登山者情報613号

【2002年04月05日/祝瓶山/仁科友夫調査】

小雨のぱらつく中、素早くザックを車に積み準備万端にして午前5時10分自宅を出発。運転しながら、今日は大石橋の登山口までスキーで行けるかと思案しながら出戸まで来たとき、肝心のスキーを忘れてきたことに気付く。下山時にはスキーを楽しもうと計画していたので、直ぐ家に戻りスキー・ストックを車に入れ再度徳網へ向かう。昨日OTJに問い合わせたところ、徳網からの林道はまだ除雪が始まっていないとの情報を仕入れているから譲れないところだ。
登山口に行く前にOTJ宅で一旦停車、丁度玄関先に出ていたOTJに昨日のお礼と山話しをして一旦別れる。徳網に到着すると、林道は豊富な雪で話しのとおり除雪はまだ始まっていないようだ。私の先に新潟ナンバーの車が駐車されており、早い時間帯に入山したようだ。スキーにシールを貼り付け6:13出発。林道の途中3カ所ほど雪崩のデブリでスキーを外してトラバースしたが、その他は問題ない。7:13丁度1時間で針生平の橋を通過し、佐藤キン子さんの小屋の脇を進むと猿の大きめの足跡を発見する。8:00大石橋に到着。ここでスキーを置き、8:05大石橋を渡る。渡り板は左側1列に架かれいて慎重にバランスをとる。大石沢の渡渉は水面から頭を出している石を選んで跳ねながらなんとか渡る。杣小屋からカンジキに履き替え、夏道を外して雪原を近道し、8:42朝日分岐道標から120mほど上方の登山道に出る。ここでカンジキを外して夏道にルートをとる。この時期に夏道が出ているのはめずらしく、プラブーツの蒸れが心配だ。9:01鳥獣保護の標識通過。イワウチワ・マンサクが咲いている。9:11鈴出の沢の看板を通過するが、水場までの道はまだ雪で覆われている。9:28標高720mで朝食、昨日の好天とはうってかわって寒くて雨着を重ね着する。780mの分岐で左に曲がり、標高点817mまで緩やかな傾斜が続く。カクナラ小屋の周囲も雪が融けて、赤い屋根がはっきり見える。そこから785mの「ぶのぐらのだるみ」まで一旦下って、ここから再度登り返しの力を出すところだ。この時、OTJから無線が入り、現在祝瓶山の丁度向かい側の峰、県境の檜岩屋山付近を登っているという。地図に載っていない山道を歩けるという、すばらしい技と山の楽しみ方につくづく感心する。こちらのルートは、夏道と残雪が段差になっている登りで少々バテている。10:55〜11:10標高点1068mで視界が広がり
目前にイチノトが見える。ここからは完全に積雪状態であり、今朝もうっすらと新雪が積もったようだ。雪面は大福餅の表面のように化粧して見えるし、周りの木々には霧氷が付着してキラキラ光っている。先に登っていた登山者のトレースを借りて進行するが、重い雪に悩まされる。前回のAXLのように膝の中の腱が重苦しい。この辺はようやく雪庇も崩壊し、踏み抜きの心配もなさそうだ。11:42イチノトで先に入山していた方が早くも下山し、ここでスライドする。新潟から今朝早くで出発して登ったという年輩の男性登山者である。足にはしっかりとアイゼンを着けていたので尋ねたところ、頂上付近はクラストしているという情報を聞いて別れる。12:15ニノト分岐を通過し、いよいよ頂上に向け最後の踏ん張りである。ここで、葡萄ジュースを飲み血糖値を上げる。以前、最後の踏ん張りには葡萄関係が良いとODDが話していたので、今回は持参している。よく食料補給はエンジンの燃料ガソリンにたとえられるが、さしずめ葡萄ジュースはプラグの点火起爆と言ったところだろうか。草刈機等の2サイクルエンジンは冷却装置がないので混合油をガソリンを4gに対して180ccを混ぜ、オーバーヒートを防止している。これを人間に当てはめれば、あまり筋肉を使いすぎて乳酸がたまる状態をオーバーヒート、これを防止するには酸素を取り入れ休むことしかなさそうだ。別のオーバーヒートは宴会などでよく見かけるが、これもあれもと手を出して飲むのもやはり陥りやすいようだ。話は戻り、12:32〜40頂上着。風と寒さが厳しいので、到着の安堵もそこそこに大朝日岳の写真だけ撮ってすぐ下山する。頂上直下のトラバースはクラスト状なので登り以上に下山が慎重になする。12:50ニノト分岐通過。13:07〜10イチノト着。13:30〜50夏道の腐葉土に腰を下ろしラーメンタイムとする。いつもながらこの味はここに来ないと味わえないうま味がある。食事を終え、後は一挙に下り14:40標高780mの分岐で右に曲がる。雪が多い場合はこの夏道を降りず、鈴出の沢を挟んだ南側の尾根を使用するとスズイデ沢と杣小屋の間の道に降りられるとOTJから教えられている。15:00鳥獣保護の標識を通過し15:06入山口に到着し、ここからカンジキを履いて先を急ぐ。杣小屋の手前で後ろから何かの音がして振り向くと、何とOTJが追いかけてきた。今、山仕事を終えて帰るところだと言うので、一緒に徳網まで戻ることとした。午後になり、一段と進んだ融雪水で大石沢は増水しており、水に浸りながら渡り終え大石橋を慎重に進み15:06登山口に到着した。ここからスキーに履き替え、OTJはカンジキで下山開始。傾斜が思ったほどないのでスキーの速度が上がらない、かえってOTJのカンジキが早いくらいだ。残りも後1.2kmまで進行すると林道の除雪が始まっていて、スキーができなくなってしまった。しかたなくスキーを担いで徳網まで歩くことにする。16:49徳網に到着し、ここでOTJと次回の再会を約束して別れ、りふれに入浴してから自宅に戻る。

大石橋 イチノトを仰ぐ
霧氷 分岐から山頂
祝瓶山々頂 山頂から大朝日岳を見る