登山者情報547号

【2001年06月23〜24日/足ノ松尾根〜杁差岳/木内茂雄調査】

メンバ−:JM7ODD, JM7MXL, JJOHKW, JO7AQL,計4名
タイム:(6/23)胎内ヒュッテ7:30〜7:55砂利道〜8:05水場〜8:15登山口8:20〜9:20姫子ノ峰9:32〜9:50岩場〜10:15滝見場10:25〜10:55水場分岐11:10〜11:35森林限界〜12:33大石山〜13:43鉾立山〜14:20杁差小屋 (6/24)杁差小屋6:40〜7:05鉾立山〜8:00大石山8:07〜8:40森林限界8:55水場9:20〜10:00岩場〜10:30姫子ノ峰〜11:24登山口〜12:00胎内ヒュッテ  (所用時間は普通の中年女性のペ−スで歩いたもの)
6月23日
足の松尾根を一度も登っていなかったので、一昨年より計画していたが、漸く機会が来た。梅雨時なのである程度の雨は覚悟していたが、どうにか晴れ後曇りで済みそうだ。胎内ヒュッテ前に鎖のゲ−トが有り、此処から舗装道を歩いた。後で判った事だが今日、明日に限り山開きなので車を通したそうだ。我々はそれを知らずに歩きずらい舗装を25分歩き、更に砂利道を10分歩き左道脇に水場が有り、それから10分で登山口に着いた。其処には新潟ナンバ−の車が25台も停まっていた。
此処から左のブナ林に入って行く。ブナの太さは凄いと言う程では無いが背が高いのが林立していて、平坦な立派な林である。これを5分も歩くと“足の松尾根”の急登になる。間もなく周りはブナから松と楢の木に変わってきた。左上向こうには“大熊尾根”右上向こうには“胎内尾根”を見ながら高度を稼ぐ、両尾根の山肌の沢筋にはまだ残雪が付いているのが見える。急な登りもやがて、数回小さな登り降りを繰り返す内に“姫子ノ峰”に着いた。“大石山“まで3.2KMと標識に書いてある。松越しに胎内尾根が見える。一服後20分も歩くと左右がスパット切れ落ちている岩場に着く。距離は20m位だが‘地震が来れば崩れ落ちるのではないか’と心配する程切り立っている。此処から20分も登ると“滝見場”に着く。左遙か下の方に滝が見える。此処から10分も登ると松は無くなり、またブナの木に囲まれる。花はと言えば途中、イワウチワの葉とヤマツツジ、コメツツジ、ウラジロヨウラクの花しか咲いていなかった。“滝見場”から約40分登ると残雪の上を2〜30m歩き間もなく、“水場”の標識に着く、水場は左に780m下ると書かれてある。右、目の前は窪地で雪がタップリ残っていた。雪の無い処を見回すと、カタクリ、ツバメオモト、ショウジョウバカマ、ユキツバキが点在して咲いている。花を見回しながら休んでいても虫に刺されない。
今回、虫対策に‘ハッカ油’を使った。帽子の内側にスプレ−したところ、少し量が多かったため頭がス−ス−して爽やかを通り過ぎて寒い位で有った。二日酔いなど頭痛にもかなり効果が有りそうだ。それから刺されそうな首周り、腕などにスプレ−したが虫にかなり効果ある。但し、付けすぎない様に。
水場から20分登ると右側にガレている処有り、シラネアオイが咲いていた。更に先森林限界に近い処には白のイワカガミがポツンと咲いていた。森林限界の低木帯になって目に飛び込んできたのは、ヒメサユリであった。ここのは淡いピンクのが多い、それからツバメオモト、マイヅルソウ、ムラサキヤシオツツジ、ムシカリ、タニウツギ、ウコンウツギが現れ出した。特にウコンウツギが稜線まで目立った。そのほかツクバネソウ、ゴゼンタチバナ、アカモノなどが現れ出した。天気は曇りで、上の方は霧で見えないが確実に高度を稼ぐ、急な登りが続き大きな山を登りだしたようだ。名前の通り大きく“大石山”の登りだろうと実感させられる。
