【2003年04月19日/西俣尾根〜頼母木山/井上邦彦調査】
奥川入に車を止めさせて頂く、05:10発。途中からスキーを履く、傍らにはミズバショウが咲いていた。05:22、300m尾根の取り付きでスキーを担ぐ。夏道にはカタクリ・マンサク・イワナシ・イワウチワ・ユキツバキ(始)が咲いており、数本のブナの木が新緑に萌えていた。プラスチックブーツで夏道が歩きにくい上、スキーを担いでいるので疲れる。簡単な岩場を登り、05:35-48、420m小ピークでザックの具合を直す。羽ばたきはヤマドリだろう。05:59トラバースして主尾根に出る。登山道は一面イワウチワの花で覆われている。550mナラの巨木を過ぎると登山道に雪が出始め、660mから雪道となる。急斜面を登り切ると夏道になり、程なく06:30、690m西俣ノ峰を仰ぐ十文字池に着き、ここで夏道は終わる。すぐ先から飯豊山を始めとする主稜を望む。06:49-57、780m休憩。07:16-23、910m食事。
07:37-44西俣ノ峰、高度計を995mから1,023mに訂正する。デフ棒を1本立てる。ここであらかじめシールを貼り付けていたスキーを履く。二つ目のピークで、この先は藪が露出していることを確認し、スキーをデポする。藪の中の踏み跡を探しながら進むと、広い雪原になり、08:32-39枯松山々頂、携帯電話が通じた。百石山蕨園の山焼きをしているというLFDと無線交信を行う。08:46-57、1,140m鞍部で食事を摂る。この先は全て雪道となる。ウアサギが脇を走り登る。耳から黒い斑模様が春の訪れを示している。
09:36予想より早く雨が降り出したので合羽を着る。09:50森林限界を過ぎ、09:59三匹穴を通過、左手に遭難慰霊碑が露出している。10:06-11食事、風が出始める。ここから上はルートを誤りやすい所である。左側斜面を斜上していくと、微かにトレース跡がある。ここはどうしても手前ピークと間違えやすい、いったん手前ピークを経由しても良いが、急斜面をトラバースして手前ピークと頼母木山の鞍部に突き上げるコースが旧道であり、残雪時も使いやすい。しかしこのルートは大変に分かりにくい。登りと思われる微かなトレースがまっすぐに鞍部を目指している。よほどコースに熟知している者と思われた。ザックの中の携帯電話が鳴る。10:45鞍部に出て頼母木山を目指して直登する。
10:55山頂の地蔵尊が見えた途端に凄まじい風で、ザックカバーが外されバタバタと旗を打つ、真っ直ぐに立っておられず、ストックに体重を掛けて踏ん張る。それまで見えていた杁差岳方面が瞬く間に姿を隠し、視界が無くなった。そうそうに夏道を下り、記憶を頼りに主稜を北に下る。殆ど巨大な雪庇であるが、小屋の直前で夏道が露出していた。
11:07頼母木小屋に到着する。小屋の入口には例年通り雪が全くない。ドアの上下にロックが付いているので、これを外してノブを回し小屋の中に入る。新潟県側(風上側)の窓が風の振動で霧笛のような唸り声を小屋中に響かせ、窓枠から雨水が飛沫となって噴き出している。さっそく缶ビールを雪に埋め、雪を融かしてラーメンを煮る。無線で呼びかけるとODDが応えてくれた。長いアンテナを使用すると小屋の中でも明瞭に交信できる。ラーメンにレトルト中華丼とお握りを入れ、缶ビールで喉を潤す。
天候は悪化する一方、11:53頼母木小屋を出発する。視界は10m程度、幸い自分のトレースが残っていた。頼母木山々頂直下夏道の手前で左にトラバースする。12:16山頂に向かった時のトレースと合流、トレースを頼りに下る。何処を歩いているのか見当もつかない。異界に降りていく感覚だ。下るにつれてトレースが風雨で薄れていく。
12:39森林限界を通過、12:58鞍部から夏道となる。13:10枯松峰まで来ると視界が出てきたが雨は止むことがない。13:35スキーデポ地点でスキーを履くが、靴紐をよく締めていないので操作しにくい。登りよりも状況が悪くなっているのだが、面倒とばかりにスキーの利点を生かして渡ろうとしたところ、案の定、雪橋が崩壊し数m下に落ちる。幸い雪塊に押し潰されなかったので、スキーを外して無事に這い上がる。
注意力判断力が散漫になっていること、雨のため滑降すると目がよく開けなくなることから、西俣ノ峰手前ピークでスキーをザックにつけて担ぐことにした。13:57西俣ノ峰に立てたデフ棒は強風で吹き飛ばされていた。休憩する気にならない、急斜面を下ると十文字池までは平坦なスキー適地であるが、ここも全てスキーを担ぎ、14:12十文字池を通過。14:28主尾根から枝尾根に入る。急峻な枝尾根は縦に担いだスキーの上下が引っかかるので疲れる。最後の2mという所で尻餅を着き、ストックを折り曲げてしまった。14:55民宿奥川入に到着、傘をさして隆蔵氏が迎えてくれた。
民宿奥川入から飯豊連峰 | 対岸の倉手山 |
イワナシ | ナラの巨木とイワウチワ |
倉手山と天狗平への車道 | |
十文字ノ池 | |
西俣ノ峰を仰ぐ | 十文字ノ池を見下ろす |
十文字ノ池と対岸車道入口 | 枯松峰への県境尾根 |
西俣ノ峰山頂から頼母木山 | 枯松山を望む |
杁差岳 | 帰路にここで落ちる |
藪の中の踏み跡 | 頼母木山 |
杁差岳 | |
三匹穴と頼母木山を遠望する | 沢は雪崩の巣 |
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枯松峰山頂から振り返る | 雪庇の状況は良くない |
ダイグラ尾根と飯豊山 | |
枯松峰を振り返る | 杁差小屋と杁差岳 |
森林限界を見下ろす | 丸森尾根最上部 |
三匹穴にて | |
三匹穴を見下ろす | 頼母木山を見上げる |
頼母木山々頂 | 山頂から杁差岳 |
山頂から地神山 | 頼母木小屋 |
(大淵から天狗平へ) |