登山者情報609号

【2002年03月2日/立烏帽子(696m)/吉田岳調査】

 朝目を覚ましカーテンを開けると、外は何と快晴。予報では何とか半日だけ持つが、午後からは急変して一気に冬型になるとのこと。早速、山スキーで低めの山に行ってみることにする。行き先は、新潟県関川村大石ダムの東にある立烏帽子、葡萄鼻山(798m)。ただし、この山に関しての資料は見つからない。地形図からでは夏道はあるのか、立烏帽子というのは山なのか、その手前にある梁山泊というのは山小屋なのか、あるいは雪はどの程度残っているのか、大石ダムまで来るまで行けるのだろうか等、分からないことだらけである。小国の町中は例によってガスに包まれていたが、関川村まで来るとまた青空になった。大石ダムへは、冬中除雪が行われているようである。
 8時40分大石ダムを出発。大石林道をシールをつけずにスケーティングで飛ばす。固雪になっているため滑りがいい。15分程で右杁差岳、左立烏帽子と書いてある看板を見つける。ここでシールをつけ、左へ上がっていく。スキーとかんじきの跡が続いている。案外人が来る山なのかもしれないと思い、少しほっとする。まだ山頂らしいものは見当たらない。左右の尾根や斜面はすっかり地肌が現れている。しかし、しばらくは谷筋を歩いて高度を稼ぐため、少なくとも梁山泊まではスキーで行けるだろうと希望を持つ。
 林道が終わり、10年生程の杉林造林地の中を歩いていく。やがて山頂部が四角い岩でできている、ぽつっとしたピークが見えてきた。なる程これが立烏帽子であろうか。更にこの上は30年生程の杉林になる。枝打ち、除伐、間伐、何もなされていない見事な(?)杉林で、コース選びに苦労する。これは下りのスキーでも一苦労するなと思ったが、左の尾根に上がって行くとすぐ抜けられることを後で知った。斜度が緩やかになった雑木林の中を歩いていくと小屋が見えてくる。これが梁山泊という山小屋であった。中に入ることもできる。ここで、しばし休憩。
 空は少し雲が出てきたが、すぐにはくずれそうもなさそうだ。葡萄鼻山も、ここで始めて見ることができた。そっちへもスキーで行けそうだが、もう少し雪の多い時期の方がいいかも知れない。立烏帽子の方は、その稜線へ向かうコルが魅力的だ。それに雪が安定している今の方が、かえって安全そうに思われた。ということで立烏帽子を選ぶ。二山を狙える程、時間に余裕はない。
 コルに取り付いた辺りでスキーを脱ぐ。オーバーミトンをつけ、かんきをはき、4つ足で登っていく。もちろん雪崩に注意してである。麓から見えていた四角い岩はピークではなく、その上にまた斜面が続いていた。稜線に出て少し左に登り、10時40分、立烏帽子山頂に到着。何と道標も置いてある。けっこう見晴らしがいい。目の前に葡萄鼻山、西に大石ダムをはさんで牟礼山、鳥坂峰が見える。晴れていれば、杁差岳、二王子山、朝日連峰が見えるだろう。無線を出し、ODDに連絡をすると、新発田市に住むGGDともつながった。彼にここの夏道について教えてもらう。風がだいぶ強くなってきた。飲み食いは後でやることにして、下山の用意を始める。
 11時10分滑降開始。初めのコル滑降は表面のでこぼこが固く、快適には滑れない。梁山泊を通過して休憩を取ろうかと思ったが、それ程疲れていなかったし、天気が心配だったので、そのまま滑り続ける。下の杉造林地ではザラメになりかけの雪質で表面がおさまり、スキーゲレンデのような感じで滑りを楽しむ。雪質がやわらかければクロスカントリーで梁山泊往復というのも良さそうだ。
 林道へ出た辺りで小雨が降りだしてきた。合羽の上だけをはおり、急いで大石ダムを目指す。12時50分、駐車場へ到着。荷物をしまって車に乗り込んだ途端に、雷が鳴り出し雨が激しく降り始めた。おしまい。

杉造林地より立烏帽子(中央) 梁山泊
ここの中央のコルを登る コル上部
山頂より大石ダム方面 お隣の葡萄鼻山