登山者情報767号

【2003年11月1〜2日/川入(御沢)〜飯豊山/山田亘調査】
コースタイム
11月1日晴
07:12川入駐車場(540)→07:19御沢(570)→07:57〜08:05下十五里(820)→08:25〜08:32中十五里(940)→08:55〜09:00上十五里(1080)→09:30笹平(1250)→09:49〜09:54横峰小屋跡(1320)→10:10水場分岐(1360)→10:20〜10:26水場(1380)→10:39分岐(1440)→11:18剣ヶ峰標柱(1560)→11:39〜11:48三国岳(1644)→12:30七森標柱(1700)→12:55種蒔山標柱(1770)→13:15〜13:25切合(1740)→14:05草履塚(1908)→14:24姥権現(1820)→14:30御秘所標柱(1830)→15:36一王子(2070)→15:47飯豊本山(2102)
11月2日晴
07:16飯豊本山(2102)→07:23一王子(2070)→07:55御秘所標柱(1830)→07:57姥権現(1820)→08:17草履塚(1908)→08:44切合(1740)→09:02種蒔山標柱(1770)→09:20七森標柱(1700)→10:05〜10:24三国岳(1644)→10:40剣ヶ峰標柱(1560)→11:10分岐(1440)→11:19〜11:26水場(1380)→11:35水場分岐(1360)→11:47〜11:52横峰小屋跡(1320)→12:05笹平(1250)→12:24上十五里(1080)→12:40中十五里(940)→12:54〜13:00下十五里(820)→13:29御沢(570)→13:39川入駐車場(540)
(カッコ内の数字は地形図とGPSと高度計から求めた標高です。今回のGPS設定は35秒に一回です。)
記録
 この週末は、大鳥池の予定だったが、1年の流れを考えて飯豊にした。ダイグラと西俣の経験があって、カムエクに登れたのだから、今年中にもう一度本山神社にお参りしたかった。本当はダイグラから入りたかったが、日の短さ、体力、小屋の有無を考え川入にした。実は、先週も川入から入ったが、靴が浸水して途中で引き返した。今度は冬用の靴を買い、不安をなくして向かった。
 11月1日04:30新潟市の自宅発。京ヶ瀬から安田に抜け、下道を行く。07:12川入駐車場発(540)、杉林を歩き大白布沢を永久橋で渡り07:19御沢(570)。四本の大杉に手を合わせ、ブナ林を少し歩き、斜面の急登になる。斜度はそれほどでもないが、崩壊した所が多く歩きにくい。ログを見ると、この付近は地形図の登路より少し東側を歩いている。人の入り込みが多く、登路が崩壊しやすいため、付け替えられるのだろうか。尾根に合わさりブナ林を登っていく。紅葉は下が盛りでこの辺はもう過ぎている。07:47標高750m付近で上に杉林が見え下十五里とわかる。登路に杉があるのは上・中・下十五里だけだ。おそらく宗教上の理由で植えられたのだろう。07:57〜08:05下十五里(820)。葉を落とした樹間から行く手にピークと尾根が見える。横峰小屋跡のピークと谷地平から来る尾根、その後にあるのが牛ケ岩山の尾根だろう。
 下十五里を過ぎると、登路の崩壊が減った。左手の樹間から三国岳と小屋とトイレが見えるが、まだ小さく遠い。08:25〜08:32中十五里で新しい靴の紐を直す(940)。先週は冠雪しているのに、靴が浸水したので引き返した。新しい靴は皮がキュウキュウ鳴るが継ぎ目が少なく素性がいい感じだ。最後まで靴擦れせず感心した。左手の樹間から松平峠から疣岩山、松の木尾根などが見える。松の木尾根を観察しながら登る。三国岳は目の高さに近づいてきたが、水平距離は遠い。また上に杉が見え08:55〜09:00上十五里(1080)。高度的に限界なのか一本の杉は枯れており、もう一本も元気がなかった。下十五里を過ぎてからここまで、少しずつ斜度も緩み、登路も段々堅くなり、歩きやすくなった。けれど景観が開けないので、退屈に感じる。09:30笹平(1250)は、登路がカーブして笹が生えているだけの場所だった。09:49〜09:54横峰小屋跡(1320)を過ぎるとすぐ、右手から小白布登山口から来る尾根が合わさった。行く手には地蔵山が見え、分岐の道形の想像がつく。水平に歩き、緩やかに登り10:10水場分岐(1360)から左手の斜面に入る。斜面につけられた道だが広く歩きやすい。歩くうちに樹間から三国岳が方向を変えていき、やる気が出た。10:20〜10:26峰秀水(1380)は、登路のすぐ側にあり良く出ていた。