登山者情報659号

【2002年09月15日〜16日/石転ビ沢〜丸森尾根/木内茂雄調査】

タイム (9/15)飯豊山荘7:15〜温身平砂防ダム7:45〜8:10ウマイ水清水8:25〜9:55石転び沢出合10:10〜11:10本石転び出合〜12:25黒滝〜13:20梅花皮小屋
(9/16)梅花皮小屋6:35〜6:55北股岳〜7:35門内小屋〜8:00扇ノ地紙〜8:25地神山〜8:35地神北峰〜9:00丸森峰〜9:40水場〜10:45飯豊山荘

(9/15)週間天気予報は日が迫るに従い悪くなり、秋雨前線が影響して雨混じりの予報になってしまった。登山は気が進まなかったが、今シ−ズンは飯豊にあまり行って無いし、イワインチンの花の写真を撮りたかったので出発した。昼飯はコンビニで買う事にしてあったが、通り過ぎたあとで気が付いた。しかし、戻るのも面倒だし腹が空く前に梅花皮小屋に着くだろうとそのまま飯豊山荘まで走った。
飯豊山荘前で雨は濡れる程度降っていたので、傘をさして歩き出す。この時期なので花は期待をしなかったが途中、アキギリが間もなく最盛期になろうとしていたし、キツリフネもあった。ウマイ水清水ではいつもの如くオチクラブシ(トリカブトの一種)が綺麗な藤色をして咲いていた。それに色違いのオチクラブシも有った。(写真参照)それから梶川出合辺りからミヤマカラマツ、モミジカラマツ、タニジャコウソウ、シモツケソウ、等を見つける。
石転び出合では既に雨も上がり、霧も時々切れ梅花皮小屋と稜線が見えた。残雪は殆ど無く、石転び出合で門内沢の20メ−タ−上部と対岸にはあった。、その下部の沢を渡り、対岸にある雪を避け左に少し下り、水が滴り落ちるスノ−ブリッジの下を潜ると(井上:危険ですので真似はしないで下さい)、左の石転び沢が直ぐ渡れた。例年だともう少し上の辺りをキョロキョロ捜すのだが、今年は沢の状況がガラッと変わったようだ。
石転び沢を渡り右岸の草の生い茂る登山道を進むと、サラシナショウマが群生していた。遅れ咲きのイワイチョウが二.三あった。そして、道は間もなく雪の無い沢のガラ場歩きとなる。やがて、左岸のガラ場を歩くようになる。道は勿論無くル−トファインヂングをしながら、自分の歩きやすいル−トを取って進む。ホン石転び沢出合辺りに残雪有り15メ−タ−くらい雪の上を歩いたが、いずれこの雪も無くなり様子は変わると思う。
沢は浮き石の巣であり雑に歩くと岩雪崩を起こすことも有るので慎重に歩いていたが、油断して一抱えも有る不安定な石を触ってしまった。ズッズッと動き、左足の膝上に寄り掛かりそして、左足の爪先にズシッと落ちた。瞬間的に体を右に捻り石をかわし左下の沢に落として事なきを得たがまかり間違えば石と一緒に沢に転落であった。今回は重量登山靴できたので足は無事であった。私は沢の浮き石とか、ル−トファインヂングには自信有るつもりだったが、ヒヤッとした一瞬であった。(四年前だったか、この沢で安定している様に見えた岩がズリ落ちて臑を挟まれ痛い思いをしている。)この時期は、余程のベテランで地形を知っている人で無い限りこの沢を登ることは勧められない。
更に北股沢出合近くは沢の両岸が狭まり、傾斜がきつく残雪がありル−ト選びとガラ場歩きの技術を要求された。ガラ場も黒滝近くから夏道になり歩きやすくなり、やがて黒滝上部の草付きの道となる。梅花皮小屋まで四時間ちょっとで登るつもりであったが、大分オ−バ−していて空腹を感じる。此処まで食べたのは、ブドウ、野菜ジュ−ス、ウイダ−、ナッツだけ、オニギリの買い忘れを悔やむ。
草付きに入るとウメバチソウが淡く、白い可憐な花を今年最後とそこかしこで咲いていた。その他の花は終わった様だ。小屋近くでイイデアザミ?が目立ち、ニッコウキスゲ、ミヤマリンドウとミヤマキンポウゲが一本ずつ、そしてミヤマイワアカバナ等が咲いていた。
梅花皮小屋に着き、直ぐに大日岳側の斜面に行きイワインチンを捜す。まだ間に合った、早速写真に納める。それから管理人棟に入り、昨日から来ていたJO7AXLが冷やしておいてくれたビ−ルを空腹に流し込む。まずは“感無量”の瞬間である。それから、ラ−メン、酒を少々飲み、酔いさましに梅花皮岳、烏帽子岳まで散歩してきた。終わり掛けたトリカブトが咲いているだけで、花も終わりであった。天気は曇りで見る物も、写真を撮る物も無く直ぐに引き返した。小屋に戻り、AXLと又少し酒を嗜み、BSEを話題にしながら米沢牛のステ−キを食し、早めに寝た。寝る頃、下界は見通し良く長者原と川西町の灯が明るく見えた。
(9/16)
朝方、4時頃屋根に雨音がし始めた。天気予報は雨である。朝食を済ませ、小屋を出たのは6時半頃、風が無いので合羽ズボンをはき傘をさして出発する。
小雨だが遠くまで見渡せて、北俣岳頂上からは杁差岳まで望まれた。門内小屋でトイレに入ろうとしたが、鍵がかかっていて使えない。この時期から閉鎖していては、辺りはきっと糞だらけだろう。せめて10月の体育の日まで解放してもらえないだろうか。
天気は相変わらず小雨、時々霧がかかり遠くが見えず。花を無理して捜すがトリカブトと咲き送れたコゴメグサが微かにある程度、唯黙々と歩く。地神北峰でナナカマドの赤い実の写真を撮っただけで、後は丸森尾根を一気下った。途中、飯豊山荘まで約1時間の所の水場(井上:夫婦清水)は使用可能であった。

オチクラブシ モミジカラマツ
タニジャコウソウ 出合から石転ビ沢
門内沢 サラシナショウマ
残雪 イワインチン
チョウジギク(クマギク) ナナカマド