会員の山行 052号

 【2005年03月29日/二ツ森山(1269m上山市)/吉田岳】

 二ツ森山は蔵王連峰のすぐ南側、奥羽山脈に位置する。この山は、昨年番城山(会員の山行30号参考)を登った時から気になっていた山である。コースは県境尾根まで番城山と同じ。そこから番城山と正反対の東へ向かう。二ツ森山は番城山よりも距離が短く、また登り返しが少ないために山スキー向きと考えたのである。
 古屋敷村を抜け、菅平地区の鯉釣堀を過ぎた所、ちょうど舟引林道の基点で除雪止まりになる。7時40分、同行者IBYとスキーにて出発。杉林の中の林道(ブル道)を辿っていく。急ぐ旅ではないので、自然観察をしながら行こうと話していた矢先、IBYがカモシカの死骸を見つけた。10mほど滑り落ちた痕跡を残しながら、無残な姿で横たわっていた。死後10日ほど経っているのであろうか、肛門に大きな穴が開いて内臓が見事に食い尽くされていた。その場に残された足跡と糞の形からテンの仕業だろう。この後はトンビやカラスの出番だろうか。病死のようである。
 杉林が終わり雑木林になると、結構大きなブナやミズナラ、センノキ等が観察された。700m辺りでは、湧き水が出ていた。林道は900m辺りで終わる。尾根っぽいところを南に進むとだんだんと傾斜がなくなり、そして見晴らしの利く県境尾根に出た(9時40分)。西に番城山が雲の切れ間に見えるが、目指す二ツ森山はガスの中。さらに風も出てきた。
 雪面は昨日の雨とこの風のせいでアイスバーンっぽくなってきた。気温が高くなると読んで使用したスネークシールは滑りやすく、完全に失敗のようだ。ナイロンシール使用のIBYは順調そうだが、私は所々スキーを外して徒歩を強いらされた。1100mからはブナ林となる。そのブナの木も標高とともに背丈が低くなっていく。頂上直下は吹雪になった。IBYが強風に吹き飛ばされ数mほど転げ落ちた。10時40分二ツ森山登頂。しかし視界がいまひとつのため、すぐ先のもう一つのピークまで行くことにした。10時52分、ピーク登頂。こちらは一転、視界を遮るものがなく蔵王連峰が目の前
に見えるようであった。しかし今日は雲の中。次回に期待することにした。
 11時05分、シールを付けたまま下山開始。山頂に登り返してシールを外す。強風の中、滑降開始。アイスバーンはかえって滑りやすい。しかし、視界が利かないためルートを間違わないよう注意しなければならない。途中雪洞掘りに適したところを見つけたが、どうせ視界が利かないのでもう少し下って昼食にすることにした。1000m辺りからは風も収まり、新雪がスキーに付くようになったためワックスを塗った。この時期の新雪は、かえってスキーが滑りずらくなる。林道に出てからは所々ショートカットして林内を滑る。しかしそうしているうちに、ラーメンを作ろうと思っていた水場を通り越してしまった。12時20分、車場に到着。このコースは、晴れれば蔵王連峰の景色を満喫できる、手軽で良い初心者向けコースであると思われる。

最初は暗い杉林から マルバマンサクが咲きだした
ウサギの足跡(左)とキツネの足跡(右) カモシカの死骸
水場にて 自生するヒノキアスナロ
所々に大木のあがりこが見られる こちらはブナ
林道上部にて 二ツ森山はガスの中
県境尾根にて 番城山が見えた(奥)
1100m地点 奥のピークを目指す
上ノ山市街が見えた 山頂登頂
吹雪の中の滑降 湿雪にもめげない滑降