登山者情報510号

【2000年12月03日/二王子岳/井上邦彦調査】

そろそろ雪の季節である。今冬はぜひスキーで滑ってみたいと思い、偵察山行として二王子岳に登ることとした。 6:32自宅発。関川村のコンビで食料を仕入れる。南俣集落の分岐に「二王子岳」と標識が出ている。渓流沿いに、すれ違いのできない細いアスファルト道を進む。途中で矢印に従って右岸に移り、いきなり開けた田んぼに出る。小さな矢印を見落とさないよう右折する。標高を上げるに従い、平野部が眼下に広がる。東港の煙突や日本海も見えている。

新発田市郊外から二王子岳 二王子神社

07:39、南俣集落の分岐から3.3kmで駐車場に到着し、車の中にて朝食。何時もはコンビニで買うときに苦労するが、今回は飯豊山でないから、弁当に卵や鳥肉が入っていても大丈夫だ。駐車場は結構広い。十分なスペースを持っている。携帯電話(cd-maon)も使用可能である。 08:01、駐車場を出発する。立派な二王子神社は冬囲いされていた。篭り堂はかなり朽ちてきている。トイレもある。広場の端から杉林の中に入る。小沢の右岸をずっと進み沢身を若干登って再び杉林に入る。尾根道に取り付くと、杉の木に「一合目」の標識がつけられていた。やがて杉林を抜け出て雑木林に入り、尾根をトラバースして1本の天然杉に着き、そこから大きな岩がごろごろしている沢状の窪みを登る。大きな岩の下からごうごうと水の流れる音がしている。大きな岩がなくなり、沢沿いに上り続ける。登山道の脇に雪が少しずつ出てくる。08:33、1,737歩、大きな岩の上に平たい岩が重なり、雨宿りができそうな空間ができている。「神子石」と書かれた石柱が立てられていた。ここからジグザク登りが始まる。 08:36、水場があり、ブナの木に「二合目」の標識がつけられている。右手に1本の天然杉を見て道は二つに分かれる。おそらくすぐ一緒になるだろうなと思いつつ左側の新しい感じのする道を行くと杉の木立に囲まれ、08:46、2,255歩で石の祠(一王子)がある。大きな杉の林の中を歩いてすぐに先ほどの道と合わせると、08:48右の杉に「三合目」の標識がつけられていた。「山頂←140←独標←40←一王子→40→二王子神社」と書かれた古い標識もあった。携帯電話の画面には三本線が立っている。ここは三叉路となっており、左手の山小屋の中に入り確認する。二階建てになっており、二階は冬山用の荷揚げ品で埋まっていた。恐らく、三叉路から見た鉄の扉の所が冬期出入口になっているのだろう。水場への赤い看板もはっきりしている。08:51、元に戻って頂上を目指す。

神子石 一王子神社

一王子から完全に雪の上になる。昨日は好天だったせいだろう、しっかりと道ができている。登山道のすぐ下の湿地が小屋の水場になる。一王子から先は高木がなく、4〜5mの潅木である。09:02、小ピークを通過し、登り始めると右側にやや太いブナも出てきた。09:07、尾根上に出る。右手に「四合目」の標識が細いブナにつけられている。この辺は胸高直径15〜20cmの若いブナ林である。 09:17、3,780歩、尾根上に出て再び潅木になる。電信柱が1本立っており、赤いポールが括り付けられている。恐らく春スキーの時の目印だろう。すぐ脇に三角点がある。また脇には「五合目」の標識と「油こぼし←40←鴨池←20←独標(定高山)→25一王子、山頂←140独標」と書かれた古い標識があった。独標を過ぎてから、雪が次第に増え20cmはあろうか、でも昨日の登山者の踏み跡がしっかりしていて殆ど雪道と感じない。ニノックススキー場がはっきりと見えてきた。スキー場の最上部より若干こちらのほうが高い。所々に赤いポールが立てられていた。ナナカマドの実だけが木の枝に残っており、登山者に踏まれて雪上を赤く染めている。ウサギの足跡が登山道を横断している。 06:37、「六合目」の標識。完全にブナの潅木、直径は10cm程度だ。しっかりとしたトレースがあるから夏とそれほど違いがなくこれだけのスピードで歩いていられるが、もしトレースがなかったら踝を軽く越し、所によっては膝近くまでのラッセルとなるだろう。 09:43、一気に山頂方面の視界が開ける。

一王子小屋 山頂方向の視界が開けた

09:52、油こぼしと思われる急坂で4人パーテイを追い越す。振り返ると日本海まではっきりと見えている。スキー場の上部が白蛇のようにうねって登ってくる。この先の足跡はやや薄くなるが問題はない。昨日の物にしてははっきりし過ぎると思っていたが、やはり先ほどのパーティの足跡であった。 10:02、5,127歩、「八合目」の標識。湿地帯のような感じである。高山植物が残る雪田地帯だろう。08:06、視界が開けて黄色い蒲鉾型の二王子小屋が見えた。左側に胎内尾根に下るトレースも白く見える。 10:09、道脇にある石の祠を通過する。ウサギや獣達の遊び場の広場があり、遭難慰霊碑と小さなお地蔵様が設置された丘の脇を通る。踏み跡から外れると膝を没する積雪である。

道脇の祠が雪に埋もれていた 慰霊碑のある丘

10:17、自動雨量観測無線小屋があり、「九合目」と書かれ、黄色い二王子小屋が目の前であり、祠の土台石がある。10:19、二本木山への分岐を通過する。二本木山への登山道は一面獣達の足跡で覆われていた。10:20、二王子小屋を通過し、10:20、5,843歩で鳥居のような大きな鐘柱が立っている山頂に到着する。

九合目から二王子小屋と山頂 二本木山を望む
二王子岳山頂にて 三光山方面への登山道
二王子小屋 帰路、焼峰を見下ろす

誰もいない小屋の中に入りラーメンを煮る。ラーメンを食べ終え出発の準備をしている所に先ほどのパーティが入ってきた。新発田市の方々とのことであった。 10:50、5,925歩、小屋を出発する。11:02「八合目」通過。11:09、途中で二人パーティと油こぼしですれ違う。11:17「六合目」通過。ようやく身体が暖まってきた。所々、私が上にいる間に吹いた風で枝から落ちた海老の尻尾が登山道を覆い尽くしている。11:29、9,447歩「五合目」独標(定高山)通過。11:34「四合目」通過。 11:44、10,719歩「三合目」一王子で上着と軍手を外し、11:46出発。帰りは神社を経由しない道を下る。今回は長靴を履いてきた。底のしっかりしたやつだ。今回は長靴を使用した。びちゃの時は非常に良い。中途半端な雪にはもってこいだ。アイゼンやワカンを使わないような時は、プラスチックブーツはとても歩けたシロモノではない。その点長靴は今回の山行にはとても良かった。ただし、欠点としては下りの時に爪先がやられることがある。爪先に力が入らないように、横向きに力を分散するように歩くのがコツである。 11:53「神子石」通過、11:57大杉通過。11:59杉林に入る。途中で沢水を手ですくって口に含む。小鳥の声が聞こえてきた。目の前の緑色の草々がこんなにも新鮮に感じられるのは今しがたほんの僅か、雪の中にいたせいなのだろうか。まるで春のようにいとおしく感じられる。12:13二王子神社通過。 12:15、13,278歩、駐車場に到着する。12:45自宅向けモービル移動中、雨がポツリポツリと降ってきた。

以上