登山者情報928号 (投稿)

【2005年07月09日/ダイグラ尾根/山田亘調査】

厄年が明ける前に、記念の山行がしたくて、ダイグラ尾根に出かけた。22:00就寝、02:38新潟発、たわら屋で握り飯を6個買い、04:10過ぎ天狗平着。予定より55分遅れ、04:25天狗平発(410)。04:43温身平(450)。右手の石転び沢はガスの中だ。行く手のブナの上にダイグラ尾根が少し見える。砂防ダムまで進み休場の峰までピークを数える。砂防ダムの後ろのデブリが融け、先週より歩きやすい。この時間なのに、クモの巣が顔にかからず、先行者がいる感じだ。05:06桧山沢の吊橋を渡り(470)、少し落合方面に戻ってから登りが始まる。急だが、梶川尾根程ではない。一登りで登路の脇に丸い白い石が一塊に置かれている。
600m前後に2箇所、登路に岩が析出しておりその先一登りでシャクナゲに被われた岩を過ぎ程なくピーク(666)で、05:33〜05:43握り飯を一つ食べ休む。先週より眠れたせいか頭がすっきりしている。緩やかに登り、06:06畳のような石から尾根を桧山沢側に外れる(840)。尾根に戻ると、立枯れた木が見え06:18御池の平(926)。西側の主稜のガスが少しずつ取れていく。カエルの声が聞こえ種蒔きの池。枯れかけたタムシバの花びらが落ちている。緩やかなアップダウンを繰り返す。前方左手に赤茶けた斜面が見え長坂清水の手前とわかる。06:34左手のナラの根元に長坂清水の標柱(960)。この先倒木を越えた辺りから斜度が出る。滑りやすい赤土の剥き出しの登りが終わると、手がかりのある落ち着いた登りになる。檜山沢側に針葉樹が出てきて斜度が緩み07:05米栂の平(1170)。休場の峰への登りがこんもり見える。まずは基部まで行かなくては、としばらく平坦に歩く。登りにかかるとほっとするが、じきに見通しのいい急な登りになる。ダイグラ尾根で一番急だが、今日は荷物が少ないので楽だ。ダブルストックに助けられじっくり登る。
07:29休場の峰(1320.7)、宝珠山まで見えるが本山はガスに隠れている。少し先の日陰でクサイグラ尾根方面を見ながらおにぎりを食べる。梶川尾根以北の稜線がガスから出てきた。07:41休場の峰の先発(1320)。大又沢側に出ると、先週ルートミスしかけた雪渓がある。大分小さくなり、問題でなくなっていた。桧山沢側に戻り、帰りしんどいだろうなと思いながら1330ピークを越える。桧山沢側の廊下のように平坦な巻道を歩き、千本峰の登りにかかる。見覚えのある倒木を過ぎ木陰の中08:27千本峰の標柱(1440)。日向へ出て08:32千本峰(1450)。ここら辺の、ヒメサユリは盛りを過ぎている。08:38千本峰の岩場(1430)から左手に宝珠山を見る。クサイグラ尾根以北の稜線はすっかりガスが取れたが、本山はまだガスの中だ。少し降りて、大又沢側に出ると足場が悪くなる。(休場の峰から先、大又沢側を歩くときは足場が悪い。地形図では尾根通しに見える道が、微妙に大又沢側を通ることが多い)1499ピークの桧山沢側の巻道に入りほっと一息。09:10鞍部(1450)。いよいよここから宝珠山への登りが始まる。おなじみの登路に被さるようなダケカンバを過ぎ、緩やかに登る。09:38大又沢側に出た所で登路が崩壊しており(1570)、藪を掴み気をつけて通る。この辺りから足場が悪くなる。 10:04去年の事故雪渓を通り過ぎ、写真を撮る(1670)。この辺りだったか、ヘリコプタが宝珠山の大又沢側でホバリングして、すぐ引き返して行った。その先10:21雪渓からいい水が取れた(1700)。自分が今日、日帰りを計画したのも、この融雪水をあてにしてのことだ。
10:29宝珠山の肩(1730)からこの先の雪渓を見る。今年は多雪だったが、高温と大雨のせいか、今日の雪渓は去年の7月1週より小さく三つに分かれている。ピッケルを抜き一番下を登り、二番目は草付きを歩き、一番上は上部を回り込むように歩いた。歩き終わると、1969ピークが遠くにドンと見えた。小さなアップダウンの後、11:01〜11:08宝珠山の岩稜(1830)。タイムを見ると休場の峰から3時間20分。荷を軽くしてこれでは、この先厳しいなとがっくり来た。それで改めて先を見ると、1969ピークから離れてガスに隠れた本山があり、鞍部付近にも雪が見え、とても2時間で行けない気がして、足下からへなへなと力が抜けた。負けた、帰ろうと思ったが、試さないうちに引き返すのは、自分の美学に反するので、気持ちを奮い起こして、山頂まで時計を見ないで歩くことにした。幸い薄いガスに被われ、消耗しないで歩けた。地形図通りにアップダウンを三度やり、11:39鞍部(1780)。雪堤を少し歩き(全然問題なかった)。がれた登り少しで崩壊地のような所に出る。