登山者情報981号

【2006年02月05日/町境:九才峠〜山毛欅潰山/井上邦彦調査】

 山道具を車に詰め込み、車庫のシャッターを上げた途端に、雪が入り込んできた。昨夜から30cm位の新雪が積もっていた。これは自宅の除雪をさぼって山に行くと家族から睨まれるなと思いつつ車を新雪の中に乗り入れる。シャッターを閉めるために車から降りると長靴の中に雪が入りそうになる。まだ除雪車が来ていないので少しでもスピードを出すとフロントガラスが雪で覆われるため、徐行運転で進む。幹線道路に出ると流石に除雪がなされていた。国道は除雪車や大型車が走っているため、どうしても遅くなる。手ノ子から右折し中津川に入る。あきらかに遅刻しそうなので時折止まって無線でNIYを呼ぶ。中津川中学校付近でようやく繋がった。予想通りNIYは既に集合場所で待っていた。駐車できる場所を探すが見つからない。仕方なく車の片側が路肩に擦るように停める。
 06:25ビーコンをセットし、九才峠入口から入山するが、身長を遥かに超える雪の壁に突き当たる。幸い進入禁止の柵があったので、スキーとストックを雪上に放り投げ、柵の上に靴を乗せて腕力に任せて雪上に出る。ここでスキーを履き、ようやく一息つく。
 車道を進む、途中で尾根に取り付くことも考えたが、沢の横断を避けて車道沿いに進む。一箇所ショートカットする。電線(電話線?)が雪に埋もれている。時折青空も覗けたがすぐに曇天となった。NIYは快調に飛ばすが、HZUは昨日の疲れなのか、やや遅れ気味である。
 07:40-50九才峠でお握りを頬張る。吹雪になってきたので手袋を替える。町境の標識が前回より随分と低くなっている。いよいよ町境歩き再開である。583m峰を越え、ワラビ園であろうか平坦で単調な尾根を進む。NIYが新型GPS(60CS)で確認し、私はGPSをホッカイロと一緒にタオルで包んでザックの雨蓋に入れて、ログ専用とした。コースは地図とコンパスで方向を取りながら進む。
 08:45お握りを頬張る。二人とも特に休息を取らず、腹が減ったら勝手に食べて、追いつくことの繰り返しである。左に大きな尾根を分け、09:15に659m峰を越える。
 09:32正面の雪庇をストックで崩し、スキーを履いたまま越える。右に巨大な尾根を合わせると、ここでルートを大きく左に変える。
 正面の尾根と異なり、町境ルートは急激に落ち込んでいる。向かいの山が霞んで見える。尾根の右手の潅木を掴んで数m下り、雪庇に留意して進み、キックターンを繰り返して下る。NIYはスキーを八の字にして直滑降を試みるが、予想通りに転倒。09:47山毛欅潰山方向にコンパスを合わせ、お握りを頬張る。
 核心部を越えて安心をしたのか、ふと左手を見ると大きな尾根が平行している。NIYは、「下部で合流するから大丈夫」と言うが、向かいの尾根にトラバースをすることにした。雪庇を観察するために端に近づいた途端に、雪庇が崩壊した。崩壊した部分に腰をかけてスキーを揃えて飛び降りる。斜面を横切って振り返ると、雪庇の高さはあるが張り出しはさほどでない。
 暫くの間、尾根が痩せており雪庇と藪を避け、小国町側の斜面にコースを取る。雪が飛ばされてガリガリ担っている所もあり、緊張する。10:53鞍部を過ぎブナ林の登りになると一息つく。後は山毛欅潰山まで登り一方である。
 11:21左から尾根が合流する直前、正面に雪庇が立ち塞がる。尾根寄りにコースを取って雪庇を避けるが、足元はすっぱり切れている。嫌らしい感触がするのでNIYに待機してもらい、恐る恐る高度を上げると一歩ごとに微妙な亀裂が入る。
 11:44、783m峰を通過する。3度目に立ち塞がった雪庇はどうあがいてもスキーでは越えられないと判断。スキーを脱いで両手に持ち、最後はスキーとストックを先に上げて腕力で強引に越える。
 12:17平坦になった所でお握りを頬張る。右手から巨大な尾根が近づき、左からも尾根が合流する。広く平坦な場所である。以前の記憶が蘇る。GPSでここが山頂になるというNIYに、もう少し先に高い所があると言って進む。
 12:40-58山毛欅潰山々頂に立つ。NIYの持参した缶ビール(HZUはコンビニで買う予定を失念)で、ささやかに乾杯。寒いので早々に下山を開始することとした。
 中津川峠まで下ると雪崩が怖いので、下山ルートは山頂手前の尾根とした。HZUがシールを外していると視界が開けてきた。NIYはシールのまま降る。
 下降ポイントを確定し靴を固定する。一気に尾根を下り、分岐で方向を確認する。振り返ると山毛欅潰山が見送っている。ルートは右の尾根であるがかなりの急斜面である。いったん左の尾根に向かい、ターンして右の尾根に向かう。思ったより雪は安定している。尾根の左斜面がブナ林になっているので、膝下まで潜りながら、ターンを繰り返し降る。カービングスキーなので僅かに力を加えるだけで面白いように回転する。
 最後は桐畑のような所を通り、小沢に沿いに下りコガネイリ沢(小川入沢)に出た。雪橋を利用して右岸に移り、13:40砂防ダムを過ぎる。林道らしき所を通る。13:47本流に橋が架かっていたが、無視してそのまま進む。
 13:59人家に到着する。後は除雪された道を歩いて14:14岩倉集落に出る。さらに県道を歩き、14:34出発地点に戻った。

今回のコース
九才峠にて 広い斜面を進む
飯豊町側は広い平坦地 小国町側にも平坦な斜面が広がる
各自勝手に食事を取る 雪庇を崩して650m峰に出る
650m峰からの急激な下り 急な斜面を下る
転倒 ルートを誤る
雪庇を越える 思い切って飛び降りる
見上げる高さの雪庇 雪庇に注意しながら進む
山毛欅潰山方面を眺める
小国町側の斜面を行く 深雪のラッセル
正面に雪庇が立ち塞がる スキーを脱いで雪庇を越える
吹雪の中、順調に進む 傾斜が落ちる
山毛欅潰山々頂 山頂のHZU
ビールで乾杯 下り始め、山頂を振り仰ぐ
登ってきた町境尾根
下る尾根を見下ろす 慎重にルートを読む
滑る 快適に滑る
沢沿いに下る
砂防ダムを越える、後方が下ってきた尾根
人家に出る