登山者情報684号

【2003年02月10日/栂峰(1,541m)/吉田岳調査】

飯豊町中津川小屋地区から登り始めるこのスキーコースは、今回で3年連続となる。全国版の山スキーガイド本にも最高値の快適度で載っているだけのことはあり、私もお気に入りのコースである。6時30分、青空のもと大石沢の自宅を出発。中津川まで夏は峠を越えた隣村であるが、冬は通行止めのため手の子経由で行かなければならない。その手の子付近は小雨となっていた。しかし中津川まで上がればまた晴れてくるだろうとの確信のもとに、車を急がせる。小屋地区の除雪止まりに車を止める。予想どうりまた青空になった。コース始めの林道にはスキーのトレースがついていた。車のナンバーから栃木の人達が昨日入山したようだ。
  8時、出発。良く締まった雪面を快適に進む。今回はスネークシールを初使用してみた。最初装着の仕方が違っていたため、何度か装着し直した。9時30分、林道終点着。そこから沢を渡り,スギ林の急な斜面を登り始めた。しかし心配したとおり、この急斜面にスネークシールがあまり効かない。スキーをあきらめ,スノーシューに履き替えた。
 ここ数日間の好天気のためあまり沈まず、スノーシュー歩きもそれほど苦にはならなかった。スギ林を抜け、11時に1000m地点の平ら地に到着。ここにテントが1つ張られていた。雲が徐々に上空を覆い始めてきた。やはり予報通り、ゆっくりと下り坂のようである。ここからは登りやすい尾根道となる。ブナの枝先に付いた霧氷が日光に美しく反射する。その霧氷が溶けてパラパラと落ちてくる中を登っていった。尾根筋には数百年生ほどの立派なクロベ(ネズコ)が列になって生えていた。1400m地点でおじさん3人組と出会う。雪が重いためここでのんびり昼食とし、そのままテントまで引き返すとのこと。確かに気温はおそらく3〜4℃。この重い湿雪を滑るのはなかなか大変そうだ。山スキーにはやはり、雪降りの後の晴天か
つ気温の上がらない日が最高だろうが、なかなかそうはいかない。私の方は予定通り神社のある1480mのピークを目指した。
 12時50分,ピーク到着。栂峰山頂はここから30分程先だが,登り返しがあったりすることから私はいつもここで引き返している。この辺りは名前のとうりコメツガ林である。積雪期はそれらが視界を妨げないため、展望はなかなかである。お茶と行動食でしばし休憩。ちなみにスネークシールは高温・湿雪でも雪が付かない点、滑走面に糊が残らない点で評価できるが、滑り易いという欠点も持ち合わせていると言えるだろう。
 13時20分、シールを外して滑降開始。しかし、重い雪でなかなか思いどおりにいかない。少しでもバランスを崩すとごまかしが効かず、すってんである。力に頼ると昨年のように膝を痛める可能性もあり、その辺も考えながら滑り降りた。そんな中突然雲が湧き始め、視界が悪くなってきた。このコースはこんな場合尾根の分岐点に注意が必要である。ただし今日はトレースが風でなくなる新雪ではないため、迷う心配もいらなさそうだ。1300m辺りは快適な滑りを楽しむことができた。最後の難関のスギ林を滑り切り、後は林道をスケーティングで飛ばす。15時、無事小屋地区に到着した。そして白川荘の温泉へと向かう。

コハウチワカエデの赤い枝先 青空に映えるタムシバの冬芽
1000m地点より クロベ(ネズコ)
ブナの霧氷 飯盛山
コメツガ越しの栂峰 あっという間にガスの中
林道脇の栂峰神社
これがスネークシール