登山者情報502号

【2000年09月23〜24日/石転ビ沢〜梅花皮小屋/木内茂雄調査】

メンバ−  井上氏、原氏、武田氏、高橋氏、木内
タイム
(9
/23)温身平砂防ダム6:206:55下ツブテ石→迷い沢→7:00ウマイ水清水7:15→彦衛門の平→上ツブテ石→ババマクレ→7:25慰霊碑→7:30地竹原→8:00梶川出合→9:00石転び出合→10:40黒滝→11:20梅花皮小屋
(9
/24)梅花皮小屋10:0010:45黒滝→12:10石転び出合12:2513:40温身平砂防ダム

4.記  録

9/23
 週間天気予報では二日間とも降水確率50パ−セント以上なので、今回の山行は止めようと思っていた。そこに前会長の武田氏より〔新〕梅花皮小屋建立の功労者と言うか、恩人の井上氏と原氏を案内するので同行してくれとの依頼があり、高橋氏と総勢5人となった。当日、飯豊山荘前で集合するまでは‘雨で中止かなあ’と思いながら、と言うよりは中止の方が良いなあ考えていたが、予報に反し曇りなので出発した。
当初の予定通り石転び沢のコ−スを行くことにした。今回は超ベテランの武田氏が一緒なので、地元で呼んでいる地名に就いて教えてもらいながら歩いた。温身平の砂防ダムのコンクリ−トの階段を登り、山道を歩き始めた。左に本沢を見ながら、なだらかに20分も進むと20メ−タ−くらい下りとなり、直ぐその先で右から降りて来ている小沢と交叉する。此処で左下の本沢の河原に“オニギリみたいな大きな石”が有りこれが“下ツブテ石”だと教えられたが木の葉が邪魔をしてどれだか判らなかった。更に先に進むとやがて又沢にぶつかる。これを数メ−タ−登り、沢から左に分かれるのだが、下を向いたままで歩いていると沢を真っ直ぐ登ってしまう。何年か前にこれを登って梶川尾根の方へ迷い込み遭難騒ぎを起こした登山者がいた。今は赤ペンキで印しを付けてあるので迷わないと思うがこれを勝手に“迷い沢”と命名する。
 その先15分で沢に出る。これが“ウマイ水清水”である。一見、涸れ沢の様であるが直ぐ下からは水が大量に湧き出ている。冷たい水で此処を休憩ポイントにして皆さんは喉を潤している。残念ながら、私は一日が終わるまで水を一滴も飲まないのでその“ウマサ”を説明出来ない。この沢を数メ−タ−登り、沢から左に分かれる。間もなく少し平らになると“彦衛門の平”であるが以前有った標識はいつの間にか雪にやられ何もない。その先で、左下の本沢にオニギリの様な“上ツブテ石”が有ると説明されたがこれ又木の葉が邪魔して良く判らない、隣りの高橋氏は判った様な返事をしていたが、私は判らず、木の葉が落ちた頃、もう一度教えてもらおうと思う。
 その先で、斜面をトラバ−スする箇所があり、此処を“ババマクレ”と言う説明あり。その謂われはある時、婆さんが此処で転げ落ちた時かかか名付けられたとのこと(因みにマクレルとは、小国界隈の方言で転げ落ちる意味である)。更に進み、少し平らになると登山道右脇に慰霊碑が有る。その先に道は少し下がり本沢と横並びの平らになると、此処が“地竹原”と説明あり。周りはイタドリばかりで竹は無い。皆、不思議そうにしていると、武田氏曰く、この右少し上に藪漕ぎすると地竹が有りそのタケノコを採った事から由来しているとの話であった。そして、先週と同じくこの辺りにタニジャコウソウがまだ咲いていた。
 やがて、梶川出合となる。先週までは残雪が見られたがほぼ無くなった。しかし、先程から遠く、右上方の門内沢と左上方の石転び沢にはタップリ残雪が白く見える。これをデジカメに収める。
 その先からは少し高度を稼ぎ、本沢を見下ろせる崖をトラバ−スする様になると“赤滝”となる。この辺りの岩が赤茶色しているので、この名が付いた様だ。そんなことを考えながら、傍のススキを見ると穂が出ていた。今まで暑いなあと汗をかいて来たが、もうそこには秋が忍び寄ってきているのだ。
そして、空を見上げれば雲は多いが晴れである。此処にも“何か心と秋の空”秋が漂っている。
 そして、石転び出合に着いた。、左の石転び沢側は残雪が切れ落ちていて直接降りられない。門内沢の残雪を渡り門内沢右岸の草付きを左にトラバ−スして石転び沢に降りる。先週と同じ処を飛び石で石転び右岸に渡る。此処で休憩後、高橋氏と私は先に出発した。梅花皮小屋に早く行きウマイ‘芋煮’料理を作るためであった。直ぐに夏道に出て歩き始めるとクガイソウが少し群生して、赤みがかった花を咲かせていた。先週来た時も咲いていたが風が強く、写真を撮れなかったので先程ザックにしまったカメラを又取り出しそれを撮る。
 残雪の末端は先週に比べ少し上になっていたが、まだタップリ有り、間もなく雪の上の人となる。途中、クレパスの大きくなった箇所も有ったが問題なく通過る。雪渓上部末端も、先週より少し下がったかなと思われる程度で“黒滝“下の夏道に降りた。アイゼンを外しながら、草付きの急斜面を見上げると白い花が一面に咲いていた。近くで良く見るとモミジカラマツであった。遠くには黄色に目立つオタカラコウが数本見えた程度であり、もう花は終わりの様だ。草付きを更に登って行くと最後と思われるウメバチソウが多く見られた。
 小屋に着き、まず‘泡‘を飲んだが美味くない。今日はいつもより汗をかかなかったせいだろうか?直ぐに二人で手分けをして水汲み、雪取り、そして料理にかかった。料理の味付けをしながら、飲んで居ると次第に本来のウマサが喉を通る様になった。芋も煮え、味も最高になった頃、後発の3人が順調に到着した。後は決まりである。付け加えるとすれば、紅葉はまだで、水場に行く時、右下に見たナナカマドの実が赤かったのが印象に残った。それから、天気予報が悪かったので登山客は殆ど来ないかと思っていたら、16人の大パ−テ−とその他6人で22人泊まった。(世の中物好きもいるものだ。)
(9/24)
 朝、心配した天気もさほどでなく曇りであった。そして、時間が経過するに従い高曇りとなり、蔵王の
GZKからも天気予報の無線連絡有り、安定しているとの事であった。下りは同じ石転び沢“を下るのでユックリとオリンピックの実況放送のテレビを見て過ごした。今日はうまい具合に女子マラソンである。高橋尚子の走りを見て居る内、次第にトップに出て、そして独走、金メダルでゴ−ルしたので5人で拍手をして喜んだ。『記念すべきミレミアム梅花皮小屋』であった。そして、小屋を出たのは10時であった。
 昨日と同じコ−スなので代わり映えしないが、1日経っただけでも雪渓の状態は変わっている。クレパスも大きくなっているし、恐らく見えないがスノ−ブリッチも薄くなっているだろう。油断はできない。石転び出合付近の雪が融けて間もない処では、草が若芽を出し、イワイチョウは花を咲かせていた。出合で高橋氏と私は先行した。そして、いつしか秋雨が降って来たので傘をさして歩くこととなった.......。

追記 
 この記録を27日に記述しているがこの三日間雨が降っていたので、石転び沢の雪渓はかなり悪い状態になっていると思われるので、一般の登山客はこのコ−スを避けた方が良いです。

石転ビノ出合 クガイソウ
今回のメンバー 黒滝

以上