登山者情報785号

2004年02月14日/鷹ノ巣山/井上邦彦調査】

光兎山では、私のスキーの流れ止めが雪のため殆ど機能しなかった。以前からこのことには気づいていたのだが、具体的な解決策が浮かばず放置していた。しかし、流れ止めの機能が雪のため全く機能しなくなるということは、欠陥商品どうこう以前に自分の生命が脅かされているということであり、たまたまこれまで大事故に繋がらなかったというだけのことである。そこで、すぐにホームセンターで1個280円のカラビナ?を購入しセットした。また、光兎山でストックの輪を無くしたので、今回は通常のスキー用を使用した。
前回(604号)敗退しているので、今回は真面目に登るつもりで取り組んだ。ルートは前回と同じである。
入折戸の駐車場に車を止め、車の明かりで装備を整え。05:58出発。まずは橋を渡って右岸の林道を進む。昨夜晴れたため予想通り凍み雪である。昨日だろうかカンジキの跡がある。橋の手前でカンジキ跡沿いに左に登り、河岸段丘の杉林に入る。杉林の中は凹凸が激しいので右寄りにコースを取る。小沢右岸から楽に渡れる個所を探しながら進み、

06:06小沢に掛かるスノーブリッジを越える。いよいよ尾根に取り付く。ややコースを右斜面に取りジグザグに登る。暑くなってきたので上着を脱いで下着1枚になる。ヘッドランプは作業の時のみ使用。雪は表面がクラストしているが、中はやわらかくストックが深く刺さる。適当な所で左の尾根上に出るが、まだ藪が出ており歩きにくい。両手で柴を掴んでスキーを進める。06:22右から尾根が合流する。左斜面は杉となる。前回と異なり杉林は凹凸が激しいので尾根を詰める。
530m06:48主尾根に出る。ここで杉林は終わる。前回の古びたデフ布が残っている。餓鬼山の肩に祝瓶山が聳えている。見慣れた形と異なり、一ノ戸から山頂までが遠く感じる。三体山付近の空が焚き火のように雲を染め、やがて太陽が姿を現した。足元の雪面が赤く染まる。尾根だけでなく、左の台地や斜面も良いブナ林である。
斜面を登っていくと、640m07:09-17左から尾根が合流した。前回のルート設置誤りが頭をかすめたので、ザックを置き地図を確認し、ついでに食事を摂る。
ほんの僅か登り、07:19山頂に到着、高度計を645mから570mに訂正する。長く平坦な尾根を進み、07:33下降点を地図で確認、デフを結ぶ。右斜面を滑ることに不安を感じたので、両手でスキーに付けた小カラビナを持ち、坪足で下る。520m07:39鞍部到着、ここで再びスキーを履く。500m07:49鞍部通過、ブナの林にネズコが混じる。広い尾根は素敵なブナ林となり、カモシカの足跡が私のスキー跡と交錯する。590mのピーク端で08:05-15食事を摂る。
飯豊連峰と三面の山々を遠望しながら進む。700m近く、県境尾根を仰ぐ。問題ないレベルであるが、一応雪庇に注意して登る。720m08:55光兎山に見とれている間に、700m峰を左から巻いていた。光兎山の右手には日本海が見えた。ネズコが作った小さな突起を左から巻く。目の前にナイフを立てたような鋭峰が立ちはだかる。ナイフを越えると、続いて左急斜面のトラバースになる。ここは慎重に通過することとし、780m09:19-28スキーからワカンに履き替える。
775m09:33主稜が左から合流する。荒々しい姿をしているのはテンモドシであろうか。ブナ林を進むと、目の前にカモシカが立っていた。1枚撮影すると、カモシカは雪庇を越えて右手斜面に下って行った。09:43-52ザックを置いてカモシカを観察する。全層雪崩跡を横断し、今にも崩れそうな雪壁をゆっくりと登っている。私にはとても設定できないコースである。ザックに腰を掛けて食事を摂る。
雪庇を避け、左手から尾根が合流する直下の源頭部分寄りに登る。尾根の雪庇が崩壊して雪崩れている。雪崩に気をつけながら、直登するが急斜面は膝までのラッセルである。膝で足場を作りながら一歩一歩這い登る。
850m10:11尾根左より合流し一息つく。875m10:18-21スキーに履き替える。10:31山頂の一角に到着する。広く大きな山頂である。向こうの小高い丘の上に立つ。10:34-11:18鷹ノ巣山々頂、高度計を950mから910mに訂正する。雪を掘って炊事場を作る。無風快晴、雪洞の必要はない。例によりラーメンにコンビニ弁当を入れて、缶ビールを飲む。
あまりに天候がよいのでルートを蕨峠経由に変更することとし、無線でODDに連絡する。地図とにらめっこして、下りルートを慎重に確認する。山頂の平坦地を戻り、検討をつけた尾根に向けて滑り出す。程なく尾根が急になる。左斜面を滑ることができそうだが、雪崩が怖い。830m11:34-39無理をせずワカンに履き替える。気温の上昇とともにワカンにボッコが着いて重い。痩せ尾根となり、急斜面を慎重に下る。雪崩の音が神経をすり減らす。
670m11:58-12:05このまま尾根を下るのは危険と判断、左斜面に下りスキーに履き替える。大きな亀裂の上を進むが、先が悪く一旦戻って亀裂の下を斜滑降する。630m12:18ようやく悪場を過ぎる。ピークを左から巻いて尾根の上に戻る。640m12:28から下る。580m12:44、
13:03疲れてきた。最後の登りだろうか一面ブナで覆われた山を登る。あちこちでブナの高樹から雪の塊が落ちる音がする。突然に重い雪が頭の上から降ってくる、直撃を受けては堪らない、ブナを見上げながらルートを取る。540m13:08鞍部を通過する。先ほどシールにワックスを塗ったにも関わらず、ボッコ囚人が始まった。山頂直下から轟音が響き大きな雪崩が落ちていった。
630m13:32-37尾根分岐で右にルートを取る。左下に杉が出てきた。さらに下ると車道が見え、左はカラマツの職隣地となる。630m13:56-14:10ピークでシールを外す、ODDと交信する。ここは間違いやすい。尾根を外して左斜面を下る。所々に登りがありシールを外したことが悔やまれる。
450m14:44-49ようやく林道に出る。ODDと交信するがうまくいかない、長いアンテナに交換して交信。15:19右岸の林道を下っていると前方に雪崩跡があった。雪の状態から本日発生したものと思われる。スキーを脱いで両手に持ち、慎重かつ急いで通過する。上からパラパラと雪が落ちてくるので、焦る。
15:28尾根の取り付きに着く。朝のトレースはなく、ワカンの跡が残っていた。290m15:36車に戻り本日の山行を終了した。

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