登山者情報937号

【2005年07月24日/足ノ松尾根〜杁差岳〜地神北峰/井上邦彦調査】

23日は流石に山に登る気がせず、ひたすらに眠り、救助作業で汚れたザック等を洗い、山のように溜まっている書類の整理をして過ごした。
24日は、癖になったのか03:00前に眼が覚めた。ごそごそと山の準備をして、03:38自宅を出発した。04:48-58新しくなった奥胎内ヒュッテの駐車場には沢山の車が止まっており、皆登山の準備をしていた。偶然に隣に停まった車から、2003年12月28日(情報第774号)に西俣ノ峰でお世話になった下越山岳会の皆さんが降りてきた。登山口までバスで行くとのこと。私は何時降りてきても良いように自転車を準備してきた。私一人だけ自転車を漕ぐと途中で満員の登山者を乗せたバスに追い越された。
05:18-23登山口に着くと、バスから下りている最中。高度計を430mにセットして、河岸段丘のブナ林を進み急登に差し掛かった所で、笠原さん(情報第910号)に声を掛けられ写真を撮っていただいた。以前に不評だった全コースのフィックスロープはなくなり、要所にはトラロープが張られていた。
05:53-55姫子ノ峰まで登ると展望が開ける。06:03-08高度計1,010m、空腹を覚えたのでお握りを頬張る。急な斜面を降りた鞍部の岩場にはマルバキンレイカが咲いていた。06:22高度計1,090m、滝見場の看板はなくなりブナの木に針金が食い込んだ跡の線が2本残っていた。滝見場のすぐ上に休むによい場所がある。
既に先行している登山者は全員追い抜いた筈なのだが、前方から何やら音がする。動物かもしれないとカメラを抱えて近づくと、黒川村の今井さんであった。今井さんは小国町に知人がおり、同じく地元の山を思う心が通じて会話が弾んだ。
コメツツジの咲いている尾根の右下に船窪地形を見て下ると、06:45高度計1,240mで左に水場へ行く道を分ける。鞍部から若干登るとテントを張った跡のような場所があるが、よく観察すると地すべり地形が横断しているのが分かる。
ブナの急坂を登ると、森林限界に出て眺望が広がり、眼前には大石山が聳える。高度計1,550m左下に残雪があり雪で曳かれて道が崩れている。
07:32-40高度計1,710m大石山分岐に到着する。食事をしながらOTJと交信する。ここから左に折れ、杁差岳に向かう。下り斜面は一面のお花畑、ハクサンフウロ・シラネニンジン・コキンレイカ・ミヤマホツツジ・マルバシモツケ・ミヤマアキノキリンソウ・タカネマツムシソウ(始)・エゾイブキトラノオ・ニッコウキスゲ・タカネアオヤギソウ・イワテトウキ・ヨツバシオガマ・オトギリソウ・ノリウツギ・エゾスカシユリ・ギボウシ・クルマユリ・マルバダケブキ・ヤマトウバナ・ミヤマコウゾリナ・シロバナニガナが咲いている。3人で道刈りしている方とすれ違うと、関川村の加藤さんであった。懐かしさに思わず握手を求める。ここから先は刈り払われた快適な登山道となる。
08:12鉾立峰を通過する。お花畑は相変わらずでシャジンやタカネサギソウも加わる。小屋の手前は一面ニッコウキスゲに覆われていた。08:34杁差小屋の脇を通り、08:37-09:12杁差岳に立つ。視界なく寒いのでシャツとカッパズボンを履き、ラーメンを煮ていると、2人連れが到着した。新しいカメラなので使い方が分からず四苦八苦するうちに、ガスが晴れてきた。梶川尾根のVCKも順調に登っている様子。大日杉から登っているKDG2パーティを含め、GZKが無線でサポートしている。
