登山者情報954号

【2005年10月08-09日/御幣松尾根〜御西小屋/井上邦彦調査】

予想天気図を見ると08日は寒冷前線通過の直撃を受ける。09日に期待を賭け、新しくなった御西小屋の泊まり心地を楽しみに御幣松尾根を選んだ。今回は寒さを覚悟し下着・ズボン共に冬山用を着用した。
07:06湯ノ島小屋を出発し、07:12車道終点前で左手の標識に従って登山道に入る。河岸段丘を僅かに進んだ所で、尾根道(旧道)は進入禁止になっており、右下の階段(木製)を降り、へつるようにアシ沢に下がっていく。
アシ沢に架かる橋は足場パイプで作られている。対岸に渡って尾根の末端から河岸段丘に上がる。ここは良いブナ林だが、旧登山道や釣道・茸道が枝分かれしているので、標識に従って進み、尾根に取り付く。尾根には所々枯れたナラが目立つ。08:01-14食事を取りカッパを着込む。雨は驟雨的でそれ程でもない。ブナの多い尾根道を登るが、それ程には急に感じない。
08:25月心(ガッシン)清水分岐の広場には月心と思われる僧侶を描いた石仏と標識があった。その僅か手前にも幕営跡地があり、下の方が平坦で寝心地が良さそうである。
月心清水からはいきなりロープのある急登であり、08:30登り切ると展望が開けた。ここからはまた斜度が落ち、ブナの疎林となる。登山道には熊と思われる立派な糞がとぐろを巻いていた。09:04幅広く風化した急な岩場にロープが設置されているが、ロープに緑色の苔が生えており、慎重に足場を選びながら登る。
空腹に少々根を上げながら、09:16〜24ようやく一服平に到着する。ここで尾根が合流するが、広場には平成8年建立の大江勝広記念碑がある。ここで食事を取る。
この先は平凡な登りであるが、枯れ草が靴やストックに引っ掛かり歩きにくい。一部藪になっている所もある。尾根が斜面にぶつかって消える同時に、針金とロープが出てくる。ひと登りすると水晶尾根に出る。
09:59文字の消えた◇形の標識だが、微かに「櫛ヶ峰」と読める。ここが「早川ノ突キ上ゲ」である。この先はいきなり赤いミネカエデの歓迎を受ける。10:15-21空腹を抑えきれずに食事を取る。ガスの中、左から雨が叩きつけるがさほどではない。
10:28牛首山の標柱は文字が消え傾いている。晴れていれば楽しい所なのだが、今日は黙々と歩を進める。10:47◇牛ヶ首の標識はまだ新しく見える。この鞍部から登山道は右手の草地を斜登して行く。11:08-14草地の上部で食事を取る、温度計は12℃を差している。
草地から尾根上に上がると高度感のある岩稜である。技術的には何てことはないのだが、右斜面がハング気味の頂稜に登山道があり、足元から空間が見える箇所もある。道が左に折れ笹原を進み、11:20惣十郎清水に着く。融雪水利用なので水はないが、雪窪には緑と黄色の爽やかな色彩がガスを通して見えた。
11:27大日岳山頂の標柱に着く。無線を出し梅花皮小屋のODDと交信をする。登山道を下りきると、11:58文平ノ池の標柱が倒れている。登山道には川のように水が流れており、いっそ此処で水を汲んで行こうかと誘惑を受けるが、御西小屋の水場を確認したいので、そのまま登る。周氷河地形状の砂礫地を囲むように赤いチングルマが群落をなしている。
12:21御西小屋に到着する。「大日岳方面」と書かれた標識は紙をビニール袋に入れたようなもので、ここは良く登山者が迷う箇所なのだからしっかりした物が欲しい。
小屋に荷物を置き水場に向かう。踏み跡が幾つかあるので迷いやすいが、縦走路を飯豊山に向かい、途中から右手に下る。水場まで下り1分45秒、登り5分10秒であった。水場には塩ビ管と鉄管があり、勢いの良い塩ビ管からは出ている水は色がついていたので、鉄管から汲んだ。
小屋に戻り、誰もいない新しい小屋を観察する。入口の右手に管理人室、左手に2穴の水洗便所があるが、釘で打ち付けられ使用できなくなっていた。まだ古い便所が外に残っているので、それを利用することになる。便所の前には濡れた物を下げるフックが幾つもあった。さらにドアを開けると、コンクリートの床があり、最奥に2階に登る階段があった。ドアの左手に靴入れがある。
2階の方が明るく感じられたので、2階に陣取ることにした。外壁はトタンに覆われているが、基本的には木造である。御西小屋は稜線の小屋では珍しく屋根まで雪に埋もれる小屋である。その雪圧に対抗するためか、柱や仕切りがやけに多く、こじんまりしている感じを受けた。
暇に任せ、晩酌をしていると徐々に登山者がやってきた。ダイグラ尾根を登ってきたという4〜5人パーティ、川入から3人、梅花皮小屋から1人である。私はランタンを点けることもなく寝袋の中に入っていた。

梶川尾根を下るという1階のパーティは早朝から賑やかであるが、まだガスの中なので外が明るくなるのを寝袋の中で待つ。一晩全く寒くなかった。
案の定、明るくなるに従いガスが切れ始め、大日岳の山頂や烏帽子岳が見えてきた。06:25小屋を出発する。気温は5℃である。どんどん変化する大日岳の様子にデジカメを構える。昨日はカメラをザックに仕舞い込んで歩いた鬱憤を晴らすようにシャッターを切る。
06:51文平ノ池を通過する。大日岳山頂の上にあった笠雲が降りてきた。07:07雲の中へ入る。07:33大日岳山頂は残念ながら視界なし。梅花皮小屋のODDと交信する。
高度を下げて草地の下部、07:56-08:03牛首山が見えてきた。08:10◇牛ヶ首を通過する。振り返ると山頂部は雲に覆われているが、歩いている周囲はまさに紅葉真っ盛りである。ひたすら写す。
08:35-48牛首山々頂で食事を取りODDと交信を行う。09:05早川ノ突キ上ゲから急坂を下り尾根を歩いていると、登ってきた小泉さんが声を掛けてくれた。すぐ後ろからは波多野さんも登って来た。立ち話をしてスライド。
09:33-36黄葉に包まれた一服平で一息入れる。09:41広い岩場を慎重に下る。10:08-15月心清水に到着し水場の様子を見に行く。小沢まで行き1分26秒、帰り1分40秒であった。
途中でナラ枯れを観察する。幹に幾つ物穴があり、そこから木屑が盛り上がっており、見上げると葉は茶色に枯れていた。
11:17車道に出て、11:21湯ノ島小屋に到着した。

今回のコース
御西小屋の水場 月心清水

参照(http://www5f.biglobe.ne.jp/~cheleste)

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