登山者情報792号

【2004年03月12日/大境山/吉田岳調査】

 標高1102mのこの山は、玉川地区・中田山崎集落の酒屋さんが登山口となる。ここの標高が200m。夏道は一応ついているが、薮で分からなくなっている可能性はある。見た目にかっこいい山で、急峻な地形から標高830m位で樹林帯がなくなり、後は白い世界。私はこれで3年連続この山にスキーで来たことになる。
 7時40分、その酒屋さんから山スキーで出発。小沢を2つ越え、2つの沢に挟まれた小さな尾根を登って行く。400m近くからブナ林の斜面になる。この辺は小さな谷と尾根が入り組んでおり少し分かりづらい。もう春の雪質でスキーは10cmもぬからず、ペース的に夏とそう変わらない早さで進む。少し北寄りにコースをとったら、「早く落とさせてくれ」と言っているようなズダズダのクレパスと痩せ尾根が現れた。そのため樹林帯上部の端を斜めに登って行き、850m付近の稜線部分に出られる所を探す。すると雪庇もクレバスも雪崩もない地点が見つかった。稜線に出る前に休憩をとる。稜線は風が強そうであるため、山シャツを脱いでカッパを着込み、キャップの紐を縛った。
 9時20分、870mの小ピークまで来てやっと大境山の山頂が顔を出した。ここから県境沿いにおおせど峰を経由して行く方法もあるが、970mの合流地点にクレバスが出来やすいのでお奨めできない(自分の経験談から(~_~;))。そのため一旦谷へと下り、そこから登り返す。昨日の雨と今日の風とで、1000m頃からは雪面がクラストしてきた。ここからはなだらかな尾根歩き。下から見えていたのは1080mの騙しピークで、その先に山頂があった。10時、登頂。飯豊連峰は1600mから上は雲で見えないが、痩せ尾根の枯松山、谷沿いに広がる小玉川地区の山村風景、そして何よりここの高度感のある雰囲気がいい。しかし風が強いため急いで写真を撮り、スキーのシールを外して下山滑降を開始した。
 クラスト部分を滑り終えると、そこから800mの谷までは最高のゲレンデである。少し重いが、がんばって一気に下まで滑り降りた。その谷で昼食を摂る(10時30分〜45分)。その最中にウサギが前方を駈けていった。今シーズンは山行ごとにウサギと出会う。ウサギが増えたのか、自分がウサギ化したのか。知り合いのマタギは「そんなに捕れねーよ」と言っていたので後者の方かもしれない??
 ここからはスキーを脱いで登り返す。これが唯一の難点であるが、今日は壺足で登れるため楽である。870m小ピークから再びスキーを履いた。稜線を離れ、樹林帯に入ると雪はますますずっしりと重くなっていった。しかし均一に重いのと、樹間が比較的広いのとでそれないにスキーは楽しめる。小沢を渡り畑を越えて、11時10分酒屋さんに到着した。前回は時間切れで山頂手前で引き返してきた事から比べると、驚くほど早すぎるタイムである。
登り始めの斜面 600m付近のブナ林
もうすぐ全層雪崩? リッヂとクレバス
玉川中里地区 見事なクサレやんばい
やっと山頂が見えてきた 850m地点より山頂を望む
1000m地点より山頂を望む 本当の山頂
枯松山(中) 大石ダム(中)と葡萄鼻山(左)