会員の山行 023号

【2003年08月13-14日/高下岳〜和賀岳/木内茂雄調査】

1.期 日  8月13日:高下岳(こうげだけ)、14日:和賀岳(わがだけ)
2.高下岳:タイム
(8/13)高畑高下岳登山口7:56〜8:51峠〜9:57岳樺林10:17〜10:35高畑高下岳分岐(右高下岳、左南峰)〜10:46高下岳10:55〜11:02高畑登山口分岐〜11:10高下岳南峰12:00〜12:07高畑登山口分岐〜13:35高畑登山口〜車で13:49上大荒沢バス停
3.高下岳:記 録 
8月10日より5日間かけて北アルプス雲ノ平から槍ヶ岳周辺を計画していたが、緊急の用事が発生して、三日間の日程しか組めなかったので、和賀岳、神室山、蔵王/不忘山を計画した。
8月13日朝2時半に出発して秋田道/湯田ICから沢内村を目指した。いつもの如く朝食、昼食は近辺のコンビニで買うことにしていたが、何処にも見あたらず誤算であった。幸い6時過ぎだったので、村の食材,雑貨屋が開いていたのでカップラ−メンとサンドイッチを買いそれを食べ、昼食分はパンを買い、その後登山口を探した。
和賀岳登山口の標識が目立たず、遙かに通り過ぎて、村の人に聞いたのだが、早飲み込みして高下岳登山口を登ってしまった。
途中でどうも変だと思ったが、引き返すのも大変なのでこれを登って、更に和賀岳を登ろうと考えた。
登山口は5台くらい駐車出来るが誰もいない。天気は良く、アブが車の周りに来てうるさい。ブナ林を登って行くが、前に伐採した事が有るらしく尾根の左側は唐松林になっていて、右側はブナの大木が続いている。小さな笹とオオカメノキが赤い実を付けている。花はアキノキリンソウとヨツバヒヨドリが少し咲いているだけで、終わったユキザサ、エンレイソウ、イワウチワ、マイヅツソウ、等を見かける。
一寸した峠に来ると向こうに高下岳らしい、稜線が見える、少し下り直ぐに又登りとなる。ノリウツギが咲いている。ブナの大木が多く、そこに、少しナラが混ざる。ツバメオモト、チゴユリの葉、ハクサンボウフウ、タチギボウシが咲いている。冬に雪が多いせいかブナの木は古そうだが背が低い、そして見事な岳樺の林を通過する。少し急な登りになり、出来たばかりの笹を伐採した道は歩きにくい。そんな所にクルマユリが一本だけ咲いているのが不思議だった。ミヤマホツツジを見かける。
道は低木帯となりやがて、分岐点で稜線に飛び出し、向こうに和賀岳が見える。山頂まで、アキノキリンソウ、ヨツバヒヨドリ、ハクサンボウフウ、そしてハイマツ、シャクナゲ、ミネカエデ、マルバマンサク?マルバシモツケ、ツゲ、ナナカマド等の木と、コケモモ?を見かける。山頂(1322M)から目の前に和賀岳が見えるので今日、一挙に行きたい誘惑にかられるが、南峰まで行って判断することにし、今来た道を高畑登山口分岐まで引き返し、その先の南峰(1320M)まで行ってみる。
和賀岳の登山道までかなり下り、それから登りではかなり厳しい、若い時であれば、そして、食料豊富であればと思案して今日は諦め、明日と決める。
休憩しながら飯豊連峰梅花皮小屋のOTJと無線連絡する、私のアンテナが悪い様で少しの会話となったが、本山小屋のEHJとは良くつながり話しが出来た。
分岐までの間にツクバネソウ、ハリブキの葉を見つける。そして、分岐で沢内村を眺め一気に下る。
来る時に檜みたいな大木を数本見かけたが、どの木も鹿が木の皮を食べたのかと思うほど肌がツルツルしていたので何だろうと思っていたが、帰りにその木に説明書が付いているのに気づき、見ると名前は“クロベ”檜科とあった、自然界には色々な物が有るものだ。今回、道を間違えたがこれは収穫であった。一日中誰にも会うことなく吾が山であった。
下に降りてきて県道/盛岡横手線を注意しながら戻って行くと、和賀岳の大きな標識が有った。しかし、字は草書の様くずして有り、反対方向から来ると少し家の蔭になり見落としてしまう、何かもう少し工夫が欲しい。
私も、和賀岳/高下登山口と高下岳登山口を勘違いしたのもお粗末だが。それから、携帯電話の電源を入れると間もなく、訃報の連絡有り15日の告別式なので1日早く帰ることにする。

