登山者情報500号

【2000年09月15〜16日/石転ビ沢〜梅花皮小屋/木内茂雄(単独)調査】

タイム   
(9/15)飯豊山荘5:05→5:25温身平分岐→5:35温身平砂防ダム→6:00ウマイ水清水→7:00石転出合→10:45梅花皮小屋
(9/16)梅花皮小屋9:40→13:15飯豊山荘

記  録
〔9/15〕
1週間前の天気予報では、この3連休曇りか雨であったが、休みに近くなる頃には晴れに変わってきた。これ幸いと計画を実施した。当日、夜明け前に飯豊山荘に着き、ニギリ飯を一つ食べ終わる頃夜が明けた。登山客は誰もおらず、私一人で砂利道を歩き始めた。3週間前に来た時はライトを点けて歩いたが、明るい方が矢張り良い、原生林の景色を見て歩ける。ブナの大木を見上げながら、その向こうの空から今日の晴れは間違いなしと確信する。
慣れた道を一ピッチで“ウマイ水清水”まで歩く。九月も半ばだというのに気温が高い、温度計を見ると30度である。此処から“彦衛門の平”辺りまで例年オチクラブシ(トリカブトの蔓状種)が咲いている。鮮やかな藤色に咲いていて非常に綺麗である。今年はまだ早い様で少ししか咲いていない。その内の一つをデジカメに納める。そしてその先で遅れているアジサイの花を撮る。
梶川出合には殆ど残雪は無く、沢を飛び石で渡る。雪は無いと言ってもそこかしこにまだ見受けられる。風が無く暑かったが、赤滝に着く頃、風が吹く様になり少し楽になった。途中、オトギリソウ、モミジカラマツ、カラマツソウ、タニジャコウソウ、ヒヨドリバナ等が咲いていた。此の時期でも結構花はあるものだ。沢から離れ高度を少し稼ぎ、灌木帯を過ぎイタドリの草藪になると周りが開け、石転出合となる。
左上方に石転雪渓が見え更にその上方の稜線に梅花皮小屋ハッキリ見える。石転出合の風景は、辺りが少し開け、門内沢には雪がまだビッシリ残っている。そのため、右の門内沢がメインル−トに見え、此処で霧の出ている時には特に門内沢に迷い込むことがあるので要注意である。ベテランでも迷い込むことがある。
門内沢の残雪を左に渡り、雪が切れている処で石転沢の石の上に降り立つ。そして右岸に渡る飛び石のル−トを捜す。直ぐにル−トは捜せたが増水するとかなり難しくなる。右岸に渡り夏道を歩く。何か変わったトラノオかと思ったら、少し赤みを帯びたクガイソウが咲いていた。
右岸の草混じり登山道を2〜300m登り雪渓の末端に着く。此処で4本爪のアイゼンを着ける。アイゼン無しでも雪渓のスプ−ンカットが大きいので歩行可能である。しかし、慣れない人はアイゼン装着をお勧めする。稜線から残雪の上を吹き下ろして来る風が涼しく、心地良い。途中一度雪が切れるが30mも夏道を歩くと又残雪の上を歩く様になる。例年だと今頃は岩と石だらけのガラ場歩きなのだが、今年はもの凄く残雪が多くたまげる。そして、雪は黒滝の直ぐ近くまで続いている。此処で草付きの夏道に降りるが、シュルンドが小さいので簡単に降りられる。アイゼンを外し一服する。
そして、この後、ワンピッチで小屋なのでデジカメを取り出して花の写真を撮ろうと思ったが何も無かった。気温が高いせいか此の急登でドット疲れが出て来て、軽いデジカメを持って歩くのもいやになった。やっと小屋が目の前に見えるテント場に着いた。3週間前
に比べ大分少なくなったが、まだ雪が残っていた。
小屋にはまだ登山客は居なかった。まず、管理人室を開け、バケツを持って水場に行き水を汲んだ。いつも思うが、飯豊連峰随一の水場である。2〜3分で汲めるし、冷たく手を入れて居られない最高の水である。それを汲んで小屋に戻り、後から登って来る吉田君のために或る物を冷やした。
カメラを持って外に出る。先程見たイワインチンを撮る。3週間前は咲き始めであり、今回は咲き終わりであるが何とか撮れた。流石は菊科だけあって花の期間が長い。あとは、快晴の青空に浮かび上がる北股岳や梅花皮岳、烏帽子岳を眺めながらノンビリと“山“を満喫した。空は間もなく秋空になる・・・。3連休のため登山客は40数名泊まった。

(9/16)
昨夜は夢うつつに風の音を聞いていた。朝、起きてみると快晴ではあるが風が強く、山肌の草木が白く波打っている。台風14号は朝鮮半島に、17号は太平洋岸をかすめて行く予報なので問題なさそうだ。今日は山仲間のODDが一人同伴して、そして、HZUが単独で登って来る情報が入っていたが、明日の天気予報が思わしくないので、ODD達は石転出合で引き返した。私はもう一日居る予定であったが、花も無く、風が強く、風景写真を撮る意欲も湧かず、明日の天気が悪いとなれば・・・と思いを巡らし、今日帰ることにした。小屋を掃除し、トイレットペ−パ−を補充して、登って来るHZUのために氷状の雪をバケツに取ってきてビ−ルを冷やした。
用意万端、下山開始、北股岳を登って梶川尾根ル−トを下るのも良いが、相変わらず風が強く写真も撮れないので、石転沢を下った。“黒滝”の下でアイゼンを着け、ピッケルを取り出した。久しぶりに持つ30年愛用の物だ。此の装備であれば楽々である。若ければ駆け足で降りたろう。一般の人に是非アイゼン、ピッケルの装備を勧める。
昨日来たル−トなので後は省略する。特筆するならば、下は暑く、温身平からの砂利道(たったの15分であるが)無ければと強く感じた。 

アジサイ オチクラブシ
イワインチン オトギリソウ
ヒヨドリバナ タニジャコウソウ
黒滝直下雪渓 梅花皮小屋と北股岳
ホン石転ビ沢出合対岸の井上氏 岩登りの井上氏