飯豊朝日連峰の植物達
【 No.006 オオノアザミ(ノハラアザミ) 】

 アザミの分類は苦手である。そこで先ずは「飯豊連峰・山形県総合学術調査隊」に記載されているアザミを列挙してみる。ダキバヒメアザミ(クリ帯〜ブナ帯に散生)、タチアザミ(亜高山帯に散生)、ナンブタカネアザミ(高山帯に散生)、オニアザミ(クリ帯〜ブナ帯に普通)、ヒメアザミ(クリ帯〜ブナ帯に普通)、ミヤマキタアザミ(高山帯に散生)と記載されている。
 これから高山帯で見る可能性が高いのは、タチアザミ、ナンブタカネアザミ、ミヤマキタアザミと推測した。
@ タチアザミは茎と葉に特色があり、明らかに異なる。
A ミヤマキタアザミも、茎と葉に特色があり、明らかに異なる。
B ナンブタカネアザミは「日本の野生植物」にないので、ネットで調べたが花が下を向いており、しっくりこない。
 次に「日本の野生植物」に掲載されているアザミで、姿形の似ているものを探したら「ノアザミ」が眼に止まった。ノアザミは花が上を向いている点は良いが、すらりとした茎が違う。この点ではむしろノハラアザミが近い。「牧野植物図鑑」は絵なので特徴が良く分かるが、これをひも解いたら、葉の形がノハラアザミそっくりであった。さらにネットで検索した結果、これだと!思う画像があった。
@ ノアザミとそっくりなノハラアザミと呼ばれるアザミが秋の野原を彩り、外見ではノアザミと区別は付かない。 ただ、咲く時期が違う事と、総包がノアザミの様にねばねばしない事で触って見ると区別は可能である。
A 頭花や全体の姿がよく似ているノアザミとの区別がいまいち分からなかったから。最近は、ちょっと乱暴だが、春近くに咲くのはノアザミ、秋口以降に咲くのはノハラアザミと、まず決めることから始める。迷ったときは、総苞を触って、粘ればノアザミ、粘らなければノハラアザミ。そして、ノハラアザミの総苞片がやや反り返ることを、指標にしている。
B 乾いた草地に生える多年草で、高さ30〜100センチ。枝先に紅紫色の頭花を上向きにつける。総苞は幅1.5〜2センチで鐘形、粘らない。総苞片は、やや反り返る
 幾つかのネットから判明したことは、触ってみると分るということだが、残念ながら記憶にない。
 最後に今井さんの写真にあった「オオノアザミ」で検索してみた。
@ 本州中北部に分布するノハラアザミの北方型の変種で、花が大型になるもの。山地帯〜亜高山帯の乾いた草地に多く、丈は0.5-1mで、茎の先に1個の頭花をつけ、総苞の直径は3-4p。根生葉は鈍い光沢があって花期にも残り、羽状に中ほどまで裂ける。葉脈は赤紫色を帯びる。総苞は釣鐘型で粘らず、総苞片はやや反り返る。別名アオモリアザミともいう。白花をつけるものも見られる。ノハラアザミは根出葉に光沢がなく、茎の先に2-3個の頭花をつけ、総苞の直径は2-3p。アザミ属は日本にも60種ほどもあり、種間雑種ができやすいので区別が難しい。花期:8-10月
 杁差岳で8月8日に最盛期を迎えていた。それらを総合して、現時点ではオオニオアザミとするのが適当であろうと判断した。今年はぜひこの手で粘り具合を試してみたいものである。

すらりと伸びた姿が印象的
頭頂花が1個ずつあった
粘り具合を確かめてみたいものである