飯豊朝日連峰の植物達
No.001 アズマシャクナゲ

 飯豊朝日連峰には、アズマシャクナゲとハクサンシャクナゲがある。中でもアズマシャクナゲの花は可憐で人目を引く。多雪地の小国町では庭園を造ることが難しいため、雪囲いの容易な鉢ものの愛好者がいるが、彼等が好んで育てたものにアズマシャクナゲがある。周囲の山地に普通に生育するアズマシャクナゲは、小国町では管理しやすいが、別な土地に持っていくと枯れやすいようだ。やはり風土というものがあるのだろう。
 ところで、名前の由来は吾妻連峰で発見されたと記憶しており、吾妻はアヅマと記載し、アズマではない。だから私はアヅマシャクナゲと思っていたのだが、植物誌には「アズマシャクナゲ」と記載されていた。何故なのだろう。
 アズマシャクナゲは高山植物ではない。飯豊連峰の高山帯には控えめに白く咲くハクサンシャクナゲが生育している。ブナ帯の痩せた尾根上で、ヒメコマツ(キタゴヨウ)の林床に普通に見られる。なおハクサンシャクナゲとは、葉の裏を見れば簡単に見分けがつく。薄い緑色でつるつるしていればハクサンシャクナゲ、厚ぼったく一面コケが生えているような感じならばアズマシャクナゲである。