登山者情報608号

【2002年02月25日/吾妻連峰 東大巓大沢下り/吉田岳調査】

 吾妻連峰には天元台や吾妻スキー場をベースとした、いくつかの有名かつ手軽なツアースキーコースがある。しかしのっぺりとした稜線部や、ガスりやすい気象条件のために遭難事故が多い山でもある。今回はその中の通称大沢下りというコースを、米沢市に住む小国山岳会員MDEと行ってみることにした。と言っても私はこのコースは初めてなので、ルートはMDEにお任せである。
 8時に米沢駅に集合し、2台の車で大沢地区へ向かう。そこに車を一台置き、今度はスタート地点の天元台スキー場へ。米沢の雪は大雪だった去年の半分しかないような感じである。ロープウェイとリフト3本を乗り継ぎ、最後のリフト降り場に登山計画書を提出する。空は真っ青な快晴。風もほとんど無い。気温もそれ程高くならないようだ。
 10時40分、スキーシールを着け出発。樹氷になりきっていないオオシラビソ帯を登っていく。20分ほどで早くも稜線に出た。昨日のトレースがたくさんついてある。でもその多くは若女平コースへ向かったようだ。我々はそこから東に進路を取る。人形石でシールを外した。快適に稜線を歩く。ここで全く風が無いというのは、おそらく初めてである。360゚視界が効き、遠くは越後三山、尾瀬、那須連峰まで見渡せた。藤十郎の斜面を下りたコルで再びシールを着ける。そのままトラバースぎみに明日荘へ向かってもいいのだが、今日は天気もいいので東大巓に行ってみることにした。1928mの東大巓に標識等は見当たらなかった。このまま東へ向かえば、家形山、一切経山へと続く。シールはここでおしまい。小休止の後、北方向の明日荘へ滑り出す。明日荘では中に入って大休止。お湯を沸かし昼食を摂る。
 13時10分、明日荘を出発。眼下に広がる米沢盆地と朝日連峰の懐目がけて滑り降りる。二日前に降った新雪がそのまま残り、雪質は最高のパウダーである。今シーズン初スキーというMDEも軽快に樹氷の間をくぐり抜けていく。ただし調子に乗り過ぎない程度に時々ルート確認を行う。これは道を間違わないためというよりは、できるだけ快適なルートを取るためでもある。砂盛からは林道になるが、所々ショートカットを行い、法面滑降を楽しむ。ここまで下から遊びに来たスノーモービルの跡がついていた。間もなく牧場へ出る。緩斜面であるが、今日の雪は滑りがいい。さらに林道を滑り、15時、大沢地区へ到着した。

樹氷帯を登って行く 飯豊連峰(左側が大日岳)
越後の山々を望む 那須連峰(奥) 磐梯山(右)
牧場上部