。スパッツを着けてキックステップで登るが、結構堅い雪である。06:51、710mまで直登し、杉林となったところでスキーを履く。スキーのビンディングはDIAMIRであり、かなり気にいっているが、唯一固定バンドのジョイント部分が雪ですぐ詰まるのが不満である。そのうちに、直そうと思う。07:04〜17休憩、標高790m、夏道になる。07:30〜35、910m小ピーク、ここから雪の上になる。マンサク・イワウチワが盛りである。イワウチワはこの先、五段山直下までびっしりと咲いていた。

こぶ山から五段山を目指す

07:38、1,030m自宅に携帯電話が通じた。08:08〜13、こぶ山で高度計を直す。素晴らしい展望である。ここまで8,184歩。下り始めるとすぐ夏道になる。1,210mロープがセットされている。すぐ上から雪が2箇所。慣れている人なら左の雪庇を歩きたくなるだろう。今回はコース状況の調査なので、できるだけ夏道を行く事にする。1,230m08:36〜50、天井ブナで休憩を取る。1,250mから雪道となる。08:58〜09:01、1,290m小ピークでスキーを履く。09:05、1,310m五段山々頂、予想通りにスキーに最適の主稜線である。09:25〜31靴を締めなおし、無線をセットする。09:41〜46、1,420m牛ケ岩山。ここでシールを外す。実に快適な滑降である。石転ビ沢でLFDに教えてもらったことを思い出してバランスを取る。登りになるとロープを付けてスキーを曳く。地蔵山手前の鞍部に僅かの夏道が露出していた。

五段山から牛ケ岩山 牛ケ岩山から地蔵山

10:27、地蔵山々頂。ここまで13,442歩。山頂には誰が立てたのか黄色い旗が高くはためいていた。山頂下の窪地で缶ビールを雪に埋め、ラーメンを煮る。双眼鏡で剣ケ峰を覗く。登山者の姿はないがトレースははっきりと確認できる。中間より下に1箇所、茸状雪の下部末端の崩壊跡がやけに白く新しいことが分る。崩れた白いブロックの部分、トレースが途切れている。登山者のいない時の崩壊であったことを祈る。現状は運しだいのコースである。窪地で休んでいると殆ど風はない。クツクツと煮えてきたラーメンを肴にビールを喉に流しこむ、至福の一瞬である。

登る途中から見た大日杉・地蔵岳 地蔵山から見た剣ケ峰の岩稜

山頂に戻り、靴紐を締め直し、11:20下山を開始する。思い通りのターンができ、恐怖感は全くない。登りになるとスキーを曳き、1:45牛ケ岩山通過、11:50鞍部、12:00〜05五段山山頂。小ピークから若干下った1,280mでスキーを脱ぎザックに固定し、夏道に入る。スキーを担ぐと頭上の高さが分らずにヒメコマツの枝に引っかかる、急な斜面ではスキーのテールが登山道にぶつかりバランスを崩す、藪に入ればビンディングに枝が絡み付いて動けなくなる、全く厄介物である。故意に雪庇の上に上がり下降する。1,160mで夏道に上がり、雪道を登り返すと1,120mのこぶ山である。1,90mで夏道となり、すぐに雪道・夏道となり、1,060mで雪道、1,050mで夏道、970mで雪道、960m夏道、945mで雪道となる。920m付近から周囲のブナの若葉が綻び始める。910mで夏道、790mで雪道となり杉林に入る。始めての下降であればかなりルート選択に迷うかもしれない。急なトラバースの途中で目の前に羊羚がこちらを見つめているのに気が付いた。そのまま木枝の切れるまで下りカメラを出して撮影する。

羊羚と出会う

13:14、635mトラバース道まで降りる。沢のため雪が薄くなっている箇所があり要注意。清水で顔を洗い喉を潤す。13:17発。13:21吊り橋着、両手でワイヤーを持ち渡る。夏道を登り返し、13:25〜32、大日杉小屋。1階のトイレは鍵が開いていた。スキーを履き林道を快適に進み、14:12車に到着。22,737歩であった。