【2004年12月26-27日/高倉山彷徨/井上邦彦調査】
今回は息子のパーティと合流すべく計画した。本来なら始めての山ということもありノーマルコースを選択すべきであるが、藪山ネットに加入したということもあり、敢えて適当なコースを選択することとした。
息子を部室に降ろし、09:39米工発、国道13号線を南下し、西栗子トンネルを過ぎた所で右折する。板谷駅を経由し峠駅に向かったが、凄まじい急カーブが連続する急坂であり、すれ違うどころかハンドルを切るのがやっとである。積雪はさほどではないが、路面は凍りついており、ズック靴では歩くのが困難な程度である。急坂を登りきる直前、対向車とすれ違う時左に寄り過ぎて、車輪が空回り。すれ違った車に曳いていただき、なんとか脱出。この間かなり時間を要した。下りに差し掛かるとパトカーが上ってきた、これは何とか場所を見つけて無事にすれ違う。峠駅手前の下りに差し掛かる所、右手に大きな駐車場があり、車が1台止まっていた。正面に看板があり、ここから滑川温泉を目指すことになる。車を止め、高度計を680mに設定、蛇シールを着装したスキーを履き、10:53林道に張られている鎖を越える。昨冬壊したビンディングが新しくなって初の山行である。
予報と違い青空の下林道を進むが、スノーシューを履いた2人が先行している様子である。
標高850mの萱峠には東北森林管理局の看板があり、峠を越えると左から登ってくる車道がありT字路になっていた。迷うことなく右の道を選ぶ。足元は杉の植林地である。殆ど水平である。川を挟んで高倉山が聳えている。米工パーティが来る筈の五色温泉からのルートもよく確認できた。やがて車道は下り始める。11:42杉林から左に下る作業道が合流する。12:04広場を通過し、12:10-26(840m)滑川大橋に到着する。正面に建物が見えた。今夜宿泊する滑川温泉福島屋であろう。橋を渡ると「姥湯・五色温泉・滑川温泉」と書かれた道路標識があった。それぞれの矢印の方向に首を傾げたが、すぐ先に姥湯に行く車道が分かれていることを確認して合点がいった。スノーシューは滑川温泉を目指している。右下の大岩の近くを掘り、差し入れの牛肉や缶ビールを埋める。
大橋の袂、右岸を戻るように下る車道があり、通行止めとなっていた。ここが五色温泉方面に向かう道である。オーバーハング状の巨大な岩の下を通り、沢を1本過ぎて、取り付きポイントを探す。12:42(815m)雑木林より登ることとする。始めは笹藪が出ており、急斜面になるとユズリハに変わった。雪が少ないので藪が多く、ストックは殆ど使わず、両手で柴を?んで体を持ち上げて進む。ザックにはワカンも携行しており、ワカンの方が効率的であるが、今回はスキーに慣れる目的もあるので、あくまでスキーにこだわる。
13:52(980m)XOQと交信する。五色温泉までの車道は雪がなく、皆順調に歩いているとのことである。ジグザグに登り13:59(1,000m)を通過する。
14:21(1,040m) ふと目にしたブナの木に規則的に穴がある。古い穴の他に新しい穴があり、そのまま引っ掻いた跡がはっきりしている。明らかに熊の爪痕である。14:32(1,090m)ここのブナにも新しい熊の爪痕がある。この辺りにブナは少なく、飯豊のブナを見慣れている私には細く感じられる。その僅かなブナに2本の爪痕は多すぎるように思う。この辺りから傾斜が緩くなり、藪もまばらになる。
14:45-50(1,050m)食事を摂る。ルートが楽になる。14:30(1,200m)松の多い峰に出ると、高倉山々頂が見えた。南斜面が急な所から間違いないだろう。しかし藪が酷い。15:17(1,220m)最高点を通過する。ここから高倉山までは沢を巻くように進む。南から来た尾根と合流する。何処から下るか迷いながら進む。16:03(1,260m)、高倉山から1325m峰に続く巨大なお尾根に囲まれた沢を下り始める。
沢はスラブ状の急斜面で、雪崩の危険は感じられなかったが、部分的にスラブが露出しており、左岸に逃げる。キックターンの連続で次第に高度を下げて行くと、思ったとおりブナの林が広がる快適な斜面に出た。ようやく今冬始めての滑走を楽しむ。しかし、沢がまだ雪に埋もれておらず、沢越えに手間取る。何度か転倒を繰り返し、疲れきる。お握りを半分流し込むが、すぐ暗くなってきた。笹が出てとても滑降ができる状態でなくなる。意を決してスキーを担ぎ、ワカンは持っていたが使用せず坪足で下る。
時計や地図等が見えなくなった時点でヘッドランプを点ける。尾根がいきなり急になる。地図を再確認し、ここを突破すれば何とかなると自分を奮い立たせる。何度か急斜面で滑り落ちながら、急斜面を突破すると、17:15車道に出る。
車道には米工パーティのトレースがあり、ワカンなしでも潜らない。道は登り気味になっている。ヘッドランプの光を強くすると足元しか見えないので、弱くして歩く。遠くに幾つかの光が見えた。まさか迎えにきたわけでもあるまいと思いながら声を掛けるが反応はない。路側の反射器とも思ったが、片付けられている筈だ。そんなことを考えながら歩いていると、二つの光の周りに大きなカモシカの身体が現れた。
無線機にXOQの波が入った。全員既に滑川温泉に着いており、一人で大橋まで私の様子を見に来ているとのことである。差し入れを隠した場所を連絡し、先に温泉に戻っていただくことにした。
道が下りになったのでスキーを履く。快適に滑るが、いきなり雪が少なくなっている箇所があり、制動が間に合わず2度ほど派手に転倒する。最後は、両手にスキーの先端を持ち、18:12滑川温泉に到着した。温泉の白濁した湯に浸り満足。
翌27日は、こっそりと置きだし05:00滑川温泉発、05:43-48萱峠でシールを外し、06:05分岐の駐車場まで滑る。あとは慎重に運転し、帰宅後に出勤。
今回のコース |
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ここから林道に入る | 先行者のトレース |
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萱峠 | 滑川温泉を目指す |
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大日岳方面 | |
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高倉山、右の尾根から登り奥の沢を下り水平道を帰ってきた | |
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五色温泉方面 | 滑川大橋 |
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奥に滑川温泉福島屋 | 此処から右の水平道に入った |
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取り付きは笹が露出していた | 雑木林を登る |
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ユズリハの中を登る | 次第に急になる |
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私のトレース | 藪だらけの斜面 |
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熊の爪痕 | |
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藪の中のトレース | 傾斜が落ちてきた |
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快適な雑木林 | カモシカの足跡 |
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熊の爪痕 | |
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足元からヤマドリが飛び立った | 植生が変わってくる |
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高倉山々頂 | 藪を踏みつけて進むスキー |
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この付近の藪は酷い | 藪を掻き分けて進む |
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五色温泉方面 | 峠方面 |
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動物の足跡 | スラブ状の沢を下る |
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雪が多くなれば 面白いコースだと思うのだが |
雑木林 |
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暗くなってきた | |
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