山頂から小屋に下り、水場に向かう。まだ残雪があり融雪水が取れた。水場から小屋まで登り2分40秒であった。09:22杁差小屋前を出発する。登山者とすれ違いながら09:48、高度計1,720m鉾立峰、10:24大石山分岐を通過し、ヒメサユリ・イブキジャコウソウ・ハクサンフウロ・エゾイブキトラノオ・ヨツバシオガマ・ニッコウキスゲ・エゾスカシユリ・ミヤマホツツジ・マルバシモツケ・オトギリソウ・タカネアオヤギソウ・シロバナニガナ・ヤマトウバナ・ハクサンイチゲ・イイデリンドウ・クルマユリ・ミヤマアキノキリンソウ・ミヤマコウゾリナ・コキンレイカ・ヨツバヒヨドリを見ながら頼母木山に向かう。途中で道刈りの方とスライドする。何時も思うが、道刈りをしている方は上手に花を残して刈っている。
10:58-11:32頼母木小屋で先ほどの今井さん・小屋の管理人さんと懇談。市町村合併後の登山道や山小屋の管理がどうなっていくのか、林野庁の登山道有料化(登山道の管理者から使用料を徴収する、実態は管理者不明の登山道も少なくない、県や市町村も財政が厳しく採算の合わない観光施設の整理を行っている。素直に使用料を支払うとは思えない。登山施設の行方は混沌としている。)
小屋から地神北峰を目指す。キンコウカ・イワイチョウ・ニッコウキスゲ・コバイケイソウ・ヨツバシオガマ・ハクサンシャクナゲ・ホソバヒナウスユキソウ・マツバシモツケ・コキンレイカ・ダイモンジソウ・ハハコグサ・ミヤマホツツジが咲いている。
途中、頼母木山々頂の草原にシートを敷いて食事をしているパーティがいた。山頂付近は多数のイイデリンドウがここぞとばかり大きく花を広げている。「済みません、そこはイイデリンドウが・・・」「花は咲いていないよ」「咲いていなくても・・・自然公園法違反にもなりますし・・・」女性の方が裸地を指して「こちらにすれば良かったのですね」「そちらに移動をお願いします」
12:05-18地神北峰にて長アンテナを出す。OTJ・GZK・私が梶川尾根を登っている筈のVCKを呼ぶが反応がない。心配になるが、OTJとGZKに任せて私は戻ることにした。先ほどの12:34頼母木山々頂の草原には誰もおらず、ただ草が横に倒れていた。12:43頼母木小屋で黒川村役場との交信時刻を尋ねると、09:00、13:00、17:00であり、07:00に門内小屋とのみ交信しているとのことであった。頼母木小屋から先の登山道で数箇所にオオバコが繁殖しているのが気になった。頼母木小屋のオオバコが広がっているのかもしれない。ボランティアを募り、思い切って頼母木小屋と登山道のオオバコに人海戦術でダメージを与えることも考えてよいと思う。
13:05大石山分岐を通過し、下山を開始する。水場分岐から水場まで下ってみる。高度計は分岐の標高1,240m、水場の標高が1,190mを指していた。差し引き標高差50mということになる。下りは3分50秒、上りは5分20秒を要した。登山道はトラロープに導かれて山道を下り、涸れ沢に設けられている数箇所のアルミ梯子を下ると、右手の小沢に勢い良く水が流れていた。
登山道に戻り、登山者に道を譲っていただきながらぐんぐんと下る。14:05滝見場を通過し、14:24-38姫子ノ峰で食事とする。ここで無線機を出すとVCKが出た。先ほどは周波数をメンチャンに戻すのを忘れていたとのこと、現在地は門内小屋付近、「あと1時間強頑張れ」のエールを送る。
14:57登山口に降り立つ。ここで自転車に乗り、15:09奥胎内ヒュッテに到着する。売店に行き「山の地図を書いている井上です。昭文社からコースと施設を確認するように言われてきました。施設を見学させてください」と申し出ると、中から男性が出てきて汗臭い私なのに、丁寧に館内を案内してくれた。
施設名は「奥胎内ヒュッテ」、1階にはコンビニ風の売店があり、地下に男女別の大浴場がある。登山客は5階の個室に泊まることになるが、見せていただいた部屋は和風の立派な部屋であった。1泊2食付けであるが、早朝出発の場合はお握りとなるとのことであった。

今回のコース
足ノ松尾根の水場 杁差小屋の水場

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