登山者情報543号

【2001年06月17日/大日杉〜御坪/木内茂雄調査】

・メンバ− JM7-ODD, JO7-AQL, 新潟のJJO-HKW
・タイム  大日杉小屋4:54〜5:15ザンゲ坂上5:20〜5:47長之助清水6:00〜7:20滝切合〜8:00地蔵岳〜9:45目洗い清水〜10:30御坪11:25【引き返し】〜12:55地蔵岳14:20〜15:40大日杉小屋
・記 録
6月10日の情報で“お坪”辺りのヒメサユリが咲き始めた、と聞いたので状況を見に行くことにした。6月16日の夕方“大日杉小屋”に泊まった。この小屋に初めて入ったが建て替えて2年で新しく、そして大きい。鉄筋コンクリ−ト製で下の基礎部は高床になっていて、その上に3階建ての三角屋根になっている。面積が広く詰めれば2〜3百人収容出来るだろうか。夜は、例の如くの相棒なのでアルコ−ル無しでは済まなかった。
翌朝4時に起きたが、相棒の目覚め悪く出発したのは5時前であった。何を隠そう私もいくらか頭痛がした、どうも懲りることに慢性になっている様だ。天気予報通り、梅雨の中休みで良さそうだ、山の上の方を見上げると視界が良い。登り初めて間もなく左手にコンクリ−トで回りを大きく囲った物が有った。“大日杉”の名前由来の場所である。今は枯れて根が残っているがそれを保存するためのものだろう。15分程の登りで“ザンゲ坂下に着く。30m位の簡単な岩場である。5分程の登りで登り切り、尾根筋に立つ。一服後、なだらかな道を進む。イワハゼの花が目立ち始める。“長之助清水”を過ぎて5分もすると、“御田”に着く。地元では“オンタ”と呼ぶそうで、昔此処に隠し田圃が作られていたそうだ。成る程少し平ら部分が奥に続いている。そして、そばには2〜3百年も経っている様な杉の大木が辺りを暗くしている。滝切合まで緩やかな登りで花を見回しながらノンビリ歩く。右下斜面には灌木越しに残雪が見える。そして、花は“御坪”辺りまで白のイワカガミを多く見る。勿論、ピンクのイワカガミも多数見つける。それから、“滝切合”近くなるとウラジロヨウラク、イワウチワ、ショウジョウバカマ、ムシカリ、タムシバ、エチゴキジムシロ、タケシマラン、カタクリ、ムラサキヤシオツツジ、と退屈しない。
地蔵岳には、ミチバオウレン、マイズルソウ、シラネアオイ、カタバミ、そして、珍しいベニバナコミヤマカタバミ(筋があり赤味がかっているカタバミ)がいつもの処に咲いていた。此処では珍しいサンカヨウも一本咲いていた。例年だと此処に来るまでヒメサユリを何本も見つけるのだが見落としたのか無かった。まだ早いのか或いは盗掘されたのか?と疑った。花ばかり気にしてきたが、ホトトギスが‘特許許可局’と囀ったり、鶯がないたり、カッコウが鳴いたりしていた。その他にも名前の判らない小鳥が警戒して鳴いていた。
さて、お目当てのヒメサユリを見に“お坪”へと下って行く。途中残雪をかなり見かける。“目洗い清水”の丸太の標識は先週雪の中で斜めに傾いていたそうだが、今日は雪が無く倒れていた。一週間でかなり融けた様だ。但し、清水の出る左斜面は多くの雪に埋まっていた。直ぐ先の右側にあるテント場は、丁度雪が融けたばかりと言う様に湿った枯れ草が地面にベッタリ這いつくばっていた。この頃より上空の雲が時々切れ、本山が恰好良く姿を見せてくれた。そして、何時頃かヒメサユリが挨拶してくれる様になった。しかし予想に反し、まだホンノ咲き始めで赤くなりだした蕾と、まだ青い蕾とまだ蕾も無いものが圧倒的に多かった。やはり昨年通り、一番の盛りは6月末の様だ。今回は残念ながら、ヒメサユリの花をかき分け、かき分け歩くとはいかなかったが十分満足させてくれた。“御坪”までのこの街道は一名『ヒメサユリ街道』であるがもう一つ忘れていけないのが『ハクサンチドリ街道』である、と言うことだ。登山道脇にズ−ット咲いている。‘私を忘れないで’と話しかけてくる。それに対し優しい気持ちが有ったせいか、行きは気が付かなかったが帰り道で一本だが‘純白のハクサンチドリ’を偶然に見つけることができた。生まれて初めて見たので嬉しくて、同行の二人を呼んで見せた。驚く事暫し....。その他に見た花はミヤマキスミレ、ツマトリソウ、シロバナヘビイチゴ、サラサドウタン、ナルコユリ、等であった。
そして、“御坪”に着いた。大きなダケカンバの林から丁度雲の切れた本山を眺めながら大休憩とした。新緑の中でビ−ル、酒を飲み、そして風流な本物のお茶の“お点前”をたしなんだ。深田久弥と言えどもこの雄大な『日本庭園』で我々の様に優雅な一時は過ごさなかったろう、と酒に酔い、我に酔う。〔此処数年、山の神聖さに対し堕落した様だ〕この後は種蒔山〜三国小屋〜五段山経由の予定もあったが、ノンビリと引き返し、地蔵岳でまた大休憩をし、更に堕落した。しかし、ここから大日杉小屋までは真面目に歩き1時間20分で大日杉小屋に帰った。
今、山行で一つ参ったのはブヨみたいな虫に終始襲いかかれ、虫除けスプレ−もなんのその、腕、顔、耳の後ろ、襟から背中に入られ、どこから入ったか尻まで刺された。〈あくまでもアルコ−ルのせいでは無い、全くアルコ−ルをたしまない人も刺された。〉虫対策は薬局で売っている「ハッカ油」が一番効くようだ、それから香取線香も効くようだ、何れにしろ虫対策を考慮して登った方が良い。                        JO7-AQL 記

大日杉小屋 キクザキイチリンソウ
アカモノ タケシマラン
ナルコユリ ツマトリソウ
エチゴキジムシロ 飯豊本山
ヒメサユリ シラネアオイ
ハクサンチドリ ハクサンチドリ(白花)
目洗い清水より本山 ムラサキヤシオとシラネアオイ
風雪に耐えた岳樺 御坪から本山