登山者情報704号

【2003年05月12-13日/朝日鉱泉〜鳥原山〜小朝日岳/井上邦彦調査】

朝日鉱泉の駐車場に車を止め、ザックを担いでナチュラリストの家前でKDGのみんなと合流する。12:02歩き始める。吊橋を渡り、ニリンソウ・タチツボスミレ・ウスバサイシンを見ながら水筒に水を汲む。12:18中ツル尾根への道と分かれて右の急斜面に取り付く。ジグザグに作られた登山道を一歩一歩踏みしめると、土の上にカモシカの足跡が見られた。標高570mから790mまで標高差220mを一気に稼ぐ。12:44-13:20(800m)尾根上に出た所で昼食とする。新緑の中にタムシバ・ムラサキヤシオ・ムシカリが彩りを添えている。例年になくタムシバが多く感じられた。登降を繰り返し14:10-30道脇に残雪のある三角点(992m)で休憩。登山道はこの先で北北東から大きな尾根を併せ、平坦な頂稜の西側を通り方向を西南西に変える。全行程を通して読図の勉強には最適なコースである。金山沢対岸には針葉樹林の中にタムシバが咲いている。ロープを伝って14:51金山沢(820m)に降り、飛び石伝いに沢を渡る。リュウキンカとミズバショウが咲いていた。ここからまた急登となる。尾根の南西斜面を登っていく。途中で倒木にブナワカイを見つける。1,120mより雪上となる。斜面に作られた登山道沿いは柴が邪魔になるので主尾根を歩く。新緑が終わり冬姿のブナ林となる。帰路のためにデフ布をつけて行く。あれほど咲いていたタムシバは固い蕾である。16:40-45休憩。部分的に藪となっているので残雪部を拾いながら進むと、左下部に広い緩斜面が現れた。地図で確認をすると標高1,200m前後に等高線の間隔が緩くなっており真ん中に小沢が入っており、登山道は小沢の東脇を直登している。沢を渡らないように進むと夏道が見つかった。この先は、夏道の痕跡を探しなら登り上げ、平坦な湿原の一角に出る。木道を進むと一面の雪原ではあるが、前回と比べ1m程度は雪が少なくなっていた。南東の水場を確認して、17:07鳥原小屋に到着。明日に備え、簡単な雪上訓練を行う。鳥原小屋裏の神社脇から携帯電話が通じた。
翌日、天候が安定していることので、10:00をタイムリミットにして大朝日岳を目指すこととした。体調の優れない2名を残して、出発しようとしている所に吉田氏から電話が入る。少々寝坊して予定より遅れ気味とのことである。06:04鳥原小屋を出発する。雪原を登り、06:24-29広場が露出している展望台で休憩。小朝日岳までのコースを観察する。最初の1,389mピークはキックステップで登る。右手から尾根を併せる1,470mピークへの登りは北斜面を絡むように登るので、06:58-07:10アイゼンを履く。私はアイゼンなしでみんなの下部を歩き、万一の滑落に備える。アイゼンを外して進み、夏道が崩壊している部分は、ピッケルで軽くカッティングして足場を作り、柴を掴んで通過する。07:48-53休憩、08:03-15小朝日岳山頂に到着する。吉田君から無線があり、ヒトツ沢林道に迷い込み1時間程ロスをしたとのこと。私も依然同じ誤りを犯したことがある。標識の矢印方向が現場とずれているので誤りやすくなっているのだ。残念ながら大朝日岳山頂を始め、主稜は雲に隠れている。観察すると、見込みどおりに雪は銀玉水の上だけのようだ。ここまでの所要時間を考えると、大朝日岳は無理だろうが、進めるだけ進むことにする。ぐんと降って、08:37熊越えを通過。08:53-09:00展望の良い所で休憩。コメバツガザクラ・ヒメイチゲ・カタクリ・イワナシを見ながら、09:22-38銀玉水の標柱に到着。無理をせずここから引き返すことにする。
来た道を戻る。古寺山分岐で5分程休憩。登り返すにつれて大朝日岳の雲が薄くなっていく。10:43-11:45小朝日岳でラーメンを煮て昼食とする。小国のODDと無線が繋がった。吉田氏も鳥原小屋で残った2名と会っているとのこと。展望を十分に楽しみ、下山を開始する。崩壊地を通過し、アイゼンを履いている最中にサングラスを掛けた吉田氏が到着。二人がかりで急斜面をサポートし、12:28みんなと分かれて井上だけ下山開始。
12:53展望台通過、13:05-16鳥原小屋で荷物を回収し、デフ布を目印にほぼ夏道どおりに降る。13:36(1,100m)より夏道が出る。13:49-56金山沢で食事。14:14三角点まで登り返し、タムシバ・ムラサキヤシオ・ショウジョウバカマ・ムシカリ・イワウチワ・カタクリ・オオバキスミレが咲く中、登降を繰り返し、14:55中ツル尾根分岐を通過、朝日鉱泉で西沢信雄氏と久しぶりにお会いし、15:07駐車場に到着した。

朝日川の吊橋を渡る タムシバのトンネルを進む
柴を掴んで ロープを頼りに金山沢へ下りる
一歩一歩踏みしめて登る 残雪のブナ林を登る
最後の急登 鳥原小屋が見えた
鳥原小屋の湿原は雪の下
小屋の近くに水場が作られていた 13日 キックステップで登る
小朝日岳直下の急登に喘ぐ 小朝日岳山頂にて
小朝日岳を後にして 右手の雪斜面最下部が銀玉水
銀玉水の標柱 銀玉水にて記念撮影
コメバツガザクラ 小朝日岳に戻る
まもなく小朝日岳 山頂の標柱が見えた
大朝日岳と中ツル尾根
小朝日岳山頂にて昼食 鳥原山を見下ろす
古寺山方面
危なっかしい残雪を慎重に渡る 崩壊した夏道は柴を掴んで通過する
アイゼンを履く 吉田君が迎えにきてくれた
雪の亀裂を越える 小朝日岳を振り返る
大朝日岳と小朝日岳
小朝日岳から古寺山方面
鳥原湿原全景
鳥原小屋 針葉樹林にタムシバが咲いていた
金山沢を渡り鳥原山を振り返る 992mの三角点
タチツボスミレ ヒトツ沢林道の分岐