登山者情報646号

【2002年07月20〜21日/梶川尾根〜石転ビ沢/木内茂雄調査】

〔7/20〕
今回は年間行事の一つである登山道整備なので久しぶりに飯豊に戻ってきた。早朝より梶川尾根を登り、雨で深く抉れた2箇所を修復、湯沢峰を下った所の低地でいつも水溜まりで歩きづらい所の水抜き作業等をしながら五郎清水に着く。昨夜の前夜祭がきているのか?この蒸し暑さが効いたのか大半の参加者が参り気味。そうでなくても、この時期の梶川尾根の登りは蒸し暑さに参るので早朝出発を原則としたい。(石転び部隊が羨ましい)五郎清水では、水を汲みやすい様にセメントで石を固めパイプから水を出すように細工するのに時間をかけた。以後は大きな修復工事も無く梶川峰に着く、ここまで花はあまり咲いてなくツルアリドウシ、シロバナタカネニガナ、ミヤマカラマツ、ヤマトウバナ等を見かけた程度であった。しかし、ケルン辺りに来ると印象深い、紫鮮やかなマツムシソウが目に入る。そして、いつもの場所にヤマトキソウ、草の中で薄ピンク色に咲いていた。それからは、飯豊の豊富な花々が続々と出現してくる。あまりにしつこくなるので主だったものを記すと、ミヤマコウゾリナ、ヨツバシオガマ、ミヤマリンドウ、咲き始めたキンコウカ、圧倒的に多いチングルマ、そのなかにアオノツガザクラ、そして終わってしまったヒメサユリ等。
扇ノ地紙から門内岳、ギルダ原へと進むと、まず目に飛び込むのはニッコウキスゲの群落である、霧のため遠くまで視界が効かないのが残念である。毎年この辺りは見事な花畑になっている。その他いつもの所にクルマユリ、シロウマアサツキ、イブキトラノオ、オノエラン、ハクサンボウフウ、そして、ハクサンシャジンが咲き始めた。北股岳登りではハクセンナズナを数本見かける。梅花皮小屋へと下っていくとチシマギキョウが盛りを過ぎようとしていた。その他多くの花有り。
昨年は谷川岳、火打山、鹿島槍、今年は磐梯山、早池峰山、栗駒山と他の山を登ってみたが、矢張り飯豊の花は種類、量共群を抜いて居る、但し他の山固有の花が何種類か有るので見逃せない。
〔7/21〕
未明より小屋の屋根に雨音がしていた。朝、起きた時も天候は良くなく、雨混じりの霧である。今日は天狗ノ庭の整備であるが“中止という伝令でなく”むなしくも“出発”という伝令が来た。昨日の疲れに気が重いながら合羽をきて小屋を出る。
梅花皮岳の登り斜面も沢山のニッコウキスゲが咲いている、残念ながら霧で広く全体を見渡せない。足元にはイイデリンドウが花弁を閉じていた。 梅花皮岳頂上は例年の如くイブキトラノオの群生であり、これだけ有ると写真になる。(帰りに写真を撮ろうと考えたのが失敗、カメラに湿気が入り撮れなくなってしまった。)烏帽子岳も過ぎ、下り斜面ニッッコウキスゲが満開である。途中いつものところにイブキジャコウソウが咲き始めていた。下りきって間もなく行くと何カ所か残雪の上を歩くが、左斜面が切れ落ちていて落ちれば一巻の終わりなので、神経を緊張させられる。雪の解けた後を追うようにショウジョウバカマ、ハクサンコザクラが咲き始めている。そして霧の中のコバイケイソウが鉾を林立させたように見える。目で見る分には最高の雰囲気であるが、写真にはならない。その他ヤマハハコ、イワオウギ、ハクサンイチゲ、ミヤマキンポウゲ、シナノキンバイ、ヤマブキショウマ、ハクサンシャクナゲ等。
天狗ノ庭で旧道の整備は、数年前からの土留め工事の効果が歴然と現れていた。深く抉れていた窪みも埋まり、草が少し生えだした。更に麻袋で土嚢を作り随所に土留め工事をした。今回の作業も終わり、梅花皮小屋に引き返す。前述の如くカメラのレンズに雨が入り撮影不能となってしまい、帰路は唯歩いて戻った。
梅花皮小屋で一服後、石転び沢へと下り、黒滝までは夏道で、ここからアイゼンを付ける。豊富な残雪はスプ−ンカット状になっていてこれを下る。今のところ、出合までクレパスも無く、危険個所は無しである。左岸の崖の上を見ると遠くにギボウシの花が見えた。そして、石転ビノ出合の大石付近にはハクサンコザクラが咲き初めていた。梶川出合まで残雪の上を渡って行けるが、数日でクレパスも割れ、崩落するので、夏道を行ったほうが良い。途中、私としては初めて見るタマガワホトトギスを、漸く回復したカメラに納める。今回はこれが収穫であった。
ミヤマキヌタソウ オカトラノオ
エゾイブキトラノオ ハクサンシャクナゲ
アオノツガザクラ オノエラン
エゾアジサイ タマガワホトトギス
シロウマアサツキ クルマユリ
クチバシシオガマ(ヨツバシオガマ) チングルマ
トキソウ(ヤマトキソウ) ヤマトウバナ
ミヤマリンドウ ハクセンナズナ
ニッコウキスゲ ツルアリドウシ
トリアシショウマ オクキタアザミ(ミヤマキタアザミ)
滝見場から石転ビ沢と梅花皮大滝
GPNとHZU 梶川出合