登山者情報624号

【2002年05月25〜26日/石転ビ沢〜梅花皮小屋/井上邦彦調査】

今回は山形県山岳連盟指導員会・遭難対策委員会の主催による春山合同技術訓練を石転ビ沢で実施した。遠方からの参加者もあることから、09:00天狗平集合、装備や食料を分け、菅野指導委員長の挨拶の後、09:35湯沢のゲートから歩き始めた。タムシバやあムシカリ・タチツボスミレが咲いている。10:08砂防ダムから登山道になり始めての沢は、雪が嫌らしく残っており、上流部の厚い部分を通る。その後は夏道で、10:30〜52うまい水の上は残雪が残っている。ここで休憩を取る。ニリンソウとトリカブトが混生しているので、見分け方の講義となった。オオバキスミレ・エンゴサク・カタクリ・スミレサイシン・カタバミ・キクザキイチリンソウが咲き、エンレイソウが盛りである。彦衛門ノ平を過ぎ婆マクレ(仮称)のへつりになった所で、雪渓に下り、上ツブテ石のすぐ上流に出る。雪渓は安定している。地竹原で雪渓が崩壊している箇所があるので、夏道を歩いて再び雪渓に出る。滝沢は入口が既に崩壊している。梶川も雪渓は途切れている。梶川出合上左岸の水場は注意すれば使えそうだ。
11:40〜12:05石転ビノ出合には何時もの勇壮な光景が待っていた。大岩はまだ姿を見せていない。幸七ノ尾根(門内沢と石転ビ沢の間の尾根)末端の台地から融雪水が簡単に汲める。ここには、沖庭小学校の学年登山一行を案内してきたJL7AZAとJF7ODEが迎えてくれた。13:00〜37ホン石転ビ沢対岸枝沢の先で休憩を取る。ホン石転ビ沢は豊富に雪が残っており、落石が転がった跡が何本か認められた。枝沢もまだ雪が続いている。休憩地の先で水が取れた。斜面にはオオバキスミレやシラネアオイが咲いていた。14:12〜35北股沢出合で休憩を取る。見上げると草付キ(中ノ島)が露出している。草付キ(中ノ島)の左(下から見て)を登り、更に左上して上部に露出している岩を左から大きく巻くと、梅花皮小屋が見えた。梅花皮小屋が完成して以来、小屋の直下の雪が大きく凹状に抉られている。冬期の風の流れが変化をきたしたものであろう。15:21梅花皮小屋に到着すると、先行していたJM7ODD・JF7IIV・JL7BPZ・JN7MXN・JM7MXLと福島のテレビ局をサポートしてきたJO7AXLが迎えてくれた。小屋の周辺には、ヤマハタザオ・ハクサンイチゲ・ミヤマキンバイが咲き始めていた。その夜は、LFD得意の舟盛り料理で盛り上がった。
翌26日はゆっくりと起床し、朝食後に小屋の右下で訓練を開始した。始めはMDEを講師にアイゼンによる歩行訓練。続いてHZUによる滑落停止、QVHによるスタンディングアックスビレイを行い、いったん小屋に戻り休憩。その後、北股岳側の急斜面にセットされたロープを使い、フィックスロープの通過方法や懸垂下降を行い、小屋で昼食をした。帰りは総合訓練で実際に人間を背負って下降する。始めは要領が分からず戸惑いもあったようだが、次第に慣れてロープ確保や空中交替もスムーズになってきた。中ノ島を下降中、一団のスキーグループが滑降を始めた。どうも危なっかしいと話していると、突然、男性が滑落、幸いにも途中で止まり何事もなかったように再び滑降を始めた。そうしているうちに、今度は女性が滑落、今度はかなりの加速度がつき、止まりそうもない。慌てて走って近づこうとしたが、アイゼンを履いていたため速度が出せず、私の目の前を遥か下方まで落ちていった。とりあえず追いかけるが追いつかない。事故処理を考え始めた頃、黒滝の上部でようやく止まる。すぐ下に岩が転がっていた。近づいて声を掛けると何でもないとのこと。見上げると、よく亀裂も岩もないコースを落ちたものだと感心するばかりである。さらに声を掛けると構わないでくれという印象を受けたので、同行者が近づいてきたのを契機に、関わらない事にした。一行は滑降を始めた。私達ものんびりと下降する。石転ビノ出合でザックとカッパを使った搬送方法を講義し、私は用事があるため一足先に下山した。
参加者:JK7LFD・JL7UWS・JL7PUS・JJ7EHJ・JF7HZU・JG7QVH・JA7DVF・阿部・佐野川・森野・生駒・横山・竹田・三島

菅野委員長の挨拶で出発 道脇に咲くタチツボスミレ
先日の事故現場 砂防ダムからの展望
うまい水手前 ニリンソウとトリカブトの混生状況
エンレイソウ サンカヨウ
上ツブテ石から雪渓に上がった 雪渓が崩壊し右手の夏道を行く
石転ビノ出合
沖庭小学校の皆さん ホン石転ビ沢付近を登る
北股沢出合からの展望
正面に草付キ(中ノ島)が見える 急斜面を登る
梅花皮小屋に到着です LFD得意の舟盛りが完成
山は料理も楽しまなくては(LFD) KDGで山が好きになりました(三島)
最近は子育てに追われてます(EHJ) 大朝日小屋の小屋番もしました(阿部)
今日は疲れました(佐野川) 涙のない山にしたい(QVH)
一人で歩きたい(PUS) 小国山岳会町外者第1号です(MDE)
久しぶりの団体登山です(HZU) 指導員研修の提案者です(横山)
明日の訓練が楽しみ(竹田) IIVも相変わらず元気です
MXNも元気です 出発前のストレッチ
ロープ扱いは基本です 高貝流のアイゼンワーク
急斜面はこうして下ります 滑落停止は前転・後転も体験
スタンディングアクトビレイ 訓練現場
フィックスロープの通過方法 懸垂下降は支点に力を加えないように
訓練現場から石転ビ沢を覗く
現場から梅花皮岳と梅花皮小屋 北股岳直下の登山道は埋もれている
梶川尾根を望む
大日岳を望む 御西小屋はトイレ棟も見えた
ハクサンイチゲが咲き始めた 全員で記念撮影
背負い搬送をセットする 搬送訓練を開始する
トラバースはロープの振れに注意 空中で背負い手を交替する
訓練を終えて自由に下る 天狗平に無事下山