登山者情報611号

【2002年03月17日/西俣尾根(奥川入〜枯れ松峰まで)/仁科友夫調査】

 ここ数年、その年の最初の山登りは西俣尾根になっていて、今年は例年より半月ほど早く入山してみた。今回、AXLと一緒に登る予定だったがお互いの予定が合わず、取り敢えず私だけの登山となった。
 5:30自宅出発。やはりまだ3月薄暗い気がする。6:00梅花皮荘脇の駐車場で準備してきたカルビ丼と自家製梅干し5個を朝食として摂る。昔から梅干しは災難除けとして食され、例えば上棟式の日には怪我がないようにと山盛りの梅干しを出す光景を目にする。これは、梅干しに含まれている成分が「勘」を働かす要素を含んでいるからであると、先日、富山の薬売り屋さんが話していた。なるほど「勘」が働ければとっさの反応で危険を回避できるのでうなづける。梅干しの成分については、忘れてしまったので会員皆さんからの続報に期待する。また、一日一粒梅干しの種をそのまま飲み込むと、スマートになるという。(これは少少々あやしいが・・)
6:27朝食を終え、民宿奥川入に車を駐車させてもらい出発する。6:35取付口に到着し尾根を見ると、雪がずいぶん少ないようだ。尾根をそのまま登るか、ヒドを巻いて登るか迷うところだが、尾根を登ることにする。先月の訓練時は、まだ雪がしっかりと付いていたが、今では融雪に伴って徐々に凹凸が現れてきた。どうやら長者原の積雪量が248m以下になると、尾根の雪が崩れてくるらしい。今後、積雪量と登山道の雪の関係が興味深いところだ。7:15〜20標高535mの分岐を左に曲がる。8:00十文字池着。ここから、西俣峰の白き雪面が遠望できる。休憩を取らずに通過。8:55西俣ノ峰到着。雪面のシュカブラがきれいな紋様を描き出している。西俣ノ峰には防風林が無く、時折吹く強い風を避けるため休憩を取らず、先に進むことにする。巨大な雪庇を崩壊しつつあり、それを避けながら進む。風が一段と強くなってきた。見上げると、三匹穴からだましピークにかけての上部は竜巻状の雪煙が切れ間無く発生している。9:15標高1089mを通過。右手に白い鉾立山が雄大にそびえたつ。ヒマラヤひだのように美しい波形が遠望できる。しかし、風は止むどころが一段と強くなり、時折ブナの木に身体を預けながらの歩行となる。9:35枯松峰の手前で、いよいよ小糠状の氷がブリザードとなってが吹き荒れるようになり、右の頬にぶつかり痛くなってきた。風も強風から突風に変わり、最初は一歩進むと二歩後退の状態だったが、次第に身体があおられる世界に入ってきた。ここでまず、10分間様子を見ることにし、ブナの陰に隠れて風から身を守る。10分経過してもおさまる気配はない。あと10分待ってみて回復しなければ下山することと決めた。9:55風は一向におさまらない。下山を決めるが、一旦、目前の枯松峰(1184m)まで走って登り、10:00そこから下山を開始した。帰りも強風に気を付け、樹林帯にルートを求めながらゆっくり下山する。10:30西俣ノ峰通過。10:50風が弱まったところで、西俣と十文字の中間で穴を掘りインスタントラーメンで早めの昼食をする。ふと周りを見渡すと、いつしか雪面が茶色になっていた。先程来からの風に乗ってきた黄砂と判明した。11:10食事を終え、下山開始。11:30標高535m通過。11:50取付口着。12:05民宿奥川入到着。民宿の主人と山談義で盛り上がってしまい13:40民宿を後にする。14:15自宅到着。雨がポツンポツンと降ってきた。洗濯物を取り込みながら家に入る。4月の第一週あたり再度登ることにする。