登山者情報617号

【2002年04月20日/倉手山/井上邦彦調査】

昨夜は予定を越えて飲み過ぎたため、軽い山ということで倉手山に登ることとした。07:12大淵に車を止める。ザックにプラスチックブーツを入れ、ピッケルを取り付け、ズックとストックで歩き出す。鎖と除雪車で車が入れないようにしてあるが、除雪作業は着実に進んでいるようだ。林道を進んで上を見上げると、これから落ちてきそうな雪の塊が引っ掛かっていた。車道の右下には小型のミズバショウ群が咲いていた。道路脇には、オオヤマザクラ・フキノトウ・キクザキイチリンソウ・タムシバ・キブシ等が咲いている。
07:27、340m倉手山分岐を通過し、階段を上り始める。道側に、カタクリ・イワウチワ・マルバマンサク・ユキツバキ・ムシカリ・ムラサキヤシオが咲き、鶯が鳴いている。時折、雪が夏道を覆っているが、構わずにズックで登る。07:41〜43、512m軽い休憩、冬ズボンに冬用下着なので、汗が出てくる。ペースを落としてのんびり歩くことにする。雪上に羚羊の足跡が散乱しているが、よく見ると熊の足跡も混じっている。倉手山を見上げると、ブナの芽が膨らみ、熊には絶好のご馳走である。持参した熊スプレーを取り出し、数回、安全装置を解除する訓練を行う。07:53〜57、597m展望地で暫し双眼鏡を覗く。平坦な尾根を登っていると約10m先に猿のお尻が動いている。すぐにカメラを出すが、猿の方が一足速くゆっくりと藪の中に姿を消した。
08:20、780m旧道との分岐に出る。「倉手山頂700m」と書かれた標柱が立っているが、これは倉手山々頂まで700mの意味である。08:23〜33漸く空腹感を覚えたので、展望を楽しみながら食事とする。野生の獣たちと、今ここで一緒にいる実感を存分に味わう。鞍部を過ぎて登りになるとショウジョウバカマが咲いていた。800〜840mの間は雪道となる。その上は両側が雪で道のある尾根部分だけが露出している。イワウチワが満開である。急登を越え、雪が出てきたと思ったら一面の雪原が広がり、その上に雄大な飯豊連峰の大展望が連なっていた。08:55、952m飯豊連峰を正面にする山頂は、三角点・標識一帯が露出しており絶好の休憩場になっている。早速、山頂の雪でラーメンを煮る。下山時間のことを考えるとノンアルコールなのがちょっと辛い。気温14℃、ODD・GZKと無線が繋がる。
ラーメンを食べていると単独の登山者が2人登ってきた。下山の準備をしていると3人、2人と登って来る。09:43山頂を出発する。途中何パーティかとすれ違った。雪が軟らかく雪庇も出ていないので、雪の上をズックとストックで快適に下る。09:56旧道分岐を通過し、10:22車道に出る。物足りなさもあるが、自宅でしなければならない用事もあるので、素直に帰宅することとし、10:38大淵に到着した。
泉岡から倉手山を遠望する
大淵の交通止め 雪崩跡も除雪されていた
倉手山登山口 ムラサキヤシオが咲いていた
熊の足跡 猿の足跡(右黒点も凹んでいる)
羚羊の足跡 兎の糞
展望地から倉手山を仰ぐ
旧道分岐と倉手山
旧道分岐の標柱 倉手山山頂を望む
急登から旧道分岐を振り返る ズック靴は慣れないと事故の元です
山頂の雪原
山頂からの大展望
山頂の標柱と三角点 タムシバが咲き始めた
ユキツバキ イワウチワ
帰途、西俣尾根を振り返る