登山者情報686号

【2003年02月17日/山毛欅潰山(898m)/吉田岳調査】

 「山毛欅潰山」と書いて、「ブナツブレヤマ」.その謂れについて地元の人に聞いてみたかったのだが、あいにくその機会を得られなかった。どなたか知っている方がおられれば教えて下さい。何はともあれその魅力的な山名に惹かれ、HZUの山行記録をコピーして飯豊町中津川岩倉へと向かった。
 小川入沢への車道の分岐は判りづらかったが、そこから500m程入った所に車の待避所が設けてあった。準備にとりかかり、スキーを履いて、10時30分出発。100m先にある民家の前を通らせてもらい、そのまま林道を歩く。昨夜の新雪が2cm程積もっている。林道自体には雪崩の危険はなさそうだった。10時45分、砂防ダム通過。地図で確認してみると、北西に聳えるその山が山毛欅潰山らしい。ただし山頂は見えない。まずその姿を頭の中にしまい込み、下りのルートの資料とする。とりあえず、登りはHZUが使った711m小ピークの尾根道を行くことにした。ダムから10分程の、2つ目の橋の手前で、その尾根に取り付いた。
 最初のナラ林の急斜面は木々の枝を掴みながら、雪がえぐられている所を避けて登って行く。その上のブナ・ナラ混交林帯は適度な斜度・密度で、快適に高度を稼いだ。12時、711mの小ピークを通過。そこから山頂方向は3つこぶの乗っ越しに見えるが、その真ん中の奥に山頂があると思われる。どっちにしてもそう遠くはない。目の前のスギ林は見るからに成長が悪く可哀想だった。それは一つに豪雪地の急斜面に植えられたため、そして高度が高過ぎたためであろう。やはりここは山毛欅(ブナ)の生態地であるべきだと思う。小ピークから少し下り、最後の急斜面に取り付く。日差しがきつく、例によって何度か顔を雪の中に埋めて冷やした。かと思うと、時々突風が吹いて来て寒くなったりと、変わりやすい天気でもあった。下から見えていた山頂手前の乗っ越しまで来ると、後はのっぺりとした斜面だった。一番高そうな所まで歩き、そこを山頂とする。12時35分、登頂。気づけばまともな一服もないままであった。
 景色は残念ながらいまいち。中津川地区は見晴らせたが、飯豊連峰は手前の地蔵岳まで。吾妻連峰は見えずに、その手前の栂峰が辛うじて見えた。ただしこの山頂付近は平らなうえブナ等の樹木もまばら。晴れていればかなりの展望が期待できる。夏道があれば小国町の倉手山的な存在になりうると思われた。
 13時5分、滑降開始。登って来たルートは登り返しがあるうえ、斜度や雪質もよろしくなかったので、下りは別ルートを取ることにした。しばし平ら地を来た道どおり下り、そこからは一つ東の尾根の東斜面から谷沿いへ降りて行くルートを選ぶ。登山口から見た記憶と地図を見ての判断である。上部のブナ林では予想以上に快適な斜面を満喫する。しかし、700mあたりから下はそうも行かなくなった。岩場の斜面を亀裂と雪崩に注意しながら、慎重に時には一気に滑り降りる。最後に沢を渡渉して、13時40分林道に辿りついた。そこからは自分のトレース跡をスケーティングで進み、13時55分、車の所に到着した。いい山をまた一つ見つけた満足感を味わいながら、山を後にした。
 ちなみに、この山のルートとしては、711m小ピークの一つ東の尾根を往復するのがいいかと思われます。

林道より望む山毛欅潰山 600mより小川入方面
冬でも緑のヤドリギ 山頂下斜面の杉林
ここが山頂 山頂付近の平らな斜面
中津川地区を望む 下りのルート