登山者情報978号

【2006年01月09-10日/百石山/井上邦彦調査】

 今回の山行はAXLからの「百石山の山頂に雪洞を掘って泊まって来よう」というメールに端を発した。早速ラッセルを学びたいとECBが賛同した。「日々是好日」の掲示板で「いっちゃん」に声を掛けたところ、いっちゃんグループが日帰りで参加することになった。またLFDも日帰りで参加との連絡が入った。私も参加するために前日は1日かがりで自宅の屋根雪を全て処理した。
 当日は09:40伊佐領駅集合にした。メンバーは宿泊班がAXL・ECB・HZU、日帰り班がLFD・山本・中山・目黒・難波・大谷・加藤、総勢10名である。あらかじめLFDが頼んでおいてくれた民家の前に駐車させていただき、10:20旧伊佐領小学校跡地から夏道沿いに歩き始める。
 いきなり膝を越すラッセル、杉林を抜け、砂防ダムを越えて進む。10名が交替でラッセルを楽しむ。小尾根に取り付くと、腰を越えるラッセルになる。両手で雪を掻き込み、膝で足場を作り、一歩ずつ登っていく。中山氏は結構なペースでずんずん登る。各自、自分の体力に合わせて交替する。最後尾になるとトレースはしっかりと踏み固められている。先頭は奮闘しているので汗ばむが、ラストは寒くてカッパを脱ぐことができない。青空が出てくると幻想的な光景に歓声があがる。
 12:19-25主尾根に出ると風が出てくる。風を避け立ったままで休憩。キンカンとリンゴでエネルギーを補給する。風で雪面が波を打っているため、胸を突く急なラッセルが断続的に続く。うっかり樹木に近づくと、落とし穴が待ち構えている。山頂の雪庇が右上に見えてきた。最後の急斜面はひたすらに雪を漕いで、強引に登り上げる。
 左から尾根を合流すると、さほど潜らなくなり、眼下に国道113号線、伊佐領集落、建設中の横川ダムがみえた。平坦な頂稜を進み、13:26百石山々頂に全員が到着。ザックを三脚代わりにして記念撮影を行う。
 陽が差し風はない。LFDは山頂脇下の広場に宴会場を作り始める。宿泊班は雪庇の状態を確認して、同時に2箇所から掘り始めた。掘り進むと雪庇が何層にも重なって形成されている様子が分かる。二つの穴の間は貴重な柱になるので、壊さないように掘り進み、ようやく連結した頃に日帰り班からお呼びがかかった。
 大きなテーブルを囲んで椅子が設置され、様々な鍋がぐつぐつと音を立てている。早速雪で冷やしておいたビールで乾杯!LFDは天然のマガモをツクネにした鴨鍋を準備していた。皆が持ち寄った様々な料理に舌鼓を打つ。と南に目をやると、飯豊連峰が姿を現した!今回の山行が大いに盛り上がった頃、残念ながら時間が来た。16:00日帰り班を見送る。
 宿泊班は、雪洞に再度取り組む。雪洞作成に要した総時間は2時間程度であろうか。手前の穴を塞ぎ広く快適な雪洞ができた。ここに2-3人用のドームテントを張り、入口に布を張る。これで快適な夜が確保された。後は再び飲みかつ食べるだけである。消化しきれない程の豊富な食料と飲み物に囲まれて、3人の夜は更けた。携帯電話をみると日帰り班からの楽しげなメールが踊っていた。伊佐領集落では使用出来ない(ちかじかドコモフォーマが開通する予定)携帯が山頂では使用できるのである。
 その夜は、十二分すぎるほどの暖かさに熟睡。04:00HZUが起床、こっそりとテントを抜け出し、ザックに荷物を詰め込み、雪洞の外に出る。天の星と点在する下界の光は、この世とは思えない。放射冷却のせいだろう、冷たい空気が頬を差す。カンジキを履いて、04:27雪洞を後にする。
 昨日のトレースがしっかりと残っている。急斜面では明らかに尻セードの跡、昨日の日帰り班の歓声が聞こえてくるようだ。
 04:55車に到着、凍りついたドアを開け、フロントガラスを解かし、帰宅した。なお、AXLとECBは、起床後に雑炊を食べ、テントをたたみ、カンジキなしで下山したが、雪洞の天上がテントまで沈下していたとのことである。

今回のコース
小尾根に取り付く 先頭はHZU
振り向いたECB 後になるほど楽チンです
腰を越えるラッセル 杉林に入ると、雪はやや硬くなる
はつらつとした一行 宿泊班は荷物が多い
中山さんは快速でラッセル 両手で雪を崩して進む
主尾根に出た所で休憩
深い雪に四苦八苦
若いブナ林を登る LFDの大きいザックの中身は?
最後の急登に取り掛かる 後ろはゆっくり登る
山頂の一角に出る
百石山々頂にて記念撮影
切削途中の雪洞にて 乾杯!
天然の鴨鍋に舌鼓を打つ 盛り上がってます
後方に飯豊山が見えます 日帰り班は名残惜しげに下山開始
一路下山

この山行記録は「ラッセルマンのプログ」にも掲載されています。