登路をふさぐような石を越え少し登り、1969ピークの鼻先をかすめるようなトラバース。桧山沢側に入ると風が出始めたが、いつもより緩い。その風のやわらかさが飯豊に招かれているようで心強い。ガスで視界は効かないが、日射しが遮られいい塩梅だ。ピークに向かい歩いていくと、ガスが切れ一〜二度標柱が見えた。山頂直前でダイグラ尾根方向に倒れた標柱を越え、12:38三角点初めて時計を見た。先ほど御西からくる人影が見えたので小さく万歳をした。ガスの中写真を撮ると、先ほど向こうに見えた人が来て俺も写真を撮ってくれと言った。見附の齋藤さんで03:00に石転び回りでここまで来たそうで、大したものだと思った。ダイグラを下るというと、一緒に行こうという。自分は遅いのでとまどったが、遅くてもいいから行こうというので、そうすることにした。齋藤さんはパンとコーラを飲み、グレープフルーツを食べた。自分はおにぎりと楽しみにしていた桃を食べた。高い山の中でガスにまかれ食う桃は甘く瑞々しく、孫悟空のような気分だった。時折ガスが切れかけたが大日岳は最後まで姿を現さなかった。12:54三角点(2105.1)を出て、自分のペースで下り13:30鞍部(1780)。この辺りから本山のガスが切れた。齋藤さんは何も言わずについてくる。自分が遅くはないかと気を使う。14:02宝珠山の岩稜(1830)で本山を見ながら「どうだった」と聞くと遅くはないとのことなので、安心してマイペースで下った。宝珠山の雪渓では齋藤さんがリードしてくれた。14:37宝珠山の肩(1730)なので通過に時間がかかった。自分の水がなくなりかけていたので、この下の雪渓で補充した。齋藤さんは大又沢側の足場の悪さに驚いているようだったが「まあダイグラだからな。」と言い合い歩いた。そのうち齋藤さんの水が尽き掛けてきた。1570mの崩壊地を過ぎ、確かこの先にあったはずだと思いながら行くと、行きに最初に水を採った雪渓があった。午後も遅いせいか流れは細くなっていたが、500cc位は補給できた。自分もシェラカップで三杯飲んだ。15:37鞍部まで降りて一段落(1450)。1499峰を巻いて、大又沢側をへつり気味に歩いている時だと思うが自分の時計のバンドが切れた。齋藤さんはしきりに「道が悪い」といい、「なぜここに来る」と聞いた。自分は「ここに来ると、どこ行っても楽なんです。いい尾根に通じる普遍性があるというか・・・」と答えると「なるほど」と言った。16:11千本峰の岩場(1430)を登ると主稜の東側に雲海が沈んでいた。ここらへんから時間を計算する。行きは休場の峰から1時間15分位のはずだ。16:15千本峰(1450)、16:18千本峰の標柱(1440)と過ぎ、「もうアップダウンはないだろう」と聞かれ「まぁ」と答える。1330mの登り返しで「登らしておいて、ズドンと下らせるとは・・・」と呟いているのを聞きくすくす笑う。みんなそう思うんだなと思う。
16:54〜17:04休場の峰(1320.7)。なんとか45分位で来れた。ここで最後のおにぎりを食べる。ズドンと下り17:21米栂の平(1170)で平坦に歩き、また少し下り倒木を越え17:38長坂清水(960)。ガスの中時折見える御池の平の枯れ木を見ながら進む。17:52御池の平(926)。梶川尾根以北の雲海が少し暗くなってきた。一旦尾根を外れ18:03尾根に乗る(840)。もうこのころはストックが松葉杖がわり。ピョコタンピョコタンと降りる。齋藤さんもさすがに足の裏が熱いという。18:16斜度緩みまだ手前だが 666ピークと思ってマークしている(680)。18:20本来のピークと気づいてマークし直す(666)。シャクナゲ岩を過ぎ、岩2カ所を過ぎ、その先が長い。なりふり構わず下る。瀬音が大きくなっていき。白い丸石が固まっておかれた所に来て「もう少し」と声を掛ける。けがをしないように慎重に慎重にと下り、尾根を外れ回り込み18:41桧山沢の吊橋を渡った(470)。
ぽつぽつ降り出した雨の中、待望の水を二人で飲む。顔を洗い、互いに「おめさんがいなければ下れなかった」と言い合う。足下の狭いところを過ぎ、砂防ダムからはしゃべりながら歩く。19:10温身平(450)の先からライトを点け、次行く山の話だの、いつもどうやってかみさんの機嫌をとってるのだの、話しながらのんびり歩いた。19:36天狗平(410)。梅花皮荘にお願いして風呂に入り、またどこかで会おうと言って別れた。ちなみに山行前の体重66.4キロ体脂肪率19%が山行後64.4キロ17%に落ちていた。次は60キロに落としてまた試してみたい。                            

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