会員の山行 080号

【2006年07月16日/岩木山(1,625m)/平田健治・恵子調査】

【 7月15日 】 
 朝、雷の音で目が覚め、外を見ると大雨であった。Iネットの天気図では梅雨前線は東北南部に停滞しており、明日、比較的天候に恵まれるのは、岩手・青森以北である。宿泊先も予約せず、雨の降らない所・岩木山を目指し、昼前に出発した。
 高速道利用を最小限の「三関IC〜大曲IC」と「鹿角八幡平IC〜大鰐弘前IC」に節約し、R13を北上、大曲から八幡平を抜け、弘前に着いたのは6時を廻っていた。
 3連休とあって、どこも満室で宿泊先が見つからず、内心は車中泊覚悟である。夕食ぬきでもいいからと、ようやく頼み込んだのが7時過ぎと遅い時間にもかかわらず、本当に気の良い方で、有り合わせでよければと食事を準備していただくことになった。途中、翌日の行動食を調達して、嶽温泉に着いたのが8時であった。
 これで、明日の登山コースは決まった。嶽登山口からのピストンである。
【 7月16日 】 
 朝4時に目が覚め、一風呂浴びて散歩に出かけた。天候は予想どおり晴れているものの、山頂に雲がかかっているのが少し気がかりだ。7:30から朝食、下山後の宿泊もお願いして、8:30宿から5分の所にある嶽登山口へ向かった。
 08:39稲荷神社の鳥居をくぐって出発。この登山道は山スキーのコースで両側が広く刈払われていて、しばらくは、なだらかな登りがつづく。やがて楢の林からブナ林へと入り、時折射す木洩れ日が幹を白く照らし、きれいなブナの並木道を創っている。
 09:31[山頂2時間30分]の標木で休憩。ここまでの道は粘土質の赤土で、今は乾いているので歩きやすいが、一旦雨が降り出すと滑り台に化すと思われる。この先、覆い被さる笹を掻き分けながら10分程進んで細いブナの林に入ると、ようやく登山道らしくなって傾斜も増してくる。雨もポツポツと降り出してきたので先を急ぐ。
 10:55スカイライン八合目駐車場に到着すると雨足が強まり、レストハウスで雨宿りをしながら休憩とする。ここからは登山リフトも運転されているが、山人(やまんど)は乗らないと言って、雨が止むのを待って出発した。
 15分ほど登った所で下山する団体さんが道を空けてくれたので、挨拶をしながら擦れ違っていると何処かで聞いたような訛がすると思っていたら、突然名前を呼ばれ振り返って見ると朝日の山開きによく来てくれる常連さんであった。今日は市民登山とのこと、辺りを見渡せば、これまた南陽山の会の皆さんがサポートしているではないか、ここで知っている人に出会うとは何と奇遇なことであろうか。誰も知らない所で懐かしい訛具合に、ホッとした時を感じた束の間の出来事であった。
 鳳鳴ヒュッテを通過して、第一おみ坂、第二おみ坂の岩場を登り山頂に向かう。
 12:18 大きな岩がゴロゴロしている岩木山に到着。山頂からは、日本海、八甲田山、白神山地など360°のパノラマが得られると聞くが、今日はガスで何も見えない。山頂の一角にある奥宮に安全登山を祈願して、まずは乾杯である。と、同時にドシャ降りの雨となって、コップの中は飲めど増え続け、敢え無くパーティーは諦め早々に下山することにした。帰路、岩木山固有の名花ミチノクコザクラの群生地、鳳鳴ヒュッテから数分下った「種蒔苗代」付近は、雨の中かれんな花びらが満開だった。
 14:08八合目レストハウスに戻りパーティーを再開。15:00雨が小振りとなるのを見計らい下山開始。下山はアルコールエンジンの噴けも調子よく、快適にスピードアップする。
 しかし、悪い予感は的中するもので、なだらかな下りに入ってからは、例の赤土に立往生やスリップが相次ぎ中々スピードが上がらない。雪上歩行や滑落停止に慣れていても、その技を発揮する間もなく、思いっきりズデーン!「アイゼンをつけて来れば良かった」と呟きながら、またズデーン!雨はだんだん強くなる一方で、最後はドシャ降りの中、16:37嶽登山口の鳥居をくぐり、ようやく宿に到着した。

嶽登山口 ブナ林を行く
ブナ林を行く
笹薮に向かう 八合目の登山道入口
第2おみ坂を登る ようやく着いた
雨の中でカンパイ! ミチノクコザクラ