再び斜面を歩き10:39地蔵山から来る尾根に出た(1440)。先週はここで引き返したのだ。稜線よりわずかに北寄りを笹の中緩やかに降りていく。尾根に乗ると七森から三国岳東面のスラブが荒々しく迫り、気持ちいい。景観が開けるとやる気も出る。鞍部を水平に歩き、少し緩やかに登ると岩が出て、剣ケ峰が始まる。ダイグラ尾根より登りやすい。11:18剣ヶ峰標柱(1560)を過ぎても岩場は続く。新しい靴は、水平なところで重さを感じるが、こういう岩場は歩きやすい。この頃千葉の人に抜かれる。岩場の上にふわりと立つ、不思議な人だった。上からは三十代位の男性が降りてきて、雲が多くなったので引き返したと言った。この日、会ったのはこの二人だけだった。山頂近くで右手の沢に水場が見え、良く出ていた。
 11:39〜11:48三国岳で休む(1644)。山々が重なっている。七森や種蒔山といったピークはわずかに左右にずれており、ここから本山まで見通せる。魅力的な景観だ。鞍部に降りて、鎖一本と、二つのピークを過ぎて12:30七森標柱(1700)。東面はスラブなので西面を巻いている。この付近アップダウンもあるが、足場の悪さを感じた。七森を過ぎると右手から地蔵岳の尾根が入ってくる。笹原の中に葉を落とした木が点在する様が美しい。種蒔山の手前で斜度が緩み、緩やかな丘から切合の鞍部、草履塚、一王子、本山と続く展望がパッと開け、歓声をあげた。12:55種蒔山標柱(1770)。笹原の掘れた道を降りていき13:15〜13:25切合(1740)。水は少し戻ったところの山形側斜面の小沢から出ていた。この先砂岩質の斜面でも水が採れた。掘れた登路を登り14:05草履塚(1908)、登りでは大日岳はガスに隠れ見えなかった。緩く歩き、もう一つのピークからの下りで、姥権現の鞍部から御秘所、御前坂がよく見える。この景観も地形図に忠実で好きだ。姥権現への下りで雪がわずかに残っていた。
 14:24姥権現の鞍部(1820)。羽前の小松のマエという女性が、山に登ったため祟りで石にされたと聞いているが、おそらくは前代神の零落したものだろう。赤い前掛けを掛けて拝むのは、祟りを受けた女性に対してすることではない。羽前というのがポイントで、会津蓮華寺が滝不動を焼き討ちする前の山形側の神様かもしれない。
 ほどなく14:30御秘所標柱(1830)。岩場を登ろうとしたら剣ケ峰で抜かれた千葉の人が降りてきた。できそうな人だった。御秘所は以前より易しいと感じた。緩く登り1900m位から御前坂をジグザグに登る。青空が頭上に広がり気持ちいい。右手を見るとブロッケンが出ていた。私は飯豊でブロッケンをよく見る。足が遅いため、夕方のガスの湧く時刻まで行動していることが多いからだろう。少し雪を踏み15:36一王子の石組に入る(2070)と、本山小屋が見えた。緩く登り15:47飯豊本山(2102)。ガスが湧いて三角点のピークから北は見えない。寒くなってきたので、雪を採り小屋に入り雑煮を作る。一人きりの本山小屋でローソクをつけ、自分の掲示板にカキコした。夜は風が出た。シュラフにカバーをつけても足下が寒くザックに足を突っこんで寝た。夜半トイレに起きると、大風の中、星が見え、ガスが大日の下の方に沈んでいた。風が強く眠れないかと思ったが、いつの間にか寝てしまった。
11月2日晴
 目が覚めたのは05:50位。白々としている。窓から外を見ると全山出ている。急いでデジカメを持ち神社の裏に回る。私はここから見る飯豊が好きだ。少し慣れてきたが、飯豊ならではの、どっしりとした伸びやかな景観だ。以前は梶川尾根や石転び沢に惹かれたが、今日は大日岳が美しく見えた。稜線の雪はないように見えたが、ダイグラ尾根上部は、雪がついていた。ひとりでに手が合わさり、仕事と山が長く続くよう祈った。大朝日の北に月山、以東岳の北に白く鳥海山が見える。見ているうちに南東の磐梯山が白くなり、蔵王の上にオレンジの光が流れ出た。少し出たあと直ぐ上の雲に入り、上部を光らせた。日が昇ると鳥海は消えた。景色を見たら早く家に帰りたくなった。小屋に戻り、鰹節でだしをとり、青菜と干しエビの含み煮としらすで雑煮を作ったら、うまかった。07:16飯豊本山発(2102)。天気が良く、途中7パーテイ位とスライドした。三国岳まで降りて、腰を下ろしリンゴを囓りながら本山を見ているとき幸せだった。水場の分岐からは退屈だが安全な登路だ。山行が終わるのを惜しむように下った。昨日の風で落ち葉が登路を埋め、ほてった足裏に優しかった。本山にお参りし、1年の流れが出来た山行だった。

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