登山者情報888号

 【2005年03月07日/日中飯森山(飯森沢周遊コース)/吉田岳調査】

 このコースは今回で3年連続となる。ここの魅力は、アプローチが楽な事、周遊コースで楽しめる事、稜線闊歩、鉢伏山からの大滑降であろう。ただし危険箇所があるので、ピッケル1本は持っていった方が良い。ちなみに、携帯電話はかなりの範囲で使えるようだった。
 大峠トンネルを抜け、日中側に出てすぐの右手待避所に車を止める。
7時45分、まずはかんじきでスタート。飯森沢右岸を少し高巻き、沢に降りて対岸に渡る。これが最初の関門なのだが、とりあえずクリア。ここからはスキーでひたすら登り、高度を稼ぐ。2日連続の晴なのだが、人の足跡は全くない。ナイロンシールがほどよく効き、順調に進んだ。ただ、2日前に降った雪が昨日の高温でブナの樹上で固まり、その落雪には注意した方が良さそうだ。
8時35分最初の急登が終わった920m地点にて1本。かっぱを脱いで、汗止めの手ぬぐいを巻く。天気予報は晴れのはずなのだが、雲とガスがかかり、不安を感じる。登行を続けていくうちに今度は雪が振り出し、視界も10mほどになってきた。このコースの核心部になる1300mの痩せ尾根にかかる手前で、下界と携帯電話で連絡を取る。すると「会津は午後から晴れてくる」とのこと。下越と置賜の天気予報が良かったため安心していたのだが、ピンポイントの大切さを実感させられた。
 10時、スキーを脱ぎ、壷足にピッケルで、核心部に取り付く。痩せ尾根のためルートは限られるが、雪庇と滑落に気をつけてルートを取る。雪が例年より多いため、最後の1518mピークには直登で到着できた(11時20分)。視界はだいぶ開け、時々晴れ間も出てきた。これなら安心。1556m峰まで来て、やっと飯森山の全貌が現れてきた。やはり雄大、そしてここからの稜線闊歩はなんとも気持ちがよい。ウサギやカモシカの足跡が縦横無尽に走り、彼らにとってもここは楽園のようだ。
12時10分、栂峰から延びる尾根と合流し、飯森山に登頂した。西方には飯豊連峰が聳えている。しばし休憩。写真を撮り、滑降の準備にかかる。ここから下は昨日のトレースがついていた。やはりピストンコースには人が入るようだ。滑降開始。なかなかよい雪質だが、程なく鞍部まで滑り切り、またシールをつけて登り返しに入る。
13時05分、鉢伏山登頂。南方に会津盆地、そして磐梯山と安達太良山も見えた。さてここからが本格的なスキー滑降の始まりである。最初の辺りは雪質も良く思い通りにスキーが動く。しかし、ブナ林に入った当たりからはだんだん雪が重くなってきた。足を捻らないように注意しながら、全力で重雪に挑む。枝尾根に気をつけながら滑っていくと、国道が見えてきた。最後のスロープを満喫して、13時40分待避所まで滑り切った。

最初の関門の渡渉 落雪注意
920m地点にて一本 1300mからの痩せ尾根地帯
1518mピークを望む 核心部をふり返る
鉢伏山がやっと顔を出した 飯森山はまだ顔を出さない
栂峰が目の前に見える 飯森山が全貌を現した
飯森山(右)と鉢伏山(左) 飯森山山頂にて
遠くに飯豊連峰 会津盆地を望みながら滑り降りていく
もう一度飯森山(中)をふり返る http://www2.jan.ne.jp/~tabi-pro/gaku/