登山者情報599号

【2002年01月01日/百石山/木内茂雄調査】

JR米坂線羽前伊佐領駅前に降りると、目の前に三角に尖った山が聳えている、これが標高599mの百石山である。(私はこの駅前に住んでいる。)登山ル−トは、今は雪に埋まっているので、左側の草付き斜面以外は輪カンジキさえ有れば何処からでも自分でル−トをつけられる。と、言うよりはこの時期「山に登る物好きというか馬鹿」は私ともう一人同地区で山中間であるS氏がトレ−スを付けるだけである。
今日は久しぶりに時間がとれたので、10時から登り始めた。旧小学校跡地脇より、杉林に入り、小さな砂防ダムを越えまた杉林を通る夏道沿いに歩く。暫く、沢筋を歩くが杉林が切れた処より急な尾根になる。栗、楢、他の雑木林等を過ぎるとブナ林に変わる。この辺りは急登の連続で息が切れる。
無雪期であれば30分で稜線に出るが、有雪期は45分から条件によっては90分以上要することもある。今日は雪が締まっていたので、稜線のコルに45分で着いた。一呼吸して辺りを眺める。今は木の葉も無く、ブナの樹間越しに我が伊佐領が見下ろせる。天気は晴れ、遠く飯豊連峰が見えるが位置的関係で杁差岳と鉾立山周辺が見える、そして無風である。ブナの木と雪ばかり、途中ウサギと狐らしき足跡を見つける。静かであり.....、そしてつくずく物好きなものだなあ.........と一瞬考える。
稜線で左に折れ、緩やかな登りも直ぐに頂上間近の急登になる。苦しい登りも15分で頂上に立つ。眼下に伊佐領駅、そして国道113号線が見渡せるが、遠く飯豊連峰の本山から扇ノ地紙あたりまでの稜線は雲の中で、地神北峰から杁差岳までは日が当たって良く見える。天気予報では曇りであったが今日はもうけものであった。
頂上の雪は例年3月頃だと5m位有るが、今はまだ2mくらいだ。(以前にブナの木の枝に紐を縛り付けて置いてあるので判る。)持って来たお燗の出来る酒缶を取り出し、元日登山の祝杯をあげる。(祝杯はいつでも理由はつけられるものだ.....。)少し曇りだしてきて気温が下がって来たので帰ることにする。
帰りは真っ直ぐ急傾斜を下る。斜面の雪は湿雪で重くカンジキからこぼれる雪玉が大きな塊になって足下から落ちてゆく。ブナ林を一気に下り、下部の杉林に入り其処を抜けると目の下は我が伊佐領集落である。下りは早く30分で着いた。

R113号線より百石山 伊佐領駅前より百石山
百石山登山口 途中より杁差岳を望む
頂上より右上横川ダム建設予定地 頂上より伊佐領集落と国道113号線
頂上にて 左より大石山・鉾立峰・杁差岳

補足
1. 春先に咲く花
 マンサク、タムシバ、ツツジ、ツバキ、イワカガミ、イワウチワ、スミレ、カタバミ、フデリンドウ、シラネアオイ(普通の場所には無い)、ショウジョウバカマ、ネバリノギラン、オオウバユリ、カタクリ(百石山下部の箱の口側)キクザキイチゲ、ヒトリシズカ
2.春から夏に咲く花
 ギンリョウソウ、ツリフネソウ、キツリフネ、ツルリンドウ、ウコンウツギ
3.夏から秋に咲く花
 ムラサキシキブ、ミズヒキ、キンミズヒキ