【2003年04月26日/梅花皮沢/井上邦彦調査】
今日は昼まで自宅に戻る必要があるので、梅花皮沢(石転ビ沢)の状況を調査とした。あいにくの雨天で、雪崩の危険性が心配されたので、万一に備え同行者の竹田通則さんとビーコンを携行した。前日に小国町役場建設課に確認したところ、天狗平付近および朝日連峰の針生平までは除雪が済んでおり、5月2日前後に一般車両の通行可能となる見込みとのことであった。
長者原周辺はブナが芽吹き、オオヤマザクラは艶やかな桃色に着飾っていた。梅花皮荘との分岐である大渕の袂で、車道に鎖が張られ、除雪車が置かれてあった。強引に車で入ると雪崩のため戻れなくなることがあるので、素直に車はここでお終いとする。積んできた自転車に跨り、06:25雨の中、菅笠を被って大渕を出発する。菅笠としたのは、雪崩の音を聞くためには、雨の中でも合羽の帽子を被れないからである。
車道が登りになると自転車を曳いて歩くが、天狗平まで全てが舗装になったので楽である。倉手山登山道口の駐車場の雪も消えていた。道脇にはオクチョウジザクラが咲いている。オフタガリ沢のスノーブリッジは例年より貧弱であり、雪崩の少なかったことを示している。上桑畑沢から旭又沢周辺のブナの新緑は先週より着実に高度を上げている。
07:02-20飯豊山荘のピロティで休憩。食事を摂り、自転車を置く。湯沢の橋は昨秋に完成、ゲートも新しくなった。梶川尾根登口にはイワウチワが咲いている。この先は砂利道である。砂利を飛ばして樹木を傷つけないように、表面を故意に残して除雪しているので歩きにくい。除雪は温身平の十字路先までなされていた。積雪は40〜50cm程度。
07:44-47スキーを履いて歩き出す。08:03上の砂防ダムはスキーを担いで階段を上がる。梅花皮沢は雨と雪解け水で茶色に濁った奔流となっている。ブナの林を進むのは清々しいが雨が邪魔をする。右からのブロック雪崩の危険性は例年より遥かに少ないが、それでも油断は禁物である。何時ものスノーブリッジ2本を観察すると、これも既に渡りをためらわせるものがある。下ツブテ石付近の雪渓は安定していないと判断し、夏道沿いに左岸を進むことにする。下ツブテ石手前の登りでスキーを担ぐ、沢までの間は殆ど夏道が露出しており、ブロック雪崩の圧迫感が感じられない。下ツブテ石と上ツブテ石の間は、雪渓が全くない。予想以上に雪が少ない。上部からのブロックを注意しながら、沢を平坦部まで突き上げてスキーを履いていると、眼前の彦右衛門ノ平に雪塊が数個、音もなく落下してきた。速度は遅いものの、これだから油断はできない。特に雨の日は要注意である。
08:48婆マクレ(仮称)降口でスキーを担ぐ。トラバース途中からキックステップで下の雪渓に降りる。上ツブテ石から上流は雪渓が続いているものの、亀裂が多くとても歩ける状態ではない。左岸ぎりぎりに進み、地竹原の広い雪原でスキーを履く。今後、婆マクレは夏道どおりにトラバースして地竹沢に降りるコースとなる。そろそろ帰りの時間が気になる。
09:16-09:30梶川出合、梶川には上部から大きな雪崩が発生し、そのデブリが梅花皮沢合流点直前に盛り上がっている。食事を摂り、ここから下山と、帰路は写真を撮影しながら下る。シールを外して雪渓滑降を楽しむ。雪面はガリガリに硬い。地竹沢でスキーをザックに着け、往路と同じコースを戻る。彦右衛門ノ平に上がると先方から登山者が3人向かってくる。すれ違いざまに声を掛けると峡彩山岳会の皆さん、御西小屋にある冬山合宿デポを梅花皮小屋に移動するとのことであった。
時間がないのでスキーは担いだまま、どんどん下る。10:07ブナ林に入る。10:21上のダムを通過し、下の砂防ダムから旧道沿いにショートカットして砂利道に出る。10:55-11:00飯豊山荘で自転車を回収、車道には往路より雪塊が何箇所か多く転がっていた。小雨の中、11:25大渕に戻る。
梶川出合にて竹田君 | 梶川に巨大なデブリが押し寄せていた |
梶川出合から石転ビノ出合を望む | 梶川出合から下流 |
地竹沢から上流を仰ぐ | 地竹沢から下流 |
婆マクレに入る | 婆マクレ付近の雪渓は危険 |
婆マクレ全景 | 彦衛門ノ平にて峡彩の皆さんとスライド |
下ツブテ石付近は雪渓がない | 下ツブテ石の沢 |
下ツブテ石付近 | ブナ林 |
ブナ林を行く | 新緑のブナ |
涸沢の滝 | 上の砂防ダムから上流を仰ぐ |
上の砂防ダムから温身平 | 下の砂防ダム付近にて |
温身平にて著者 | 湯沢橋 |
湯沢ゲートと梶川尾根登山口 | 雪の大谷 |
飯豊山荘 | 丸森尾根登山口 |
玉川の新緑 | ツタモノワラ沢 |
自転車で移動する | オフタガリ沢のスノーブリッジ |
西俣尾根を仰ぐ | |
倉手山登山口 | 大淵の通行止め |