登山者情報965号 (投稿)

【2005年11月05〜06日/川入〜飯豊本山/山田亘調査】

 この土日は、無雪期に飯豊に上がる最後のチャンス。天候の急変に備え、小屋の多い川入を選んだ。
 11月05日
 04:30起床、05:08新潟発、高速に乗り、07:00頃御沢野営場。車が一台もなく拍子抜けする。07:13御沢野営場(540)から杉林に入る。今日のGPSは、内蔵アンテナで31秒毎測位、07:25御沢の大杉(570)まで、まずまずのログだ。大杉に手を合わせブナ林に入る。朝の光にブナの葉が輝いている。食料が多く、ザックが少し重い。葉を落とした木々の間から、杉が見え08:00〜08:06下十五里(810)。この先紅葉が盛りだ。08:23中十五里(930)。中十五里と上十五里の間は、尾根通しだが、登りのログが西にずれた。08:44上十五里(1070)を過ぎると三国岳の展望が開ける。09:14笹平(1230)。御沢からここまで、よく歩かれ、えぐれた登路が印象的だ。09:29地蔵小屋跡(1320)で斜度が緩み、09:31右手から小白布沢の道が合わさる(1320)。09:44「地蔵水場道」の標柱から左手へトラバースが始まる(1360)。ここまで退屈だったが、三国岳が正面に近づくと、やる気になる。09:55〜10:05峰秀水(1380)で水を2L入れ、10:16トラバースが終わり(1440)、三国岳に近づいていく。
 右手に七森までの山が歯のように見える。その右奥の白く雪のついたピークは、一王子と本山だ。青空に映えすごくやる気になる。鞍部の先から岩場になり10:53剣ヶ峰の標柱(1550)。南から雲が近づく。11:15〜11:22三国小屋(1640)。重なるピークの奥に本山と青空が見える。クリームチーズブランを食べながら、来て良かったと思う。三国岳からの歩き出しと七森の手前は少し足場が悪い。12:06七森(1700)。この先の下りも少し足場が悪い。12:32種蒔山の登りが終わり左手に道がカーブする所で展望が開ける(1760)。本山と草履塚の懐に切合小屋が抱かれているようだ。切合小屋直前で後ろから「ヤッホー」と言う声が2〜3度する。「ホ〜イ」と返してゆっくり歩く。12:55〜13:04切合小屋(1740)でブランを食べる。草履塚の登りで寝不足のため頭がくらくらする。そうなると思っていたので、ゆっくり登る。13:42草履塚(1908)。本山から御西まではクリアーだが、大日だけ靄がかかっている。暖かい空気と冷たい空気が混じっているのか、陽炎のようだ。ここからは、正面に一王子と神社のピークがあり、三角点のある2105ピークは左にそっぽを向いたように見える。神社のピークを「本山」というのも、なるほどと思う。草履塚の北のピークに古い刀剣の折れが挟まっている。日陰に雪を見て、14:01姥権現(1820)に降りる。結構なお金が剥き出しで供えられ、とても魅力的だ。御秘所を過ぎ14:30御前坂標柱(1910)でブランを食べる。御前坂下部は西側を登り、2000m位から東側を登る。いつもはそのまま東側を歩くが、一王子の直前は雪が固かったので、真ん中寄りを歩き、石組みの直前で東に出た。15:10一王子(2070)で斜度が緩み、15:18本山小屋(2102)。誰もいない。
 ザックやGPSを置いて冬の上着をはおり、歩き出す。快晴無風で嘘のような青空だ。先ほどぼんやりしていた大日は、薄いガスを強い逆光が透過し、女性的な表情を見せていた。15:42〜16:00頃三角点(2105)でお参りする。こんな穏やかな日に誰もいないのが信じられず、「快晴無風」と呟きながら小屋へ戻る。16:14頃本山小屋(2102)。二階の東側の窓から、日没を肴に角のストレートを飲むのは、堪らない。ただ、ここに「いい山だね」と言い合える人が居ないのが残念だ。せめてもの慰めに、黄色いローソクを点け、酒を飲みながらハンバーグとりんごと練り物と、うどんを食べる。19:00頃シュラフに入りラジオを聞いていると、自分の好きな「A Day in the Life」がかかった。夜中起きると南の空にオリオンが見えた。本山神社の上は、もっと良く見えたが、何という星かわからなかった。
11月06日
 05:10起床。うどんと薩摩揚げを食べながら、2階の冬季出入口から御来迎を待つ。06:08吾妻の上から御来迎。北東には朝日連峰。大朝日と寒江山の間に月山が覗き、鳥海が以東岳に寄り添うように出ている。鳥海は斜面の質感までわかり、やはり非凡な山だと思う。朝日の手前に、光兎山がかわいらしく出ている。鷲が巣は中岳と後岳が出ている。06:51本山小屋(2102)発。既に西の方は高曇りだ。会津駒、燧ヶ岳、越後三山、守門、浅草と続く展望を静かに見る。南に目を転ずると磐梯山が東からの雲に飲み込まれる所だった。少し風が出ていた。最後に三角点ピークを見て、願い事を言った。そして、冬の上下に冬手袋をはめて御前坂に向かった。御前坂で大日岳がはっきり見えた。そうしたら、かみさんと子供に早く会いたくなった。どうせ、誰もいないだろうとかみさんと子供の名前を呼びながら下っていったら、6〜7人パーティが登ってきて恥ずかしかった。  暑くなったので、07:24〜07:31御前坂標柱(1910)で冬手袋と冬上下を脱ぎ、黒い冬インナーの、寝起きのような格好で下っていった。07:46御秘所終わり(1830)、07:51姥権現(1820)。08:09草履塚(1908)を過ぎると、南から雲が上がって来た。そして、その手前で切合小屋が気持ちよい草原に抱かれているように見えた。08:36〜08:46切合小屋(1740)でガスに入った。09:28七森(1700)。
 10:08〜10:18三国小屋(1640)でチーズを食べ、水を飲み干した。剣ヶ峰の下りで6人パーテイとスライド。剣が峰の標柱の下で単独行とスライド。岩場を終わり気を抜いて歩いていたら、スライドしたパーテイから声を掛けられた。合同訓練で一緒だった笹川さんで、元気そうで嬉しかった。11:07尾根を外れトラバースが始まり(1440)、11:16〜11:24峰秀水(1380)で水を1L強補給。11:31トラバースが終わり(1360)、11:42小白布沢分岐(1320)、11:43地蔵小屋跡(1320)から780mの下りだ。11:51笹平(1230)、この先は十五里の杉を励みに下る。12:07上十五里(1070)、12:22中十五里(930)、12:39下十五里(810)、この下で東側の斜面がグラデーションのように見えた。13:07御沢の大杉(570)、13:16御沢野営場(540)に着くと、やはり自分の車しかなかった。飯豊の湯に寄り、山都駅前で味噌ラーメンを食べ、下道で新潟へ戻った。1日目は、好天なのに誰にも会わない不思議な山行だった。

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