登山者情報459号

【2000年06月03〜04日/石転ビ沢〜梶川尾根/齋藤弥輔調査】

2,000年ミレニアム登山を標高2,000mの飯豊連峰の梅花皮岳に登り、山頂で登ってきた石転び沢を見下ろしながら、冷えた瓶ビールで大きな声で乾杯をしようと計画、山形山岳会との定例交流会を、第1回目の2,000年ミレニアム登山とした。
6月3日
07:25 飯豊山荘に14名が集合。小国山岳会員9名、山形山岳会5名が出発する。(高貝氏は後で追ってくることになっている)
08:55 美味い水を通過。水場は出ている。手前の倒木は歩きにくいので、手前から回り込み登ったほうが楽である。彦衛門の平で朝食タイムを取り、通称「婆マクレ」から雪渓に降り、ここからは雪渓の上を歩くことになる。
09:43 梶川出合通過。
10:16 石転ビノ出合(門内沢出合)に到着。石転び沢の上部には、先を行く登山客が50人以上見える。門内沢の方にも6〜7人が張り付いている。
10:45 全員がアイゼンを着用し、休憩を終え登り始める。
12:04 ホン石転び沢出合の対岸で休憩し、昼食。雪片(氷状)の崩落があり、直径30cm位の大きさの物が2個勢いよく、雪渓を飛んでいく。登山客に当たるような事があればと思うとぞっとする。休憩中でも上部から目を離さないで注意していて欲しい。
13:20 北股沢出合に到着。ここで私の友人(7人パーテイ)の2人に会う。1人が痙攣を起こしたので連れ添うことにし登るのを断念。他の5人が梅花皮小屋まで登り、休憩後にスキーとボードで滑ってくるとの事であった。
全員が到着したので記念写真を撮る。遅れて出発している高貝氏が無線で、石転ビノ出合をハイピッチで登ってきていると連絡してきた。確認するとそれらしき人が見えた。ここでゆっくりと休憩してから、出発する。
ここから梅花皮小屋までは雪渓の壁になっている。黒滝の上部付近まで登ってきた時に右側でおかしな音がした。梅花皮岳の中腹から雪片の崩落が発生、北股沢出合で休憩中の登山客に大声で知らせる。1m位の大きさの雪片が飛んでいく。休憩中の登山客が逃げるが、置いてあるスキーを直撃して雪渓を転がっていった。上部を見ると梅花皮岳の中腹からはまだまだ落ちそうなブロックが付いているし、北股岳の方はこれからがブロック雪崩れの本番を迎えることになる。
私の友人達がスキーとボードで華麗な滑りで壁を降りてきた。私の所で一旦止まり挨拶をしてきたので、先ほどの雪片の崩落を教えると、彼らも登って来る時に同じ場所から落ちてきたのにあい、怖かったと話していた。高貝氏が追いついたので荷を少し分散し背負ってもらう。  
15:07 全員が梅花皮小屋に到着。ビールで軽く乾杯をした後、今回最大の目的である2.000年のミレ二アム登山、標高2.000mピッタシカンカンの梅花皮岳の山頂に向かう。
全員で梅花皮岳の山頂に立ち、瓶ビールの栓を抜き、苦労し登ってきた石転び沢に向かい、大きな声で「かんぱーい」と叫び、カップのビールを一気に飲み干し、ミレ二アム登山の垂幕を持ち、記念写真を撮影した。
小屋に戻り記念晩餐会の準備にとりかかる。メニューは熊汁と豪華な舟盛りである。酒はビール、日本酒、ワイン、ウイスキーと出て一般客も何人か参加して最高に盛り上がった一夜であった。
6月4日
04:30 素晴らしい雲海と御来光で目がさめる。雪渓がまだ多く残っている北股岳が朝焼けで赤く輝いてその雄姿を見せていた。早速、朝食の準備にとりかかる。
06:30 朝食、ここで下山のコースを2つにして降りることにした。会長他5名と山形山岳会の5名の10人パーテイは石転ビ沢を下る事とした。仁科、高貝、鈴木、原田、と私の5人パーテイは梶川コースを、迷いやすい雪渓の上に目印の赤布と旗を付けながら下山することにした。夜明けとは天候が変わりガスがかかり視界も悪くなって霧雨と風が少し出てきた。              
07:35 梅花皮小屋を出発した。
07:53 北股岳山頂通過、ここまでは登り半分が雪渓を登ることになる。
08:35 門内小屋到着。小屋の中で休憩する。泊客2名がいてまもなく門内沢を下山すると言って出発して行った。
09:05 扇ノ地紙到着。相変わらずガスが濃く視界が20m位しかない。ここから250mは雪渓が残っていて迷い易い場所なので、コンパスで方向を確認しながら、旗を立てながら下山を開始する。
09:28 ケルン通過。
09:35 梶川峰通過。ここでまたコンパスでルートの方向を確認する。ここから下は雪渓が多く残っており、トットバノ沢に迷い易く、また、五郎清水もどこにあるのか分からない位に雪で覆われているので、旗を立てながら滝見場までグリセードで下る。
09:43 滝見場到着。滝見場の松は出ているが、道標は5mの雪の下である。
休憩をしながら上を見ると、途中で追い抜いてきた3人パーテイが五郎清水付近をへっぴり腰で、ピッケルでなくストックで恐る恐る下って来るのが確認できるので、約10分ほど注意しながら見守り(滑落すれば500m以上は落ちていくだろう)安全な場所まで降りた事を確認した後で、移動を開始した。
湯沢峰手前の水場から湯ノ沢に下り、元湯の場所を見て降る。
12:05 飯豊山荘到着。石転び沢を下山した会長他9名も一足早く到着していたが、我々を待っていてくれて、一緒に山荘の温泉に入り2日間の汗を流して、山形山岳会の皆さんとミレ二アム登山の閉会と解散をして、自宅に帰る。
今回のコースの注意点は
@ 石転び沢はブロック雪崩れがいつ発生してもおかしくない。
A 梶川尾根は滑落とルートの迷いが発生する可能性が多い。地図とコンパス、アイゼン、ピッケル等がまだまだ手放す事ができないと思う。 
B 雪渓の状態は例年の1ヶ月の遅れであると言える。

以上