4.和賀岳タイム
(8/14)車道交通止め地点5:15〜5:33和賀岳/高下登山口〜6:00赤沢分岐(和賀岳4.7K)〜6:33高下岳分岐(和賀岳3.9K)〜6:37水場〜6:42下り始め〜7:08和賀川源流7:12対岸7:28〜9:09森林限界〜9:15稜線(苔平)〜9:44和賀岳山頂〜9:55〜11:57和賀川源流12:20〜12:50登りから平坦になる〜13:05高下岳分岐〜13:22赤沢分岐〜13:37和賀岳高下登山口〜13:55駐車場
5.和賀岳:記録
(8/14)昨日、登山口を確認しておいたので、迷う事無く登山口に車を止めた。誰も居ない、今日も一人旅だろうか?
20分位車道を歩いた。途中2箇所道路が雨で崩れ道幅半分位になっていて、車は危険という事で、車道を歩くのだろう。登山口は標識がハッキリしており直ぐきつい登りとなる。
道の左側は杉の植林帯で、それを10分も登ると緩やかな傾斜になったので少し楽が出来るかと思いきや数分でまた、登りがきつくなる。灌木帯とブナ林を歩き、やがて赤沢分岐で道は右に折れる。どうも真っ直ぐに山菜採りの道でも有るらしいが道不明。山頂への道は迷うことはない。少し平になりなだらかな下りになるが、直ぐ登りとなる。樹齢かなりのブナ大木の林を行くので風倒木を多く見る。キツリフネ、アジサイの花が咲いている。また、ムシカリの木が赤い実をつけかすかに秋の気配を感じる。
相変わらずブナの大木の樹林帯を歩き続け、高下岳分岐に着く、昨日此処まで降りてきて、和賀岳まで挑戦しなくて良かった。道を左に進む、暫く、平な道で数分して水場の標識有り、10M位左下に見える。道はブナ林で高下岳を左に巻く様にして10分位で下り始める。ドンドン高度を下げ間もなく沢の音が聞こえる。昨日覚えたクロベを所々で見かける。
和賀川源流に降り立ち、川の水量を見るが、とても、飛び石では渡れない。靴を脱いで10M近く渡る、水冷たし。対岸の直ぐ上に平らな所が有り、釣り人が3人幕営していた。そこで焼きたてのイワナをご馳走になる。
またブナ林を登って行くと、木陰に何本かクルマユリが咲いている。花が終わったイワウチワ、ネバリノギラン、マイヅルソウ、ツバメオモト、チゴユリ、ツルアリドウシ、等が有り、ツルリンドウはこれから咲くのだろう。
リョウブ,岳樺、笹が混在している。森林限界に近づいて来ると、笹の背が高くなり霧の露で濡れるので合羽を上下着る。ハイマツ、ナナカマド、ミネカエデも混在。森林限界から10分も笹藪漕ぎをすると稜線に飛び出た。
辺りは一面お花畑で、ハクサンシャジン、トモエシオガマ、ハクサンボウフウ、ウメバチソウ、ハクサンフウロ、ハクサンオミナエシ、ミネウスユキソウ、タチギボウシ、トウゲブキ、ミヤマアキノキリンソウ、ヤマハハコ、ミヤマトウチソウ等が咲き乱れている。(今年の夏は異常気象で一斉になったのか?)蕾みを持ったオヤマリンドウを見かける。
終わった花でネバリノギラン、マルバシモツケ、ミヤマシシウド、バイケイソウ、ミヤマキンバイ、イワイチョウ、シャクナゲ等がある。ニッコウキスゲが特徴だとガイドブックに記されているが数本の葉を見つけただけで判らない、それよりも、トウゲブキの群生は見事だ!!もう終わりだが、枯れている茎が斜面一面に林立していて見苦しいほどのもの凄さだ。
山頂まで花畑を楽しみ、そして、腰以上にある笹藪を足探りで歩き、時には草原状の所を歩き山頂に着く。山頂は平で標識と小さな祠が有る。生憎の風と霧で視界がきかない、周辺見回すと終わったチングルマとミヤマキンバイが少し有る。
山頂から引き返しながら思ったのは笹藪が凄く道が見えない事と、苔平から左に折れて下る所、標識が無ければ間違えそうだ。
後は今来た道を引き返す、一日で会った人は5人くらいであった。
キツリフネ クルマユリ 高下登りにて
タチギボウシ ツリフネソウ
トウゲブキの群生 ダケカンバ
逆光のブナの葉とザック
高下岳より和賀岳 和賀岳山頂