登山者情報781号

【2004年01月17日/南俣〜二王子岳/山田亘調査】

コースタイム
08:01林道500m地点(130)→08:38尾根を越える(250)→08:57二王子神社(290)→09:37一合目(420)→10:12神子石(590)→10:18水場(610)→10:45〜11:00一王子神社(720)→11:52独標(994)→12:26鴨池付近(1140)→12:54油こぼし(1240)→13:33奥の院跡(1410)→13:38〜13:49二王子岳(1420.3)→14:59〜15:12独標(994)→15:40一王子神社(720)→15:52水場(610)→15:54神子石(590)→16:05一合目(420)→16:19二王子神社(290)→16:50林道500m地点(130)

記録
 新潟から新々バイパスに乗ると飯豊連峰が見えるが、新発田に向かっていくと大きな山体に隠れてしまう。これが二王子岳で、飯豊連峰前衛の山として知られている。計画している山行のために、雪山の経験を積んでおこうと二王子に向かった。昨年11月15日のGPSログを一部戻し、ガスられたときの備えとした。林道は雪で殆ど車が入れなくなっており、500m入った路側帯に車を止めた。
  08:01林道500m地点発(130)。林道歩きはつまらないが、上の田んぼから一王子の杉林が見えたのは嬉しかった。08:38林道左手にある尾根を越え(250)、杉の並ぶ中、姫田川を見下ろしながら歩いた。太鼓橋と大杉を過ぎ、緩やかに歩き、鳥居をくぐり、わずかに登ると神社の脇に出た。神社には雪が積もり、柱に養生をして、しいんとしていた。時間も遅くなったので独標までとカードに記入し、08:57二王子神社を出た(290)。杉林の中に先行者のトレースが続いていた。
 雪を踏み、杉林の中を歩く。杉林が切れ、右手の沢と交わり、一旦離れる。もう一度交わると、右手の尾根に取り付き、程なく09:37一合目の杉の木(420)。杉林を少し登り、尾根を南に外れ山腹をトラバースして、ブナの沢筋に出る。振り返ると葉を落とした樹間から角田と弥彦が見えた。巨石がゴロゴロしているところだが、今日は雪を被り歩きやすい。斜度が出て10:12神子石(590)。程なく雪の下から水音が聞こえ10:18水場(610)。登路は、北に向きを変えた後、斜面を南東にトラバースする。夏道だとこの後、沢筋を登るが、トレースは一本南の尾根に乗った。周りは新雪に樹氷で、青空も覗き、気持ちよかった。一王子直前で夏道に戻り、10:45〜11:00一王子神社(720)。時間がかかったので独標で引き返すつもりだったが、後から来た人が山頂までというのを聞き、14:00を限度に山頂を目指すことにした。それがこの山の定法のような気がしたからだ。樹間から東にピークが見える。コンパスを使ったら独標から北に伸びる尾根の920mピークだった。一見独標か、その先の登路上のピークに見えるのがみそだ。この登路は全体に東南東にスライドしながらピークを目指すので、遠くまで登路が見通せるところが少ない。直観的に登路を把握できないところにもどかしさがある。スノーシューを着け、斜面をトラバースすると緩登になる。青空に樹氷、トレースに時折リスの足跡が交わる。890m位から斜度が出るはずだが、夏道より南の藪尾根を利用しているためか、斜度の変化がスムーズだ。11:52独標(994)。雪は2.5mで例年より少ない。南東にスライドして1202mピークへと続く稜線、そしてその奥に山頂方向が見える。トレースは正面の樹林帯に入り、ほぼ尾根沿いに続く。(夏道では尾根の南面をトラバースしてから尾根に戻る。)標高1050m位から西寄りの尾根を使い12:26鴨池付近(1140)で夏道に近づく。この辺りの地形の変化は美しく、天国のような開放感がある。どこがどうというわけではないが、雪で藪が隠れ、細かな起伏が地形図どおりに表れ、登路にダイレクト感を与えている。周りも、大きなピークはないが、樹林帯の向こうに越後平野が広がり、その向こうの海際に角田と弥彦がならんで見えるのはいいものだ。北東には、思いの外近くに、光兎山が低く、だが白い三角形のピークを光らせていた。展望に唸りながら、鴨池付近から1202mピークまで緩やかに上がると、油こぼしとその先の登路が遮るもの無く見えた。弛緩した地形を夏道よりも直線的に斜面に近づき、西端から、雪が積った急な尾根状を上がり、12:54油こぼし(1240)。振り返ると高度感がある。前を向くと、山頂まで大変近く見え驚いた。雪で余分なものが埋まり、大変美しいシンプルな登路が出来ていた。13:33奥の院跡(1410)の少し前から大日岳が見えはじめ、飯豊のパノラマが広がった。平原に標識旗が立ち、その先には小屋と、凍り付いた青春の鐘が見えた。
 13:38〜13:49二王子岳(1420.3)でしばしの展望を楽しむ。門内までの登路は、大変難しく見えた。目を転じると低い山の中に光兎山だけが白く見え、引き寄せられるような高貴な品格を感じた。新潟の夏目さんと話した。山頂付近の標識旗はこの方のものだった。山頂を出て、奥の院の手前を歩いていくと、雪原の向こうに五頭、白山、粟といった越後の山々が迎え入れるように連なっていて、ぐっときた。何か余裕でゆっくり歩いたような文になったが、正直、登りは油こぼしの前から気が気でなく、下りも独標から先は日暮れと競争だった。パワー不足を実感したが、好天とトレースに導かれ山頂に行けたのは、本当にラッキーだったと思う。 
                              
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