笹の道を歩く様になりやがて、平らな大石山頂上に着いた。辺りは霧で視界が悪く、風も少しあり、少し寒いのであまり休まず鉾立山を目指す。稜線なので色々な花が見られた、ゴゼンタチバナ、ミヤマダイコンソウ、キバナノコマノツメ、ハクサンチドリ、コメバツガザクラ、ミヤマカラマツソウ、ハクサンイチゲ、イワハゼなど他種類ある。エチゴキジムシロは咲き終わろうとしていた。特筆すべきは、大日杉〜お坪コ−ス程ではないが稜線上かなりの数のヒメサユリが咲き始めていた事と、ニッコウキスゲが漸く蕾を出し始めたところで大石山〜鉾立山〜杁差岳まで至る処に群生している、後1〜2週間もすると見事な黄色のお花畑が出現するだろう。それからハクサンチドリ、マイヅルソウが多く咲いていることだ。それに今は目立たないが何れマツムシソウのお花畑が出現しそうだ。そんな花を見回しながら行くと鉾立山の登りも軽くクリヤ−する。此の頂上で霧の時に注意しなければいけないことが有る。進行方向左にハッキリした踏み後が有るがこれは、迷い道である。正しくは右に下って行く。晴れていれば間違う事は無いと思うが?.......。鉾立山を下り少しの上り下りをし、杁差小屋5分位手前左に何やら記念碑が有った。傍に寄って見ると“玄翁の碑”とか?書いて有った。昔、飯豊山開拓に功績のあった藤島玄氏を記念した物のようだ。それから小屋までは直ぐだった。辺りは霧なので近い処も遠く感じるものだ。花を付け足すと、チングルマ、イワベンケイ、イブキトラノオ、花が散り始めたヤマハタザオ、これからのトリカブト、ナデシコ等を見つけた。まだまだ見落とした花が多数あるだろうし、これから咲く花も数知れないだろう。此処もまた花の宝庫だろう....。
小屋に着いて豪華な飲食をした後、直ぐそこの杁差岳頂上に登りその先に有ると言う“お花畑”に行ってみた。数分なだらかに下ると小さな池塘が二つ有った。イワイチョウが咲いているだけであった。その先をもう少し下ってみると霧の向こうは雪であった。間もなく春だという情景なので、花を諦め引き返した。
6月24日
昨夜10時ころ起きて外に出たら星空で、新潟県の町並みの灯りが見えた。明日は晴れかな?と期待したが3時頃起きて見たら曇り出していた。もう一眠りしているとトタン屋根に雨音がしてきた。矢張り天気予報通りである。ラ−メンと餅の朝食後小屋を出発する。小屋の前に何と白のハクサンチドリがあるではないか、写真を撮って2〜30m歩くと又、白のハクサンチドリを見つけた。先週お坪に行った時、一本見つけ珍しいと思ったが意外と有るものだ。雨だが視界は良く、頼母木小屋も門内小屋も見える。大石山まで案外と起伏が有るものだなと見渡せる。
帰りは同じ道なので記すことも無いが、大石山から森林限界までは泥んこ道で滑り易いのと、下から上まで新潟大学の雨量研究班が固定ザイルを張ってあることだ、下に断り書きが置いて有ったが、処によっては歩きずらい。それから、小鳥の声をあまり聞かなかったが、特徴あるホトトギスの声を聞いた。ただし普通は「特許許可局」と啼くのだが寝ぼけているのか、越後弁なのか「トッキョキョカキョ」までしか啼かず「ク」抜けであった。天気は、姫子ノ峰辺りから雨は止み青空も見えてきたが、稜線は霧で見えなかった。
{今山行で二つ気が付いたこと}
1. 杁差岳からDoCoMoの携帯が通じる。
2. 登山道整備した所は、陽が当たり花が良く育ち咲き、そうでない所は笹に負け何も無い。

取り付き手前の橋から 取り付きのブナ林
残雪を踏みしめて ユキツバキ
マイヅルソウ ギンリョウソウ
ウコンウツギ ガクウラジロヨウラク
カタクリ 不明
ツバメオモト ゴゼンタチバナ
ミヤマカラマツソウ 不明
コマノツメ ミヤマダイコンソウ
ヒメサユリ コケモモ
ハクサンチドリ ハクサンチドリ(白花)